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古代へのリスペクトがミュージカル化成功の秘密、海宝直人のまっすぐな歌唱力と神田沙也加の多彩な表現力が貢献…★劇評★【ミュージカル=王家の紋章(海宝直人・神田沙也加・大貫勇輔・新妻聖子・前山剛久・大隅勇太出演回)(2021)】

 歴史には進化の加速度が不可解なほど急激にアップしている時期がある。画期的な発明や天才の出現などによるものとする解説は多いが、文明の先達である未来人なり宇宙人なりが、その時代に降り立ち、新しい技術や考え方を教えたと解釈する方がさまざまな物証や傍証の説明がつきやすい時がある。もちろんすべてがそうだとは限らないだろうが、タイムマシンは未来永劫発明できないとは誰も言い切れないし、発明されていれば過去にはいくらでも行けるはずだ。そして宇宙にはわれわれ地球の人類的には古代の時代であってもはるかに文明や技術の発達した宇宙人がいると考えられるからだ。1976年から連載が続く姉妹漫画家ユニット「細川智栄子あんど芙~みん」による漫画「王家の紋章」を原作にミュージカル化された「王家の紋章」では、その未来人は現代の女の子。小学校で習うような基本的な技術であっても、古代人にとってはまるで魔法のような特別な知識になる。しかもタイムスリップしてしまった古代でこの女の子に力を与えているのは、何よりも古代を大切に想うリスペクトの気持ち。考古学の実践的知識と古代の歴史に関する情報を本当に身に着けていた知的好奇心というものがあったからこそ「古代」という時代に根付くことができたのである。漫画で貫かれているこのリスペクトと知的好奇心をミュージカル化にあたっても大切にし、育てていったからこそ、今年、初演からわずか5年でのスピード再々演を達成し得たとも言える。エジプトのメンフィス王とヒロインのキャロルに新たに起用された海宝直人と神田沙也加もそのことをとても丁寧に造型していて、海宝は王のまっすぐな思いを完璧の度合いを増す歌唱力によって観客に届け、神田はキャロルの現代性がむしろ古代という舞台設定によってより輝きを増すことを持ち前の多彩な表現力によって観客に印象付け、いずれも作品への信頼感を高めるのに貢献していた。初演以来ずっと言われていることだが、わき役陣の活躍も目立つミュージカルでもあり、観る者を飽きさせないキャスト・スタッフの気配りがきいた作品と言える。(画像はミュージカル「王家の紋章」とは関係ありません。イメージです)
 ミュージカル「王家の紋章」は8月5~28日に東京・丸の内の帝国劇場で、9月4~26日に福岡市の博多座で上演される。

★阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも序文は無料で読めます。舞台写真はブログでのみ公開しております。なお舞台写真には、ここで触れる王家の紋章(海宝直人・神田沙也加・大貫勇輔・新妻聖子・前山剛久・大隅勇太出演回)に出演していない俳優も映り込んでいます。それぞれの組み合わせで写真を厳格に選別することが難しいためです。ご了承ください。

★ブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はこのクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。海宝直人さん、神田沙也加さん、大貫勇輔さん、新妻聖子さん、前山剛久さん、大隅勇太さんら俳優陣の演技に対する批評や、荻田浩一さんの演出や舞台表現などに対する評価が掲載されています。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無条件に無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

 なお、主要な役柄であるメンフィス、キャロル、イズミル、アイシス、ウナス、ルカがダブルキャストであるため、さまざまな組み合わせが組まれていますが、取材機会の関係で劇評を掲載するのは、王家の紋章(海宝直人・神田沙也加・大貫勇輔・新妻聖子・前山剛久・大隅勇太出演回)と「王家の紋章(浦井健治・木下晴香・大貫勇輔・朝夏まなと・前山剛久・大隅勇太出演回)」の2つの組み合わせに限らせていただきます。ご了承ください。
 この2つの組み合わせではカバーできない平方元基さん(イズミル役)や岡宮来夢さん(ルカ役)のファンの皆さま方には大変心苦しく感じております。超人気公演のため取材機会も限られます。なにとぞご容赦ください。


 「王家の紋章(浦井健治・木下晴香・大貫勇輔・朝夏まなと・前山剛久・大隅勇太出演回)」の劇評は既に当ブログに掲載済みです。一部この劇評と重複する部分もありますが、あわせてお楽しみください。

★阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」ミュージカル「王家の紋章(浦井健治・木下晴香・大貫勇輔・朝夏まなと・前山剛久・大隅勇太出演回)(2021)」劇評=2021.08.27投稿

★「阪 清和 note」ミュージカル「王家の紋章(浦井健治・木下晴香・大貫勇輔・朝夏まなと・前山剛久・大隅勇太出演回)(2021)」劇評=2021.08.27投稿

★ミュージカル「王家の紋章」公演情報

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いま大きな注目を集める日本のミュージカル。臨場感あふれる数々の劇評をお読みいただき、その魅力を直に感じてください。これまでに収容されたミュージカルの劇評はすべて読めますし、マガジン購入後に新たなミュージカルの劇評が追加された場合、追加料金なしで追加分を閲覧できますので、現在の設定料金777円ですと、年に3本以上追加されれば元が取れます。現状では年間20本程度のミュージカル劇評を執筆しています。今後値上げする可能性もあります。

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