悲しみにさえ分け入って、さらなる感情を描き出している城田優の繊細なアプローチ…★劇評★【ミュージカル=ファントム(城田優・木下晴香・木村達成出演回)(2019)】
オペラ座の地下に潜む何者かに私たちがこんなに惹かれるのは、その何者かがダークヒーローのようにスタイリッシュだからでも、モンスターのようにおどろおどろしいからでもない。私たちはその何者かに悲しみというものの本質的で根源的な何かを見ているからだ。アンドリュー・ロイド=ウェバー版「オペラ座の怪人」でもその悲しみは色濃く描かれていたが、脚本家のアーサー・コピットと作曲家のモーリー・イェストンによるもうひとつの「オペラ座の怪人」である「ファントム」にいたっては、その悲しみにさえ分け入って、さらなる感情を描き出している。若手俳優では抜きん出た才能を持つ城田優は、その本質的な悲しみをまとったファントムを2014年の自身の初演で好演。5年ぶりとなる今回のミュージカル「ファントム」の再演においては、演技ばかりか演出の重責も担い、どこか大人になり切れなくて、どこか悲しみをまとうことにもこだわり切れない人間的なファントムを繊細なアプローチで造型。ファントムのWキャストの加藤和樹とともに、唯一無二の世界を創り出すことに成功している。(写真はミュージカル「ファントム」とは関係ありません)
ミュージカル「ファントム」は、12月7~16日に大阪市の梅田芸術劇場メインホールで上演される。これに先立って11月9日~12月1日に東京・赤坂のTBS赤坂ACTシアターで上演された東京公演はすべて終了しています。
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★「SEVEN HEARTS」のミュージカル「ファントム」劇評ページ
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なお、本作はファントム、クリスティーヌ、シャンドン伯爵という主要3役などがダブルキャスト(子役はトリプルキャスト)であるため、さまざまな組み合わせが組まれていますが、取材機会の関係で劇評を掲載するのは、ファントム(城田優・木下晴香・木村達成出演回)の組み合わせに限らせていただきます。ご了承ください。
この2つの組み合わせではカバーできない加藤和樹さん(ファントム役)と愛希れいかさん(クリスティーヌ役)、廣瀬友裕さん(シャンドン伯爵役)のファンの皆さま方には大変心苦しく感じております。人気公演のため取材機会も限られます(今回は私自身の都合です)。なにとぞご容赦ください。
★ミュージカル「ファントム」公式サイト
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