見出し画像

マリーや彼女を取り巻く人物たちの様々な感情の交響曲となって観客のもとに降り注ぐ一大ミュージカルに成長。見どころが多く秀逸な出来上がり…★劇評★【ミュージカル=マリー・アントワネット(花總まり・ソニン・甲斐翔真・小野田龍之介・上山竜治出演回)(2021)】

 波乱万丈な人生だからといって、ミュージカルにすれば必ず面白いという保証はない。しかもこのマリー・アントワネットという女性の人生の場合、なにしろギロチンによる処刑でその人生を終えるのだ。つまりはハッピーエンドの180度逆の幕切れ。それでも観客の心に血なまぐさい思い出ではなく、愛も悲しみも含めた人生の残り香を感じさせなくてはミュージカルとしては成立しない。そこに果敢にも挑んだのが、12年前の東宝と、既に「エリザベート」などで強力タッグを組んでいたミヒャエル・クンツェとシルヴェスター・リーヴァイの黄金コンビ。東京の帝国劇場で世界初演の幕を開けた日本発ミュージカルは、ドイツ、韓国などでの公演を積み重ね、マリーのそして、彼女を取り巻く人物たちの様々な感情の交響曲となって観客のもとに降り注ぐ一大ミュージカルに成長。2018年の日本凱旋公演で生まれ変わった新たなメンバーをさらに磨き上げて、2021年の初頭、世界最新型のミュージカル「マリー・アントワネット」として私たちにその全容を見せてくれている。ダブルキャストが多く、さまざまな組み合わせが楽しめる本作の中でも、前回ついにファンや業界関係者が待ち望んでいた念願のマリー役に起用された花總と、歌唱と演技が一体となった表現において進境著しいソニンとの組み合わせに、力強い小野田龍之介と繊細な上山竜治が加わった座組は見どころが多く秀逸な出来上がり。初めてフェルセン公爵役に抜擢された若手の成長株、甲斐翔真も身体表現に魅力があり、どのシーンも目を離せない作品になった。(写真はミュージカル「マリー・アントワネット」とは関係ありません。イメージです)
 ミュージカル「マリー・アントワネット」は1月28日~2月21日に東京・渋谷の東急シアターオーブで、3月2~11日に大阪市の梅田芸術劇場メインホールで上演される。

阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも読めます。舞台写真は「SEVEN HEARTS」でのみ公開しています。
★「SEVEN HEARTS」のミュージカル「マリー・アントワネット」劇評ページ

★ブログは序文のみ無料で読めます。劇評の続きを含む劇評の全体像はこのサイト「note」で有料公開しています。作品の魅力や前提となる設定の説明。花總まりさん、ソニンさん、甲斐翔真さん、小野田龍之介さん、上山竜治さんら俳優陣の演技に対する批評などが満載されています。

 なお、本作は主人公のマリー・アントワネット役と数奇な運命でつながるマルグリット・アルノー役、マリーとの愛を貫くフェルセン伯爵役、大衆を扇動するオルレアン公役、ジャーナリストのジャック・エベール役の5役がダブルキャストであるため、さまざまな組み合わせが組まれていますが、取材機会の関係で劇評を掲載するのは、マリー・アントワネット(花總まり・ソニン・甲斐翔真・小野田龍之介・上山竜治出演回)とマリー・アントワネット(笹本玲奈・昆夏美・田代万里生・上原理生・川口竜也出演回)の2つの組み合わせに限らせていただきます。ご了承ください。
 この組み合わせではカバーできない主要出演者はありませんが、他の組み合わせの劇評を読みたいという読者の方もいらっしゃると思います。しかしながら、超人気公演のため取材機会も限られます。なにとぞご容赦ください。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

★ミュージカル「マリー・アントワネット」公演情報

ここから先は

3,609字
この記事のみ ¥ 300
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?