この作品には過去と現在がタッグを組んだ未来がある。この経験は竹内涼真の表現者としてのキャリアに大きな収穫となる予感を漂わせている…★劇評★【ミュージカル=17 AGAIN(2021)】
人生を振り返ってみると、必ず分かれ道があったことに気付く。たとえ信念を持ってその道を選んだのだとしても、あの時、もう一つの道に歩き出していれば、どんな人生を経験していたのだろうと思わず考えてしまうものだ。特に今の自分があまりキラキラしていないと感じていると、余計にそんなことを思ってしまう。タイムトラベルやタイムリープの主人公であれば、ここでその分かれ道の少し前に時空を飛び越え、過去の選択の失敗を正しにいくのがお約束の展開だが、竹内涼真が初舞台に挑んでいるミュージカル「17 AGAIN」ではそれとは微妙にずれた場所に自らの立場を置く。それはなんと「今」。「それではタイムリープではないのでは?」「もう一度やり直すんじゃ?」という疑問の声が次々と飛び交いそうだが、そこは実はこの作品のポイント。「過去を書き換える」という言葉には実に美しい響きがあるが、そこでは「今」はほったらかしになっている。いや、「今」を完全に否定している。しかしこの作品には過去と現在がタッグを組んだ未来がある。竹内はそんな複雑な作品を支えるドラマ部分の演技に出色の出来を見せる。これまで映像作品で培ってきたせりふの説得力はこの舞台作品においても強力な武器となり、時空の跳躍に哲学的な意味さえ与える力となる。初舞台にもかかわらず、歌やダンスの表現力にも及第点以上のポイントを獲得。この作品での経験は彼の表現者としてのキャリアに大きな収穫となる予感を漂わせている。(画像はミュージカル「17 AGAIN」とは関係ありません。イメージです)
ミュージカル「17 AGAIN」は5月16日~6月6日に東京・池袋の東京建物Brillia HALLで、6月11~13日に兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホールで、6月18~20日に佐賀県鳥栖市の鳥栖市民会館大ホールで、6月26日に広島市の広島文化学園HBGホールで、7月1~11日に名古屋市の御園座で上演される。
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★ミュージカル「17 AGAIN」公演情報
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