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深まったキャラクターの心理描写、シーンごとの洗練度もアップ。新ゲッコーも見どころ多く…★劇評★【ミュージカル=SUNDAY(サンデイ)(2024)】

 決して間違ったことではないのだが、人は自分が正しいと思い込んでいることを人にも強要しがちで、特に家庭という場所においては、なおさらである。英国の典型的良妻賢母のジョーンはまさにそんな一人。しかし、ひょんなことから身を置いた異境でわが胸に浮かびあがった、そんな自分に対するひとつの疑念から次々と連鎖的にさまざまな記憶がつながっていくさまがミュージカルに昇華した。2018年の初演で、題材選びの素晴らしさとその磨き上げ方の卓越したテクニック、ジョーン役の高野菜々らキャスト陣の表現力が日本のミュージカル界に衝撃を与えた音楽座ミュージカルのミュージカル「SUNDAY(サンデイ)」が帰ってきた。3回目の上演となった今回は、キャラクターの心理描写が一層深くなり、シーンごとの洗練度が一段とアップした印象。今回から参加した藤重政孝がジョーンの不条理な世界を時空のゆがみの中に映し出す謎の存在ゲッコー役を巧みに演じ、作品の世界観を広げることに成功するなど、新しい見どころもいっぱい。これからも再演を重ねていってほしいミュージカルとして、今後も注目は続きそうだ。(写真は音楽座ミュージカル「SUNDAY(サンデイ)」の一場面。中央が高野菜々(左)と藤重政孝(写真提供:音楽座ミュージカル))
 
 音楽座ミュージカル「SUNDAY(サンデイ)」は、2024年7月28日に広島市のJMSアステールプラザ 大ホールで上演される。これらに先立ち、6月13~17日に東京の草月ホールで上演された東京公演、7月10日に名古屋市の「Niterra 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール」で上演された名古屋公演、7月17日に広島市のJMSアステールプラザ 大ホールで上演された広島公演の1日目はすべて終了しています。
 
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【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無条件に無料でお読みいただけるサービスは原則として2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

★音楽座ミュージカル「SUNDAY(サンデイ)」公式サイト

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