ミクロン単位の悲喜劇のバランスが必要なこの難役を自分のものにしていたことが印象的な鈴木拡樹と井上小百合…★劇評★【ミュージカル=リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(鈴木拡樹・井上小百合出演回)(2021)】
人間とは環境に順応していく生きものだと言われているが、ミュージカルを観ている観客の方たちだってそう。展開がどんどんと常軌を逸し始めても、その時点での「最善」を見つけて行動する登場人物たちの選択に順応し、感情移入を強めていく。例え振り切った物語であっても、観客たちがついてきてくれるのはこのためだ。たまたま市場で手に入れた植物が、どんどんと大きくなって、その理由にだれもが驚愕せずにはいられないミュージカル「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」は主人公がたどる悪夢のような道筋を、人生の真実や人間性の深奥に立ち入りながら描き出していく、とっても哲学的なホラーミュージカル。この物語の中では誰もが懸命に生きて、必死に自分の幸せを追い掛けているのに、ずれていく悲しさ。その哀愁感は恐ろしくもあり、切なくもある。三浦宏規や妃海風とともにダブルキャストで演じている鈴木拡樹と井上小百合は、喜劇の顔をした人間悲劇と、悲劇のふりした人生喜劇の両面を持つこの物語のそうした味わいをしっかりと胸に抱きながら、それぞれの役柄を的確に演じており、ミクロン単位の悲喜劇のバランスが必要なこの難役を自分のものにしていたことが印象的だ。(画像はミュージカル「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」とは関係ありません。イメージです)
ミュージカル「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」は8月28日~9月11日に東京・日比谷のシアタークリエで上演される。
★阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも序文は無料で読めます。舞台写真はブログでのみ公開しております。なお、ここで触れるミュージカル「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(鈴木拡樹・井上小百合出演回)」に出演していない三浦宏規と妃海風出演回の舞台写真も掲載しています。
★ブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はこのクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。鈴木拡樹さん、井上小百合さん、石井一孝さん、阿部裕さんら俳優陣の演技に対する批評や、上田一豪さんの演出や舞台表現などに対する評価が掲載されています。
【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無条件に無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。
なお、主要な役柄であるシーモアとオードリーがダブルキャストであるため、4通りの組み合わせが組まれていますが、取材機会の関係で劇評を掲載するのは、「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(鈴木拡樹・井上小百合出演回)」に限らせていただきます。ご了承ください。
この組み合わせではカバーできない三浦宏規さん、妃海風さんのファンの皆さま方には大変心苦しく感じております。人気公演のため取材機会も限られます。なにとぞご容赦ください。
★ミュージカル「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」公演情報
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