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わかっても、わからなくても楽しい展示会に行ってきた。

 あるあるを見て「あるある!」と言うのは、いつだって楽しい。

 でも逆に、他の人が「あるある!」と言っているあるあるがわからなかった時。これも楽しいと思えた展示だった。

 少し前に『いい人すぎるよ図鑑』を読んでから同シリーズの展示会に行くことが憧れで、やっと足を運ぶことができた本日。しかも2種類の展示会が同時開催ということで、告知を見かけたときには、思わず10年ぶりのスキップが出てしまった。

 (わたしが行った展示は大阪会場のものです。もし東京・名古屋と内容が違っていたらすみません!)

『うれしいすぎるよ展』

 早歩きで心斎橋の街を縫うように目的地へ向かっていた。走らなかったのは、せめてもの抵抗だった。

 会場のビルを間違えた。わざわざ駅から遠い、似た名前のビルに向かっていた。二階に着いたところで、わたしを迎えたのは空の会議室だった。ミスった、と思った。購入したチケットの入場時間は16:00〜16:30。スマホを開くと、16:20という時刻表示がわたしを嘲笑っていた。

 ギリギリの時間に正しいビルに着いた。半袖Tシャツを着てきたのに、首筋には結露のように汗粒がぎっしり並んでいた。そりゃ1階に看板くらい置いてるよな。最初に向かった駅から遠い方のビルには看板も何もなく、平日のハウステンボスくらい人の気配がなかった。

 会場のビルに着き、スタッフにチケットを提示した。トトトッとスマホを操作して、問題なく認証完了!すぐさま展示の方に向かおうとすると、スタッフから急にカードのようなものを手渡された。

 「関係者の方はこちらのPASSでお入りください!」

——えっ、やば。誰か関係者の人に顔が似てたりしたのかな……?深めに帽子被ってたからかな……?こういう時、どうしたらいいんだろ——

 なんて思いながら、もう一度渡された関係者PASSを見てみた。やられた。なんだ、これがオープニングアクトだったってわけね。展示物だけに収まらないぞ!という運営のこだわりを感じた受付だった。では、関係者として『うれしいすぎるよ展』へ。

「関係者として案内された時」のうれしいいただきました。
会場で撮り忘れたので、帰りがけにカフェで撮影。
共感とノスタルジー。こんなこと、あったなぁ。
ほんとにこれ。
めんどくさくて行かなかったりするけど、誘ってもらえたり気にかけてもらえるのはうれしい。
経験はないけど、絶対うれしい。

 展示はどれも絶妙なラインを突いていて、むずがゆさを感じた(褒め言葉)。わざわざ人に言わないような、インスタのストーリーズにも載せないような"うれしい"瞬間のオンパレード。ほんとうに"うれしい"瞬間は、カメラロールに残っていない。

 また不思議なのだが、経験したことない展示にも「わかるぅ」と思うことができた。経験していない"うれしい"もうれしく思えるのなら、人生はまだまだ充実させられる。そんな可能性を感じた展示だった。

ちょっと自分でも考えてみた
・1人で入るのは緊張するようなお店のドアを開けると、店内にけっこう1人で来ているお客さんがいた時
・『うれしいすぎるよ展』を見ながら「こんな時もうれしいよなぁ」ってふと思った瞬間が、後半の展示で出てきた時

『そういうことじゃないんだよ展』

 順路の途中で世界は変わり、お次は『そういうことじゃないんだよ展』。

 個人的には、こっちの展示の方が好きかもしれない。

そうじゃないんよ。
本を読む体験と、本がある空間も含めて好きなんよ。
そんなことわかってるよ!
あ、これは、言っちゃう。
「焼肉の気分じゃないかな〜」とかも言う。

 おもしろかった。何がおもしろかったかというと、キャッチコピーのとおり分かる展示と全然分からない展示があるんだけれど、その両方の展示に当事者でいることができたのだ。

 『そういうことじゃないんだよ展』の展示の多くは、誰かが誰かに向けたセリフ形式になっていた。「使ったあと、元の位置に戻せば散らからないよ」のように。これには、「そういうことじゃないんだよ」と思う"分かる人"と、このセリフを発した側の人——"全然わからない人"がいる。わたしたちは、たいていの展示でそのどちらかになれる。

 これは、性格真逆の友達と行くともっと楽しいんだろうな~と、ひとりで見に来たことを若干後悔した。それでも、あいつならこれ分かるんだろうな、とか、想像しながら見ていくのも楽しかった。

ちょっと自分でも考えてみた
・「占いって、なんの根拠もないよね?」
・「そんなに忘れるならメモとれば?」
・「回転寿司も、問題になるなら回さなかったらいいのに」

 展示を見終わった私は、これからの人生がちょっとだけ、贅沢になっていきそうな気がした。他の人のうれしい瞬間を聞くことで、わたしもうれしくなれるかもしれない。そういうことじゃないって思うようなことを言われても、それはお互い様なのかもなと納得できるかもしれない。なんだか、急に誰かとしょうもない話がしたくなった。

帰り際、またちょっとうれしいことがあった。
「最後まで楽しませてやるぞ!」という気概がうれしかった。



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