🇰🇷無駄の多い韓国旅行記（二日目）

　お盆休みを利用して、地元の友人と二泊三日で韓国に行ってきました。誰かと旅行すること自体久々で、それが海外旅行だもんでド緊張。これは、そんな私による大慌て韓国旅行記です。

　私と友人は二人とも韓国に行き慣れているわけではなく、むしろミーハーな方なので、行ったのは超メジャースポットばかり。「そのまま旅行記を書いても読み応えがない！」と思ったので、できるだけ事細かに書いてみることにしました。絶対に旅行記に必要ないことまで書いています。はっきり言って、無駄です。無駄ばかりです。

　でも、待ってください。友人との旅行なんて、実際そんなものなんです。効率的ではなく無駄ばかり。むしろ、その無駄によって「友人と二人で韓国旅行をする」というのがどういうものなのか、リアルにイメージしてもらえるのではないかと思っています。無駄も愛してください。

　てなわけで、まずは簡単に私たちの自己紹介を！

白川🎶：
・韓国旅行は一年ぶり二度目
・英語は少しできる
・韓国語は文字を読むだけ（地名とか読める）
・KPOPとグルメが好き

友人👖：
・韓国旅行は三ヶ月ぶり三度目
・英語は少しできる
・飛行機とホテルを予約してくれた
・ファッションが好き

一日目はこちら

　それでは、韓国旅行のメインとなる二日目！

06:15　起床

　昨日、寝る前にかけ布団をかけ忘れた。普段は一人暮らしの暑い部屋で寝ているのでそれでもよかったが、ホテルの空調を舐めていた。かなり空調が効いていたのか、ふくらはぎがキンキンに冷えてやがる。昨日の疲労が倍増しているような感じがしていて、もう足が重い。先が思いやられる。

　今日は旅行二日目、丸一日かけて韓国を周れる唯一の日。効率的に動こうとした結果、こんなにも早起きになってしまった。受験期の高三のような詰め込みスケジュール。時間がもったいないのでさくさくっと支度していたが、持ってきた服のどちらを着るか、二択で悩んでしまった。Aは涼しいが、前に大阪で友人と遊んだ際に着た服なので少し抵抗がある。Bは最近買った服だが、ここで着るには少し暑い。

　そう、韓国は思っていたよりも暑かった。一日目は夕方についたので耐えられたが、それでも暑さを感じていた。韓国って、寒いんじゃなかったっけ。寒いから、辛い料理が多いんじゃなかったっけ。とまぁ気候に文句を言っても仕方がないので、友人の前で着たことのあるAを選んで支度を終えた。髪のセットは諦め、いざ出発！

　少しホテルから離れた鐘路3街駅に向かう。明洞から逆方向に足を向けると、一気に下町感が出る。正直言うと、ちょっと空気が重い。でも、大阪もそんな感じだよな。これで幻滅とか言っちゃうのは、さすがに夢見すぎだよな、と思った。どちらかと言うと、明洞が派手すぎるのかもしれない。どう見たって観光客向けの街なわけだし。

　駅に到着。まだギリギリ早朝と言える時間帯だったので、乗り込んだ電車はガラガラだった。特に何も考えず端っこの席に座ると、向かいに座っているご老人が韓国語で何か話しかけてきた。「なんですか」と表情で伝えたところ、近くの壁を指さしながら「そこ優先座席だから座るな」と表情で伝えてきた。空いているんだから別にいいじゃないかと思いながらも、私と友人は席を移動することにした。日本だと、優先座席は混んできた時に譲るものという認識だったが、郷に入っては郷に従え、だ。それにしても、初対面の他人に向かって座るなと言えるとは（言ってはいない）、たいした度胸だ。あのご老人のMBTIはE（外交的）からはじまるのだろう。一駅で降りるから、なんでもいいんだけど。

07:30　cafe onion 安国店

雰囲気よすぎ〜

　安国駅に到着！ 前に韓国に来た時、このエリアには行かなかったので早くもわくわく。景福宮も気になるが、今日はonionという若者の間で話題のカフェが目当てだ。onionは、韓国旅行をした人のインスタにはほぼ確実に登場する。さて、今から優雅な朝食をとろう。こんな時間に朝食なんて、普段夜型の私には考えられない。

　こんな時間なのに店前には少し列ができている。とんでもねぇな。少しずつ店内に案内されていくのだが、列から見える店内の様子がもうすごい。古い建物をリノベーションしたような内装に、わくわくが止まらない。

　店内に入ると、きらきらふんわりひかるパンがたくさん並んでいた。インスタでよく見る、三角の塔のようなパン。シュークリームのようなパン。苺が乗ったパン。マスカットが乗ったパン。クロワッサン。塩パン。よくわからない白いパン。普通そうで多分普通じゃない茶色いパン。いっぱいパンがあった。友人は、堂々とあの三角の塔のようなパンをピックアップ。私は、クロワッサンと塩パン。パンにまで性格が表れているような気がした。ドリンクはアメリカーノにした。

　レジ前にて、エコバッグのようなものが売ってあり、買うかどうか真剣に悩んだ。青とオレンジの二色展開。強気だ。さすが韓国。地味な色なんて置いていない。悩んだ末に、今使っているTrader Joe’sのエコバッグで十分という結論に至った。ただでさえ開放的な気分になる海外旅行、財布の紐の緩みには気をつけなくては。

　お会計を済ませて、縁側のような席に座る。朝早いからいい気持ちで座れるが、昼以降は日向とはおさらばだろう。友人は「いつかカフェでも開いて生きていきたいな」と言っていた。全く同意である。できれば京都でカフェを開きたい。京都の、鴨川の近くの、適度に古風な物件をリノベーションして、珈琲を淹れる生活をしたい。そうは言いつつ、それが実現するのは何年後になることだろうか、とも思う。思い切りのいい性格をしているのなら、こんなところで愚痴を言うようなことはなかったはずだ。カフェを出る際にも少し迷ったが、結局エコバッグは買わなかった。

これが三角の塔

08:00　昌徳宮

　onionを後にしたものの、次の予定までは少し時間がある。近くを散策してみることにした。有名な景福宮に寄るほどの時間はなかったため、すぐ近くにあった昌徳宮に行ってみることにした。

　向かう途中に市役所のような建物があり、その前に「現代」と大きく書かれた石碑が置いてあった。現代……？ なんだそれ。まず漢字なのも違和感あるし。韓国語訳しろよ。それに、なぜ現代なんだ。概念すぎる。外は暑いし、いい加減にしてくれ。

　そんなことを友人と言い合いながら、ふと前方に目をやると、「空間」と書かれた看板があった。空間……？ なんだそれ。だからなんでやねん。外は暑いし、いい加減にしてくれ。漢字すぎる。どうやら「空間」の建物はミュージアムらしい。だとして、空間の意味はわかるが漢字はわからない。

　歩いていると、街行く一人の女性に声をかけられた、日本語で。なぜバレたのだろうか。「なんで空間やねん」とか言っていたからだろうか。その人は私と友人に「ベーグルミュージアムを探してるんですけど、このあたりであってますか？」と、Googleマップを開きながら尋ねてきた。いや、知らんけど。こっちも観光客やし。ベーグルミュージアム……？ なんだそれ。友人が地図を見ながら「たぶんそこ右曲がってちょっと行ったとこですよ」と答えていた。優しいやつだ。「ありがとうございます！」と言ってその人が去ってから、友人は「ここまで来れたらもうゴール直前やのに」と言っていた。たしかに、ここまで来たなら自分でシュートを決めてほしかった。

　昌徳宮に到着。しかし、朝早すぎて中には入れなかった。韓国人らしきおじいちゃんも、門の前まで行って時間を確認していた。友人は「この門の前で写真撮ってよ」と言って駆けていった。私は、おじいちゃんが映らないように角度を調整する。友人は「ここが私のアナザースカイ」と言わんばかりに両手を広げ、日の光を一身に浴びていた。初めて来た場所なのに。

08:45　NIKEの整理券待機

昼の明洞

　さて、明洞に戻ってきた。NIKEの整理券を取りに来たのだ。そう、NIKE。明洞にあるNIKE SEOULでは、「NIKE BY YOU」というオリジナルグッズをカスタムできるサービスがあるんだとか。ファッションに疎い私は、友人だっての希望で体験してみることにした。

　友人は「NIKE BY YOU」に並々ならぬ情熱を抱いていた。なんでも、友人は前回ゴールデンウィークに韓国に行った際、NIKEでカスタムを体験していたらしい。しかし、カスタム後受け取りまでにかかる時間を考慮しておらず、帰りの飛行機の都合上泣く泣く受け取りを諦めたのだった。せっかく作った世界に一つのオリジナルアイテムは、誰の目にも触れることなく解体。それは悲しいね。

　明洞にはいろんな人がいる。主には観光客だが、時折よくわからない現地の人もいる。今日はキリスト教の布教をしている人を見かけた。たまき日本でも聖書を配っている人はいるが、明洞で見かけたその人は路上で屋台みたいなブースを作り、メッセージみたいなものを書いた看板を並べ、メガホンのような機械でスピーチをしていた。話している内容はわからなかったが、看板には漢字で「火」とか「地獄」とか書かれている。キリスト教ってこんなに物騒だったっけと思った。

　言ってる間にNIKEに到着。整理券の配布は9:30からなのに、もうこの時間に十組くらいは並んでいた。私と友人は隣にあったブルーボトルコーヒーでドリンクを補給し、配布まで待機することにした。私は朝同様アメリカーノを注文。と言うより、onionにもここにもドリップコーヒーがなかった。韓国の文化なのだろうか。逆に日本でアメリカーノを頼むことはほぼないので、ちょっと新鮮だった。

　さて、並び始めたのはいいが、まだ少し時間がある。友人が「並んどくから買い物とか行っててええよ」と言ってくれたので、お言葉に甘えて明洞を徘徊することにした。だいたい三十分後くらいには戻って来なければいけないので、そこまで遠出はできない。私は自由なはずなのに、明洞からは出られない。

　まだ朝早い時間だったので、明洞でも開いてる店はそんなになかった。ただの散歩をすることになった。めちゃくちゃ散歩。キリスト教の人の前を抜けて、まだ歩いたことのない道を見てみようと思った。目標、明洞完全制覇。いや、店開いてないから完全制覇とは言えないか。明洞路地完全制覇。これなら問題ない。ジョングクが写ったバカでかい屋外広告を見つけて思わずシャッターを切った。NewJeansのポスターがたくさん貼られていたコンタクトレンズの店も激写。果たして、これが明洞観光と言えるのだろうか。

　整理券は、希望の時間で手に入れることができた。「NIKEのアプリだけ、入れておいてください」と言われたので、どこかで落ち着いたときにでもやっておこうと思った。

09:45　ホテル帰宅

　整理券を無事に取得できた私たちは、一度ホテルで休憩することにした。とにかく暑い。ホテルと明洞の往復は毎回北側の大通りを使っていたが、ふと思いついて東側の通りから帰ってみることにした。地図で見ると、そっちのルートの方がちょっとだけ短い気がしたからだ。こんなに暑い日は、できるだけ外にいる時間を減らすのがよい。新ルートの方では、大聖堂の前を通ることになった。なるほど、だからキリスト教なのか。神々しい雰囲気に、少しだけ汗がひいたような気がした。

　ホテルでスマホを充電しようとしたのだが、なぜか接続ができない。昨日は問題なく充電できたコンセントなのに。しかたないかと思いながらテレビをつけると、それに連動して接続ができたのか、スマホの画面が光った。どんなシステムやねん。

10:30　NIKE SEOUL

一人だと入れないな

　整理券の時間、10:30ギリギリにNIKEに到着した。ちょっとホテルでゆっくりしすぎた。店内に入り、優しそうなスタッフさんに整理券を渡すと、奥の方のスペースに案内された。そう言えば、なんかすんなり入れたけど、NIKEのアプリ必要なかったな。入れ忘れてたから助かったけど。

　店内では一組ごとに席を用意されていて、そこにTシャツやパーカー、キャップなんかのアイテムを持っていき、テーブルに置いてあるプリントやパッチでカスタムしていくというシステムだった。プリントもパッチもたくさん種類があった。韓国語でNIKE（나이키）と書かれたパッチもあってかわいい。店内を見渡すと、サンプルとして様々なカスタムをされたTシャツが並べられてあった。

　あかん、これ無理や。

　とにかくファッションには疎い私なのだが、実はデザインのセンスも皆無なのである。前に部屋の壁に絵や写真を飾ろうと思ったこともあったが、貼ってみた結果、ない方が綺麗なことに気づいてやめた。やばい。軽はずみな思考で友人についてきたが、これはやばい。完全にピンチ。さらに運が悪いことに、NIKEはスポーツメーカー？なのでスポーツをモチーフにしたデザインのプリントやワッペンが多い。私はスポーツも詳しくないのだ。しかし、八方塞がりな状況でまごまごしていた私の前に、一筋の光が舞い込んだ。

　NewJeansだ。

　なんと、テーブルの端の方にNewJeansがモチーフのプリントが置かれているではないか！ これだ！ これしかない！ 神様仏様NewJeans様Ador様ミンヒジン様、心より感謝申し上げます。NewJeansがいるとなると話は変わってくる。私は早速一枚の白Ｔシャツを手に取り、その胸元にNewJeansプリントをテープで貼り付けた。他にプリントもパッチもいらない。このシンプルなＴシャツでいい。ライブでもないのにグッズを獲得できたと思えばいい。気分は最高だ。

　さて、10:30からNIKEのカスタムを始めた私たちだったが、実はかなり時間に追われていた。整理券の時間は11:00までだったのだが、友人は元々アートメイクを11:00に予約しており、早めに抜けなければならなかったのだ。さっさとNewJeans柄にした余裕の私とは対照的に、友人は鬼気迫る表情をしていた。

　何とか友人も三点のカスタムを完成させることができた。友人は野球っぽいデザインのプリントやパッチを多く貼っていたので、NIKEのスタッフさんが英語で「野球好きなんですか？」と声をかけてくれた。友人は「そうなんです」と言い、何やら日本の野球選手の名前で盛り上がっていた。私は金本さんと大谷さんくらいしか野球選手を知らないので、綺麗なまでに蚊帳の外だった。スタッフさんがプリントやパッチの数を数えて会計をしてくれている間に、友人は次の予定のために店を後にした。

11:00　別行動

大好きキムパ

　友人がアートメイクの施術を受けている間、完全にフリータイムになった。だいたい一時間くらいで終わると聞いていたので、多少は移動する時間もある。どうしよう。何も考えていなかった。ホテルに帰ってもいいが、うーん。それはもったいない気もしていた。

　そこで私は閃いて、明洞から少し離れた弘大入口（ホンデイック）駅の構内にあるキムパ屋さんに行くことにした。このキムパ屋さんは、安くて美味いコスパ最強店。しかも駅構内なので、外に出なくていいのもありがたい。一年前に一人で韓国に来た時には、二泊三日で三回はこの店でキムパを食べた。それくらい好き。今回の旅程ではいけない可能性が高かったので、行くなら今しかない！ まさに好機だ。

　というわけで、苦も無く弘大に到着。2号線から空港線の方に向かう途中に、その店はあった。シンプルな店だ。正面にはキムパが並んだ冷蔵の棚があり、左には立ち食い用のカウンター、右にはレジ。紙皿に好みのキムパを取っていき、レジで支払うとおでんのつゆみたいなものを紙コップに入れてもらえるので、それらを持ってカウンターに向かう。キムパは細巻で一本1,300ウォン。日本円で約130円となかなか安いが、前に来た時は1,000ウォンだったので、少し損した気分になった。味は安定の美味さ。はい、文句ないです。

12:00　NIKE受け取り

　はじめて韓国に行く人には、一つ気をつけてほしいことがある。韓国では、地下鉄の乗り換えにかなり時間がかかるのだ。梅田でいうところのJR大阪駅と阪急大阪梅田駅くらいの距離感を想像していると、思わぬタイムロスになる。体感だと梅田と十三くらいの、ほんとに一駅分くらい歩いてようやくホームに着くといった具合だ。とにかく、ここで言っておきたいのは、私が遅刻したのは私のせいではなく、乗り換えにかかる時間のせいだということだ。

　友人との待ち合わせ時間に遅刻した。やばい。急いで友人に連絡したところ、どうやら友人も施術の時間が押していたようだた。ギリギリ耐えた。危ないところだった。ホテルで集合することになったが、その前にNIKEの受け取りに行かなくてはならない。服屋に一人で入るのは、いまだに緊張する。そんなだから、いつまで経ってもセンスというものが身につかないのだろう。情けない。

　おそるおそるNIKEに侵入すると、スタッフさんに「Pick up?」と声をかけられた。拙い英語でそうだと伝え、カウンターに案内された。スタッフさんは私たちがカスタムしたアイテムを畳みながら「Do you like it?」と聞いてきた。その時畳んでいたのは友人のＴシャツだったが、私は「Yes!」と答えた。一瞬でも友人のＴシャツをまるで自分のものであるかのように振舞ってしまったことに、少しの罪悪感を覚えた。

　スタッフさんが私のNewJeansのＴシャツを手に取り、「Do you like NewJeans?」と聞いてきたので、私はさっきよりも強く「Sure!」と答えた。野球選手の話を振られなくてよかった。その後は好きなメンバーの話をした。スタッフさんはハニで、私はミンジ派。日本語で「NewJeansは日本でも人気ですか？」と聞かれ、いろいろ考えて「めちゃくちゃ人気」と答えた。私の語彙力はどこにいったのだ。とにかく、優しいスタッフさんでほんとによかった。

　ホテルに着くと友人がいた。さっきのNIKEでの話、「Do you like it?」と聞かれた時の話をすると、友人は「これでほんまにいいん？っていう嫌味やったらどうする？」と言っていた。そんな、京都じゃないんだから。

13:30　聖水（ソンス）

オラ、ワクワクすっぞ！

　一息ついたところで、私たちは聖水に向かった。聖水はおしゃれなカフェや人気ブランドがたくさんある、若者の間で最近人気のスポットだ。ファッション好きな友人が、今回の旅行で行ってみたいと言っていたスポットの一つでもある。聖水は少し離れたところにあるので、電車に乗った私たちは食い気味で二席を確保して座った。朝早くから行動していたからか、友人はすでに眠たそうな顔をしていた。

　聖水駅に到着。暑い。韓国に来てから今までで一番暑い。何だろうこの暑さ。暑い上に湿度が高く、もともと工業地帯だったからか空気も重い。先に言っておくと、この暑さにやられていたのか、聖水での記憶がとにかく薄い。ぼんやりとしていて、むしろ無駄が少ない。本来は良いことなのかもしれないが、この旅行記のコンセプトからはずれることになるだろう。それくらい暑かった。

　とりあえず、どこかしら服屋に行ってみることにした。一通り服屋を周って、その後カフェに入るプランだ。ちょうど数日前に会社の先輩が聖水に行っていたので、先輩がインスタに載せていた店から行ってみることにした。狭い道を歩いていると、ある建物の壁に筋斗雲に乗ったドラゴンボールの孫悟空が描かれていた。ドラゴンボールはすごい。こっちでも人気なのだろうか。もしかしたら、ルフィやナルトにも出会えるかもしれないと思った。私は孫悟空の写真を撮り、ついでに意味もなく友人の後ろ姿も撮ってみた。この時点では、私もまだ体力が残っていた。

　Scèneというセレクトショップに寄ってみた。回転扉があって驚いた。Matin Kimというセレクトショップに寄ってみた、なんか思っていたのと違った。この段階で、たぶん私は軽い熱中症だった。メイン通りに向かう途中、CUBE ENTERTAINMENTの事務所の前を通った。そこだけは意識がはっきりしている。私は、狂ったように事務所の写真を撮りまくった。

　気を取り直して、私たちはメイン通りにあるADER ERRORに向かった。ここは前にも行ったことがあるのだが、トンチキな内装をしている店だった。店内に入るとまずクレーターみたいな穴があって、次の部屋にはスピーカーがたくさんあり、開けたスペースに出ると宇宙飛行士のオブジェや噴水の中に宇宙船が置かれていたりする。小さい部屋に入ると、意味の分からないベッドもあった。私はここが好きだった。ここで服を買いたいかと聞かれると微妙だが、テーマパークのような楽しさがあった。ただ友人は普通に服を買いたかったようで、あまり宇宙船には興味がなさそうだった。私は服のことが分からなさすぎて、ドラクエのように友人のうしろについていったところ、友人から「好きなもの見てていいんやで！」と言われてしまった。その、好きなものがないのだ。ウネウネ動く不思議なラックがあって、それをずっと見ていた。

　ADER ERRORを後にして、少し進んだところにあるセレクトショップE()PTYに行ってみた。入口には五角形の奇妙な建物があり、そこから入って奥に進むと五階建てくらいのビルになっていた。まず階段しかないのがつらい。そしてビルの奥行きが思ったより短い。ちょこちょこよさげな服もあったがしっくりくるものは見つけられず、どうやら友人も同じ感じだったようで、一通り見た後店を出た。

　さて、私も友人も体力の限界をむかえたので、そろそろどこかカフェに入ることにした。ADER ERRORのすぐ横にる大林倉庫ギャラリーコラムに入店。巨大な倉庫をリノベーションしたカフェだ。聖水にはこういうリノベーションのおしゃカフェがたくさんある。普段カフェではアイスコーヒー一択なのだが、とにかく水分が足りていない私はパインジュースを注文した。コーヒーは水分補給した感じにはならないし、もっと体に染みわたるようなものがほしかった。パインジュースは感動的なまでに美味しくて、ストローで一瞬のうちにぐびぐび飲み干してしまった。

　さて、ここからはさらにペースを上げてお送りする。ギャラリーコラムで水分補給をして元気いっぱいになったはずだったが、外に出ると再びダウン。ここからは断片的な記憶しかないのだ。

　Kodakの店黄色でかわいい。虎寿司ってなんやねん。プリクラみたいな店多い。入ったセレクトショップの雰囲気怖すぎ。中の自販機にあったリンゴジュース美味しそう。案外車の店というか整備工場みたいなとこ多い。海老天そば美味しそう。いや、さすがに日本で食べるほうが美味しい。雑貨屋さんの入口分かりにくすぎる。またウネウネのラックあった。このラックほしくなったけど売り物じゃなかった。変な展示あった。

　というわけで、聖水でのショッピングは切り上げて、次の目的地に向かうことにした。その前に、韓国の有名なダンススタジオである1MILLION DANCE STUDIOが聖水にあると知り、友人に無理言って少し寄ってみることにした。何度も見たYouTubeのダンス動画はここで撮影されているのかと思うと、ただのビルが輝いて見えた。

　そこから駅に向かう途中、たまたま見かけた青いコンテナのようなショッピング施設に入ってみることにした。中には古着店があったり、かわいいグッズが売ってる店があったり、普通のNIKEがあったり、飲食店とかとにかくいろいろあった。コンテナのくせに、中は広いんかい。ダーツの機会が置いてあったけど、故障中なのか元からなのか、プレイすることはできなかった。

服屋の宇宙飛行士

16:45　ピョルマダン図書館

絶対に本取れない

　続いても友人の勧めで、ピョルマダン図書館に行くことにした。なんでも、大量の本が並んだ図書館らしい。図書館ってそういうものではあるが。ピョルマダン図書館には、聖水からは電車に乗って移動した。この時に、大大大大大誤算。最寄り駅を間違えて大歩きことになった。2号線で行けばいいところを7号線で行って、二駅分くらい歩く羽目に。友人は文句ひとつ言わずに歩いてくれたが、さすがに申し訳ないと思った。韓国の地理が難しすぎる。

　ピョルマダン図書館に到着する頃には、完全に脱水症状になっていた。意識は朦朧とし、視界は狭く、表情は無。スタバに寄ってピーチティーを購入したが、一口で飲み切ってしまった。まだまだ喉が渇いていたが、ナタデココを掬ったり、氷を舐めたりして誤魔化す。ナタデココ入りなのは新鮮で嬉しいことだが、この時ばかりは水分の方がほしかった。

　ピョルマダン図書館は思ったよりも大きかった。二階分がぶち抜かれた高い天井のフロアに、壁一面に本が並んでいる。あの辺絶対取れへんやろっていうところにまで本がある。エスカレーターの横にも本があり、手を伸ばせばギリギリ届きそう。これは取っていいのだろうか。エスカレーター下の開けた広場では写真を撮っている人がたくさんいた。友人に「写真撮ってや！」と言われたが、こういう時だけGoogle Pixelだったらよかったなと思う。

　図書館を一周していると、スタバとは別で併設されたカフェがあった。ファンシーなカフェ。きっとスイーツが美味しいのだろう。そんなところに、明らかに世界観の違う人がいた。孫悟空だ。ドラゴンボールの。超サイヤ人の。たぶん超サイヤ人3の。孫悟空を見るのはこの日二度目だ。一度目は聖水の壁（イラスト）で、二度目は図書館のカフェ（実写）で。やはり実写の迫力はすごい。しかも、原作の孫悟空さながらの筋骨隆々な男性だったので、すごいというかもはや怖い。池袋に行ってほしいと思った。

　一通り観光した後、次の目的地に行くために駅へと向かった。2号線はほんとうにすぐ近くだった。申し訳ない。電車では、二人そろって爆睡した。

18:00　肉典食堂 3号店

肉の断面が輝いている

　本日の夜ご飯をどこで食べようか思案していたところ、会社を辞めた先輩がサムギョプサルのお店・肉典食堂を紹介してくれた。先輩の勢いに押され、私はその店に向かうことに決めた。もちろんちゃんと美味しそうだったからではあるが、行かなかったら先輩に申し訳ないような気もしていた。

　新設洞駅に到着し、肉典食堂の本店に向かう。着いたところ、どうやら本店は人がいっぱいのようだった。店員さんに近くにあるという3号店を勧められた。なんだか昨日の夜を彷彿とさせるやりとり。違うところがあるとしたら、店員さんがドリンククーポンをくれたことだ。これくらいのことでくれるのなら、実質元からドリンク一杯無料なのと変わらんやろと思った。

　少し歩いて3号店へ移動。3号店は待ち時間なしで入ることができた。店内で案内された席には、すでにキムチやサラダ、薬味なんかが置かれてある。そんなことあるか。本店から連絡があったわけでもなさそうなのに。ピークタイムはこうやって回転させているのだろうか。テーブルについて、急いで卓上にあったお茶をぐびぐび飲んだ。とにかく喉が渇いていた。お茶は驚くほど薄かったが、水分がほしかった私にはこれくらいでちょうどよかった。それにしても薄いけど。すき家を超える薄さだ。もう水でいいだろうと思うくらいの薄さ。

　とりあえず注文を決めようと思いメニューを見るが、韓国語で書かれているため解読が必要だ。なんとかハングルを読み解いて、サムギョプサル二人前と、先輩が勧めてくれた行者ニンニクの葉のナムル、ネットでおすすめされていた焼飯を注文した。注文後に日本語メニューを手渡されたが、時すでに遅し。卓上に置かれていた大根キムチとカボチャサラダは美味しかった。

　注文後、爆速でサムギョプサルの肉が到着。ピッカピカのブロック肉だ。もうすでに心は満たされ始めている。さて、どうやって焼いていこうかと思っていたところ、店員さんがやってきて焼き始めてくれた。よくよく店内を見ていると、その店員さん一人が各卓をキビキビと回って肉を鉄板に並べ、裏返していっている。何周も、何周も、何周も。目が回りそうな速さ。世界には、こんなワンオペがあるのか。そうこうしているうちに、サムギョプサルは焼き上がっていく。カットされる瞬間を動画で撮りたかったのだがタイミングがわからず、友人も私も、三回くらいカメラを構えては下げてを繰り替えしていた。

　そしてそして、ついにサムギョプサルが完成！ ぶりっぶりな肉に大歓喜。写真を撮る手も肉といっしょに震えていた。さて、どうやって食べていこうか。薬味は塩、コチュジャン、カレー塩、わさび、ニンニク、味噌なんかがあり、それと香味野菜とチシャ菜、さらには追加で頼んだ行者ニンニクの葉のナムルもある。どれからいくべきか。悩んだ私は、まずはこの肉のポテンシャルを確かめるべく、シンプルに塩でいってみることにした。本場のサムギョプサル。一口目からうますぎる。全然脂がくどくなくて、噛みごたえはあるのに気づいたら口から消えている。やばい、これは、無限に食える。美味しいって、危険だ。

　そこからは、いろいろと試していく時間になった。コチュジャン、美味い。カレー塩、美味い。わさび、美味い。ニンニク、辛い。味噌、美味い。友人はわさびが苦手だと言っていた。中学時代から大人っぽい人だったので、けっこう意外だった。そんな感じで色々食べる中、キムチや野菜、薬味が少なくなってくると店員さんが無言で皿を取り上げ、無言で追加してくれる。理論上、食べ切ることができないシステムだ。きっとこれが韓国の文化なのだろう。食べ切る時は、店の在庫が切れた時だ。

　そろそろ行者ニンニクに手を付けよう。これが気になりすぎている。チシャ菜と比べて幅も短くペラペラな葉。先輩が言うには、これを肉に巻いてわさびを乗せて食べるのが至高だそうだ。言われた通りそのままやってみたところ、私は宇宙を見た。光ひとつない宇宙だった。美味すぎて涙が出てきた。もう一度宇宙に行こうと思って皿を見ると、もう肉は食いつくされた後だった。私たちはすぐさまサムギョプサルを一人前追加し、モクサルを一人前追加し、またサムギョプサルを一人前追加した。〆の焼飯まで、全ての細胞が美味しかった。

20:15　弘大（ホンデ）

　韓国二日目の夜は、まだまだ終わらない。

　腹ごしらえも済んだので、弘大の方で服を探してみることにした。私にとっては、弘大に戻ってきたという感覚だ。移動がてら、韓国に詳しい友人に弘大で服を買う時どこを回ったらいいかを聞いてみた。帰ってきた答えは、「メイン通り行ってみたら？」だった。急に聞いたこちらも悪いが、にしてもさ。

　弘大の駅から出たところにBUTTERという雑貨店があり、表には今公開中の映画「インサイド・ヘッド2」の等身大フィギュアが飾られていた。なんかあるなーと思っていたら、友人が「やばい！ あれ見に行っていい？」と言い出した。なんでも、友人は最近「インサイド・ヘッド2」を見て激ハマりしていたらしい。グッズはあまり売られていなかったが、フィギュアと写真を撮っている時の友人は、この日一番いい表情をしていた。

　外に出て、メイン通りを目指し、また場所を間違えた。ほんとうに申し訳ない。今日の私は友人を歩かせてばかりだ。メイン通りに着いたところ、びっくりするくらい明るい。昨日の明洞ともまた違う、学生街ならではの明るさ。明るいし、騒がしい。その騒がしい方に向かってみると、路上ミュージシャンが歌っていた。ただ、歌がうまい。さすが韓国。騒がしいとか言っちゃってごめんなさい。

　一通り服屋を回り、服を買ったり買わなかったり。なにぶんセンスが皆無なもので、私は滅多なことがないと服を買うことができない。友人は何やら手に入れているようだったが、私は手ぶらのままだった。メイン通りを奥まで行き、AK PLAZAにたどり着いた。韓国の百貨店みたいなところだ。友人はもう買いたいものがなかったようだったので、一人で上まで行ってみることにした。最上階まで行って、ワンピースとコナンの展示だけ見て帰ってきた。そのまま私はホテルに帰ろうかと思ったが、友人は別で行きたいところがあったらしく、ここでいったん別れることにした。

23:00　ホテル帰宅

　一人でホテルに帰宅。下のセブンイレブンで、一人分のパックを買って一人で帰る。友人が帰って来る前にシャワーを済ませておこうと思った。着替えを準備し、お湯を出そうとしたところ、昨日よりも水圧が弱い。そういえば、昨日先にシャワーを浴びた友人が「水圧弱かった」と言っていた気がする。ずいぶんゆっくりとギアを上げていくシャワーなんだな。今日は友人は、強めのシャワーを浴びられるかな。とりあえず、歩き回った疲労を取るために、ふくらはぎを揉みながらシャワーを浴びた。丹念にマッサージをしていたら、洗面所の外から友人の声が聞こえてきた。

　二人で髪を乾かしたりパックをしながら明日の予定を決める。今日はonionの開店時間に合わせて朝早く活動を開始したが、明日行きたいお店は9:00開店。やった。ちょっとゆっくり寝られる。今日はすぐに眠りにつけそうだ。もうスマホを見る気力もない。歩きすぎた。

---

三日目はこちら

---

このnoteを読んでわたしに興味を持った、
そんな素敵な方にはこちらを……