原作小説に作者が込めた「核」見えた。演技・ダンス・パルクールなど数々の身体表現が有機的に結びつき威力を発揮している…★劇評★【音楽劇=スラムドッグ$ミリオネア(2022)】
インドの現役外交官(当時)で、その後、在大阪・神戸総領事も務めることになるヴィカス・スワラップが2003年に発表した小説「Q&A」(邦題「僕と1ルピーの神様」)は、2008年に英国の著名なダニー・ボイル監督によって映画『スラムドッグ$ミリオネア』となり、アカデミー作品賞まで獲得したことで、世界中のだれもが知る物語となった。インドの絶望的な貧富の格差の中から一発逆転を目指すストーリーは世界中の人々を狂喜乱舞させ、その先に待つ厳しい現実や、クイズ番組で12もの難しい問題をなぜ解くことができたのかを解き明かし、そのすべてがインドの社会構造が背景にあることを示したことで社会派の映画としても認識されたが、今回、その原作小説を舞台化した音楽劇「スラムドッグ$ミリオネア」を観ていて、スワラップが原作小説に込めた本当の魂の核のようなものが見えた気がした。映画では盛り込みにくい歌やダンスを巧みに取り込み、エンターテインメント性は一段とアップ。主人公がこの逆転劇への挑戦に込めた人生の意味を教えてくれているような気がする。上演台本・演出を務める瀬戸山美咲の総合力に驚かされると同時に、ミュージカル界随一のダンススキルを誇る主演の屋良朝幸と共に、振付やパルクール・アマション・コーディネートなどの才能が有機的に絡み合うことでこれだけの威力が発揮できるのだということを思い知らされた。(写真は音楽劇「スラムドッグ$ミリオネア」とは関係ありません。単なるイメージです。今回はブログにも舞台写真は掲載いたしません)
音楽劇「スラムドッグ$ミリオネア」は8月31日に名古屋市の日本特殊陶業市民会館ビレッジホールで、9月3日に新潟県長岡市の長岡市立劇場で、9月9~11日に大阪市のサンケイホールブリーゼで上演される。これに先立って2022年8月1~21日に東京・日比谷のシアタークリエで上演された東京公演はすべて終了している。
なお、公演関係者に新型コロナウイルスの陽性反応者が出たため、8月1月から8月6日昼の部までの公演が中止された。
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