『外国人のための会話で学ぼう!介護の日本語』レビュー
大きい本屋の日本語教育コーナーでは、最近介護分野のテキストも増えてきていると感じます。
あまり介護の日本語テキストのレビューを見かけないので、細々と行おうと思っています。
今回はこちらのレビュー
介護の日本語テキストでは割と使っている声も聞きますし、他と比較すると使いやすいテキストだと思います。
テキストについて
著者等の肩書きを見ても日本語教育の方が作ったというよりは、介護関係の方が作り、一部日本語教育が絡んでいるというものなので、日本語教育のテキストとしては体系的でもないですし、改善をしてほしいと感じます。
全体的に出てくる文法は、N3相当のものが多いです。
テキストの良い点
各課ごとに、マンガがあるので学習者にはわかりやすい面もあるかなと思います。
英語、インドネシア語、ベトナム語、ミャンマー語とテキストの文法解説や単語の翻訳が付いています。介護系のメイン層はカバーできるかと思います。
しかし、私の教えている介護の実習生は中国人に対してなので、出来れば対応言語を増やしてもらいたいです。
テキストの改善してほしい点
文法説明では、少ししかパタプラの問題はないので、覚えさせるならば教師が補充しなければならないかなと感じます。
文法を導入しての会話練習は、このテキストでは身に付きますが、ロールプレイを教師が用意しないと、実際の介護現場での会話が身に付かないかと感じます。つまりこのテキストをやるだけでは、実際の介護実習では苦労すると思います。
私の教えているところでは、ロールプレイに数時間割いています。
介護現場を想定したリスニング問題はあるのですが、少ないためもう少し量を増やしてほしい。
こちらでも書いた、KCDSでも指摘された「書く」項目に関係する内容はテキストには報告のメモ書き位なので不十分。また、「読む」項目に関する内容も不十分。
結構厳しく書きましたが、私の教えているところでは次の実習生の入国が再開されたら、このテキストを基準に足りない項目を3人の教師間で相談しながら補充し、教えようということになっています。
日本語教師としては物足りないけど、これを上回るテキストがないという現状もあり、誰か作ってくれないかなあなどと思う毎日です。(介護テキスト作成の話は、私の恩師の元にあったりなかったりはするのですが)