藍という色がもたらす神秘的な作用と藍そのものの性質をまるで物語の中に落とし込んだよう…★劇評★【舞台=藍ノ色、沁ミル指ニ(2018)】
藍というのは不思議な色だ。落ち着いた大人を感じさせる時もあれば、軽やかな若者を感じさせる時もある。見つめれば見つめるほど、視線は深く潜っていき、どこにたどり着くかも分からない。藍という色がもたらすそんな神秘的な作用と藍そのものの性質をまるで物語の中に落とし込んだような演劇集団円の舞台「藍ノ色、沁ミル指ニ」が連日好評のうちに上演されている。明治時代後期に日本に入り込んできた化学合成の藍に市場を席巻されながらも、自然の植物由来の藍染めを守り続けてきた職人たちの一家を舞台に、技術を伝承するということ、家業を存続させるということ、そして家族のきずなという言葉の本当の意味を、俳優たちの自然体の演技の中から染み出させていくような独特のタッチは観客たちの心をつかみ、劇場はいつに増して温かい空気に包まれている。舞台上で本当に藍染めが行われるという稀有な演出も、この作品なら納得。私たちをこの家族のすぐそばにまで連れていってくれようとするこの作品の持つしみじみとした優しさがそのことを可能にしたのだろう。作・演出は演劇集団円の内藤裕子。
舞台「藍ノ色、沁ミル指ニ」は10月18~28日に東京・吉祥寺の吉祥寺シアターで上演される。
★舞台「藍ノ色、沁ミル指ニ」公演情報
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