McGawan_0911ベンダーに迫るマクガワン

狂気から静謐な世界へ。心の震えが止まらない…★劇評★【舞台=マクガワン・トリロジー(2018)】

 北アイルランド問題をめぐって英国政府と何十年もの間、血みどろの闘いを繰り広げたIRA(アイルランド共和軍)。その中にいた「殺人マシーン」と呼ばれた男の心の闇をまるで冷たい火花をスパークさせるように描き出すアイルランド人劇作家、シェーマス・スキャンロンの衝撃作に、近年その演技の鋭さに磨きがかかって来た俳優の松坂桃李と、米国で演劇の実践を積み上げてきた演出家の小川絵梨子という気鋭のコンビが挑んでいる。限界まで針が振り切れた彼の残虐性がなせる業なのか、狂気による沙汰なのか、容易には悟らせないこの物語は観客の驚きをよそに、どんどんどんどん静謐な世界へと向かっていく。時間軸は前に進みながらも、殺人マシーンの心の旅路は過去へと遡っていくのだ。そんな誰も見たことがない展開に観客たちは戦慄の真っただ中に置かれたままラストを迎えることになる。心の震えが止まらない。翻訳は浦辺千鶴。(舞台写真撮影・岡千里)
 舞台「マクガワン・トリロジー」は7月13~29日に東京・三軒茶屋の世田谷パブリックシアターで上演される。それに先立ち、6月29日~7月1日に愛知県豊橋市の穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホールで上演された愛知豊橋公演と、7月4~8日に兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演された兵庫西宮公演はすべて終了しています。

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★舞台「マクガワン・トリロジー」公式サイト
http://www.mcgowantrilogy.com/

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