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軍人と漁師たちの溶け合うことのない戦争への思いと、それでもなお生きようという彼らの人間としての生への狂おしい叫びが大きなきずなの力となっていく…★劇評★【舞台=最貧前線(2019)】

 わずかな機銃(機関銃)など最低限の武装で遠く太平洋に派遣され、米軍の動きを偵察する重大な任務を負った徴用漁船が存在した-。にわかには信じがたいそんな船を舞台に、戦争の狂気の中でも育まれた男たちのきずなの物語と、平和へのたぎるような祈りを込めた舞台「最貧前線」が上演されている。もともとはアニメーション映画監督、宮崎駿がかつて雑誌に連載していた連作絵物語・漫画「宮崎駿の雑想ノート」の中のひとつの物語。今回の舞台をプロデュースした水戸芸術館ACM劇場の芸術監督、井上桂らの尽力によって、宮崎駿のオリジナル作品としては国内初の舞台化が実現したものだ。敗色が濃くなってきた太平洋戦争末期に、迫る米軍の脅威におびえながら大海原へと漕ぎ出した男たち。生粋の軍人である青年将校と根っからの庶民である漁師たちの決して溶け合うことのない戦争への思いと、それでもなお生きよう、未来へとたどり着こうという思いを捨てない彼らの人間としての生への狂おしい叫びがやがては、大きなきずなの力となっていく過程をユーモアやペーソスも交えつつ描き出す様は、内野聖陽、風間俊介、溝端淳平らの高度な演技力とも相まって、日本各地で大きな感動を呼びそうだ。脚本は井上桂、演出は一色隆司。(写真は舞台「最貧前線」とは関係ありません)
 舞台「最貧前線」は、8月27~29日に横浜市の神奈川県立青少年センター紅葉坂ホールで、9月6~8日に愛知県豊橋市の穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホールで、9月12~15日に茨城県水戸市の水戸芸術館ACM劇場で、9月21~22日に長野県上田市のサントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)で、9月28~29日に新潟市のりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場で、10月5~13日に東京・三軒茶屋の世田谷パブリックシアターで、10月17~20日に兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで、10月26~27日に神奈川県大和市の大和市文化創造拠点シリウス(1階芸術文化ホールメインホール)で上演される。

舞台写真はこのサイトではなく、阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でのみ掲載しています。舞台写真をご覧になりたい方は下記のリンクでブログに飛んでください。
★「SEVEN HEARTS」の「最貧前線」劇評ページ

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★舞台「最貧前線」公式サイト

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