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事業フェーズごとのSaaSプロダクトのマーケティング戦略とは

こんにちは!SaaS Growth Partnersです。

SaaSのスタートアップ企業がぞくぞくと増え急成長している中で、自社のプロダクトの成長段階に合ったマーケティング施策にお悩みのマーケターの方も多いのではないでしょうか。今回は、SaaSプロダクトの成長フェーズや投資ラウンドごとに実施すべきマーケティング施策について整理してみました。


事業フェーズ毎のマーケティング投資の傾向

スタートアップ企業は、プロダクトのローンチ~成長の段階に合わせて、投資ラウンドが設定されています。投資ラウンドに関しての説明は今回は割愛しますが、「シード~アーリー期」「シリーズA」「シリーズB」「シリーズC・D以降」それぞれで、マーケティングに投資できる予算感やマーケティングで実現したい目的、実施すべき施策が異なります。

フェーズ毎のマーケティング環境・投資金額・実施施策例

企業によって投資できる金額は異なりますが、一般的にはシリーズが進むに従ってマーケティングに投資できる予算が大きくなり、実施可能な施策も増えていきます。この投資予算によってどのような目的の施策を優先するかが異なり、予算に対する目的設定や施策の判断を見誤ると、実現不可能な目標を立ててしまうことにもつながりかねません。

次の章では、各フェーズでよくあるマーケティング環境と、具体的に実施すべき施策について説明します。

フェーズ毎のマーケティング環境と主なマーケティング施策

シード~アーリー期:顧客解像度を高める戦略設計から着手

PMF前の段階では、事業開発のためのサービス内容・機能・プロダクトの強みや打ち出し方を定義していくための分析や戦略設計が必要となります。

マーケティング観点では4PやSTP、SWOTといったフレームワークを活用した分析に加え、ペルソナやカスタマージャーニーマップの作成といったコミュニケーション設計にて、獲得したいユーザーの行動をイメージした上で、プロモーションの戦略を検討します。
コミュニケーション設計が抜け落ちてしまうと、プロダクトアウトのプロモーション施策に陥りがちなため、コミュニケーション設計は非常に重要なステップです。

コミュニケーション戦略の必要性

事業やプロダクトの戦略とコミュニケーション設計、プロモーション策定が進んだら、実際にプロダクトを売り出すための基盤となるサイトの制作は最低限必要な投資対象になると考えます。

<やるべき施策>
・プロダクト自体の分析
・コミュニケーション設計、カスタマージャーニー作成
・プロダクトサイトの制作

アーリー~シード期

シリーズA:少額の投資でリード数を増やす

プロダクトをローンチしPMFが達成している状況では、成約実績を蓄積して売上や利益を創出することが求められます。ただし、このフェーズではマーケティングに投資できる予算が潤沢にはない状況が多いかと思いますので、ターゲットとなるリードを獲得する施策に軸足を置くことが多いです。獲得したリードとコミュニケーションを取りながら、ユーザーの課題やニーズの情報を収集し、訴求方法のPDCAを回しながらマーケティングの勝ちパターンを見つけていく動きが必要です。

また、リードを獲得するための基盤としてのランディングページやサービス紹介資料の制作も検討し、必要に応じてデプスインタビューやテレアポを通してユーザーの声を収集することを推奨します。

(参考)リード数増加に成功した事例

<やるべき施策>
・リード刈り取りのための集客
・ランディングページやサービス資料の制作
・ユーザー課題やニーズの収集

シリーズA

シリーズB:データを活用して質の高いリードを獲得

プロダクトの成約、売上のさらなる拡大を目指し、ターゲットリード獲得に向けて本格的にマーケティングを進めていくフェーズです。MQLやSQLといった商談や成約につなげていくためのKPIの定義も進み、リード数はもちろん増やしつつも、より商談・成約につながりやすいリードを獲得するための施策に注力し始めます。

このフェーズではLTVの向上に伴い許容できるCACも上がり、マーケティングへの投資額が増えると同時に、プロモーション戦略もその分複雑化してノウハウが必要となります。例えば、マーケティングデータとセールスデータを連携することで本質的な集客のPDCAを回したり、潜在層向けの施策の実施において正しいKPIを策定したりと、検討すべき要素が増えていきます。

これらの戦略検討・実行のためのマーケティングリソースが不足するといった課題を持つ企業も多く、戦略検討のサポートとリソース課題の解決の観点で、広告代理店へアウトソースをすることも増えていきます。

(参考)リードの質を加味した広告運用とは?

<やるべき施策>
・リードの質も重視した集客
・準顕在~潜在層向けの施策
・顕在~潜在層それぞれに向けたマーケコンテンツの制作

シリーズB

シリーズC・D以降:中長期的な売上拡大のための投資を

このフェーズになると、これまでの実績からROIやROASの目標値がより精緻に算出できるようになり、この目標に対して効果の高いマーケティング施策もある程度見えてきているため、マーケティング投資額がさらに増える中で、目の前の目標に対する施策は確実に実行しつつ、より長期的な目線で戦略設計する必要が出てきます。

プロダクト認知のための施策やコンテンツ制作への投資に加え、既存顧客のLTVを効率的に向上するにあたってカスタマーサクセス組織の本格的な運営やテックタッチの導入など、マーケティングのみならず、売上につながるさまざまな組織への投資も増えていきます。

(参考)売上につながる広告運用を実現するための取り組み

<やるべき施策>
・より売上につながる集客手法の発掘、実行
・認知施策やコンテンツマーケティング
・カスタマーサクセスの強化、テックタッチの導入

シリーズC・D以降

このように、投資ラウンドによってマーケティング投資額やマーケティング目的、それに伴う実施施策は大きく異なります。
今回はシリーズ別の違いを紹介しましたが、ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaS、ターゲットとなる部署、投資できる予算など、条件によってマーケティング戦略はさまざまです。自社に合ったマーケティング戦略を設計するためにも、市場や競合状況、社内組織体制や目標値などを正しく理解することが重要です。

最後に

SaaS Growth Partnersのアカウントプランナーは、BtoB SaaS市場を取り巻く動向や、各企業の事業環境、フェーズといったビジネス状況について理解した上で、戦略設計から施策実行まで一気通貫でデジタルマーケティングの支援を行っています。自社の状況に合った戦略策定やプロモーション設計、施策実行にお悩みの方はぜひ一度ご相談ください!