新入社員に贈る図解:戦略は何をやるかではなく、何を先に潰しておくか。
今年もありがたいことに、3名の若者が新卒で入社してくれた。
入社してくれた3名の新入社員に、贈る言葉ならぬ、仕事のあれこれをアップグレードするための「新入社員に贈る図解」をとどけます。
いやー、俺はほんまうれしいよ。
こんなちっさい会社を選んでくれて、ほんまにありがとう。
俺、がんばるからな。
キミらも大いに失敗して強くなってくれ。
でもさ、失敗していいよって言うけど、
いざ失敗したら評価下がるんじゃないですか?
とか思ってないか?
安心してくれ。
俺は会社を潰しかける失敗を何回もしてるから、失敗で評価してたら俺の評価はマイナス1億点はかるく超えてまうで。
俺とおなじ轍を踏まないように、会社として9期生き長らえる中で得た学びを、新入社員のキミたちに届けたい。
具体的には起業して2年目に起こった事件から学んだ、失敗したときの振る舞いと、そもそも失敗しないために戦略をイメージで捉えることの観点から語るわな。
失敗してることにも気づかない俺
起業して2年目の俺は、次の展開を見据えて本ばかり読んでた。本を読めば読むほど知識で頭でっかちになり、負け戦をしていることにすら気づかなくなってたな。
結果自分の失敗に向き合えず、気がついたときには、
気づいたら、このざまだ。
お金がない。
こうなってはじめて分かったよ。
こうなった原因は、全部俺だってことに。
なにかを変えなければいけない。
そう、俺自身だ。
このツイートで書いた、組織最大のボトルネックは教育。
これは俺自身への情操教育が必要だったんだよ。
だから俺は、はじめて失敗してる自分を受け入れ、現実を直視した。
上手くいってないときに、数字や論理でいくら煽っても無駄なんだ。誰かに行動してもらうためには、上手くいってない自分を認めて謝罪するのが良い。
でも、謝罪したからって何が変わる?
現状はなんも変わらんよね。
でもな、人の心だけは変わるねんで。
なぜなら、
感情が動けば人は動くから。
この図をみてほしい。
いくら数字を伝えても、人は行動しない。そこに危機感は生まれないから。
なぜなら、危機感の「感」は感情。
上手くいかなった時には感情に響く、謝罪をすることが必要なんや。そうすることで責任を薄め合ってただけの集団に、ほんとうの危機感が生まれる。
心から動きたいと思えてはじめて、全員が一体感をもって動くことができる。それではじめて準備ができたと言えるんやで。
新入社員に贈る言葉1
失敗したら自分を受け入れて謝罪しろ
超短時間で「戦略」をアップグレード
とはいえ、当時の俺らに時間は残されてなかった。
全員で覚悟を決めたら次は、
みんなで映画を観ることにした。
そう、オーシャンズ11だ。
いや、ちょっと待って!なんで?
と思ったかもしれない。
それはな、俺がアホやからや。
アホな俺がダラダラと「戦略本」を読んでも、残された2週間で役に立つ「何か」を得られるとは思われへんかった。
だから2時間という決まった時間の中で、必要な要素が全部詰まってる映画を選んだ。
もしかしたら、2週間しかないという地獄のような精神状態を少しでも紛らわせるための気持ちもあったのかもしれない。
理由はともあれ、俺たちはこの映画を観た。
映画の内容はよくある王道の展開。
大泥棒ダニー・オーシャンが各分野のエキスパート達とチームを組んでカジノからお金を奪う話。
ただ予想通り、そのときの俺には全く違う見方ができた。
誰かひとりでも欠けたら成り立たない「チーム」に対しての考え方、「戦略」を考える上でのイメージのもたせ方について、とてつもなく素晴らしい内容。
映画を観終わってすぐ、俺がどのように映画を捉えたかビジュアルにして改めて全員に説明した。
その当時につくったスライドで図解するね。
オーシャンズ11から学んだイメージで戦略を捉えること
戦略を考えはじめるときは、誰しもが頭の中は空っぽだ。
この空っぽから描いていくんだ。
空っぽの状態に、水が流れる川をイメージしてみてくれ。
ここでいう水とは、
世の中に流れる、
お金の流れ、人の流れ、話題の流れ。
失敗する戦略の多くが、水が流れていないところに無理やり何かコトを起こそうとしていることだ。水がなければ流れるものも流れない。限られたリソースを使って全力で張る場所を見極めこと。
どれだけ自分たちの近くを流れているかも重要なことやで。
水が流れている川が見つかったら、次は上流に草舟を置いてみよう。
草舟である理由は、ちょっとのことで沈没してしまう、俺たちは脆い存在だということを表現するため。いままで戦略をあまり考えたことがない人がやってしまうあるあるは、成功確率が恐ろしく高い前提で考えてしまうこと。
だから草舟がちょうどいいんだ。
ここで勘がいい、うちの新入社員なら気づいたかもしれない。
そうだ、
この水が流れる力を使ってコトを進めるということだ。
初手を間違えると取り返しがつかない。どこに水が流れているかを、改めてしっかりと見極めることに時間を使おう。
水の流れを見極めたら、次はようやく戦略に入ろう。
俺たちはいつまでに、どれくらい、どこに、行きたいのか。その目標を定量的にはっきりと決めなければいけない。
それが戦略だ。
たとえば、
今日の17:00までに100m先のA地点に草舟を到達させる!
これくらいはっきり決めると、次に何をしないといけないか、アクションが明確になるやろ?
だから定量的にはっきりと決めることが大事なんだ。
そして、ここでもういちど思い出してくれ。
俺たちは草舟。
弱く脆い存在。目的地までの道のりに少しでも障害があれば、かんたんに沈没してしまう。だから必要なことは、目的地までの道のりを調査し、障害を明らかにすることだ。
ほら、ごらんなさい。
調査にでたら障害物がたくさん出没した。石が転がってたり、小さな滝になってたり、川幅が広がっていたり。このまま流してたら俺たちは一巻の終わりやったな。
よし次は、この障害をクリアするためのチームを作るぞ。
障害Aを突破する、障害Bを突破する、障害Cを突破する。これが作戦だ。
作戦で重要なことは、戦術と兵站(へいたん)という考え方。
兵站は聞き慣れない言葉かもしれないが、重要なことだから覚えておいてくれ。
兵站とは、リソース(ヒト・モノ・カネ・教育)。
たとえば障害Aの石を取り除くために、どんな道具が必要で、いくら費用を用意しなければならなくて、誰がやるのが適任か。
さらに石の取り除き方のレクチャーや、取り除いたあとの石の処理まで。考えなければならないことは山ほどある。
俺たちみたいな小さな会社には、ヒト・モノ・カネがない。だからこそ、このブログのような教育の部分を強化していかなければならない。
そして作戦で決まったアクションを実行すること、
それが、戦術だ。
注意してほしいのが、他のチームだからといってコミュニケーションを減らすのは禁物な。
おなじ戦略下にあるなら他のチームとは、たくさんコミュニケーションを取りながら作戦会議をして欲しい。
なぜなら、リソースを使い回せるケースが多々あるからだ。他のチームだからといって縦割りでコミュニケーション量を減らすのは絶対に禁物。
よし!計画通りに障害Aの石を取り除けた。この石を障害Bチームに渡して、小さな滝の段差に敷き詰めて、緩やかにするために使ってもらおう。
ほらな、障害Bチームといっしょに作戦会議しといて良かったやろ!
障害Bも突破!ラストは障害C。
ここでもまた、障害Aで取り除いた石を川幅を狭くするために使うことで、予算を大幅に節約することができるぞ。やっぱみんなで作戦会議しないとな。
すべての障害を取り除けた!
あとは水が流れる力を使って草舟を運ぶだけ。
ゴール!!!
俺は当時、オーシャンズ11をみて目からウロコが落ちた。
行動計画がなかった自分たちに、何をどう行動すればいいかのシステムを与えてくれたから。
新入社員に贈る言葉2
戦略とは戦いを略すること。流れる力を見極めて、何をするかではなく、何を先に潰しておくかで考えろ。
行動計画を立てて流れる力に身を任す
映画を観終わり、俺たちに残された時間は変わらず2週間。
当時の社員数は5人。制作案件を受けていた。いままでバラバラに活動してたメンバーをまとめ、チーム一丸で攻めるための戦略をまとめた。
新規ではなくすでに流れのあるところに絞り、戦略を定量化し、失敗要因となる障害を把握。障害に対する戦術と兵站をまとめ、次の日から活動開始。
そして、やってきた期日となる2週間、を待たずして1週間で達成。
新入社員に贈る言葉3
失敗が確定するときは、心が折れてやめたときだ。
さいごに
あれから7年…
まだまだドタバタしてるけど、キミたちの失敗くらい全部俺がケツ拭いてやる!失敗するしてのやって良かったと思えるくらいのインパクトを狙って、思いっきり暴れてみろ!
入社、おめでとう。
アバンギャルドな、人生を