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心の中のざわざわを抱えたまま日々を生きる人々。危なっかしい、なのに誰もが何だか愛おしい…★劇評★【舞台=台風23号(2024)】

 どんどんこっちに向かってきているはずなのに、いっこうに近付いてこない気がする。だけど、確実にそこにある不安。台風接近のときの気持ちは、なんだか人生を生きている私たちの心情に似すぎていて時々怖くなる。赤堀雅秋が2024年の世に問うた最新作「台風23号」は人々の心の中にあるざわざわが吹き出しそうになるのを必死でこらえながら、日々を生きている人々を描いていて、胸を締め付ける。危なっかしい、なのに誰もが何だか愛おしい。何なんだ赤堀戯曲。心が引き寄せられてたまらない。台風というタイトルが冠されてはいるものの、雨も強風も吹いていない。ましてや嵐の中でもない。スナックが建つ海辺のそばから人々が見つめる海の先の空にしか台風の予感はない。むしろ嵐や予兆となる強風が吹いているのはそれぞれの登場人物の中だけなのだ。(写真は舞台「台風23号」とは一切関係ありません。単なるイメージです)
 
 舞台「台風23号」は2024年10月5~27日に東京・新宿歌舞伎町のTHEATER MILANO-Zaで、11月1~4日に大阪市の森ノ宮ピロティホールで、11月8~9日に愛知県豊橋市の穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホールで上演された。公演はすべて終了しています。
 
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