この映画の正体は 【 大怪獣のあとしまつ 】(2022)
[注意:本文はネタバレを含みます]
怪獣映画…ではない。
誰しもが思う大怪獣を倒した後どうするのか。そんな疑問を映画にしてみました。
やっぱり倒すよりも後片付けの方が絶対に時間はかかる。そこの部分をとりあげるのはいいし、映画にするのはいいけれど、それを作るにしても人選というものがある。なぜそれまで半径3kmのスケールと最大7人くらいの人間関係のヘンテコ映画しか描いてこなかった三木聡にこんな大スケールのお話を任せたのかはわからない。それこそこの映画の最大の謎だ。
そして展開される話は「シン・ゴジラ」を意識したプロフェッショナルな専門家と大臣たちの真面目な高度なお話に見せかけた、総理と大臣で織りなすめちゃくちゃな計画と失敗と責任の押し付け合い。ウルトラマンのスカイドン回を思わせる作戦とだめだめな失敗の数々に驚くぞ。
怪獣よりも目立つ監督色
そして岩松了、ふせえりが大臣をやっているところで気づくのです「あ、いつもの三木聡映画だ。」と。
この三木聡映画ほぼ皆勤賞のおっさんとおばさんを使う時点でこの映画が真面目に作られているわけがなく、出てくる出てくる相変わらずのしょーもない下品な小ネタの数々。
しかも今回は政治風刺なネタを使ったりしちゃって正直スベり気味だ。というかこの人のネタはやはり場末の怪しい下町でやったほうが似合っていて政治家とかにやらせるべきじゃないんだよな…。
そんなわけで本作の見どころはやはり役者の数々。主役の脇を固めるベテランたちは菊地凛子にオダギリジョー、二階堂ふみ、松重豊…というかコレも三木聡映画の同窓会状態。こんなにオールスターにするなら松尾スズキも入れて欲しかったな・・・。
というわけでお話も作戦はどれもグダグダで、オチは「最初からそうしろよ!」というコチラがツッコミを入れなきゃいけないぶん投げた乱暴な終わり方でなんとも言えない気分に。
しかもやってることが円谷のパロディで東映がやることじゃないじゃん!CGや特撮もそこそこ頑張ってはいるけれど怪獣映画的に面白く見せようという気が一切この監督にはないのでマジでなにもないのも残念だ…。
そんなわけでヘンテコ三木聡映画とわかっていても、スケールの大きさとの食い合わせが非常に悪いということを一応怪獣というジャンル映画で証明してしまった本作。知らずに見に行ってしまった人が気の毒としか思えない映画になってしまいました。本作に関しては三木聡映画が好きな僕でもちょっと残念な映画だと思います。やはりこの人には小規模に変な映画を撮り続けてほしいです。
DATA
大怪獣のあとしまつ
公開年:2022年
製作国:日本
配給:東映、松竹
上映時間:115分
監督:三木聡
ちなみに
三木聡映画は全てを見ているわけではありませんが、かなり好きで、
特に僕が好きなのは「図鑑に載ってない虫」という作品で、生涯のベスト3に入るほど好きです。こういう映画をもっと作ってくれ〜。