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壁を越えていけるだけの跳躍力を持った上質なエンターテインメント作品★劇評★【ミュージカル=キンキーブーツ(2016)】

 つぶれかけの靴メーカーが、大量生産や安売り合戦で競ってみても、勝てるわけはない。全体のパイは多くなくても、確実に買ってくれる層の心をがっちりとつかみたい。しかしそれにはその層にいる人たちの要望や事情をしっかりと把握し、他のどこにも作れないものを作らなくてはならない。それには互いを深く理解することが何よりも重要だ。そんなまるで経済の教科書を見ているような設定の中に、人間の感情やプライドや夢が弾け、とびっきり演劇的な空間に彩られている。だからミュージカル「キンキーブーツ」は単なる夢物語ではない経済の原理にしっかりとした基礎を置いたエンターテインメントであり、なおかつ性別や、マジョリティーとマイノリティーの壁を越えていけるだけの跳躍力を持った作品。実力派集団が結集した話題のミュージカルで鍛えてきた小池徹平と三浦春馬がダブル主演で初めて出会ったこのミュージカルはまさに2人にとっての「運命」だといって差し支えないだろう。(写真はミュージカル「キンキーブーツ」とは関係ありません。イメージです)

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