チェーホフの世界観の中で普遍的な家族の物語と現代的な問題意識が100年の時を隔てて共鳴する圧巻の物語…★劇評★【舞台=ワーニャ、ソーニャ、マーシャ、と、スパイク(2020)】
チェーホフが活躍したのは1900年前後。19世紀末から20世紀の初頭にかけてだ。そんな劇作家の作品が21世紀前半のいま、世界中で頻繁に上演されている。それはチェーホフの時代がまさしく「現代の始まり」と言っていい時代であり、人々が抱える悩みが根源的なところでつながっているからだ。そんなチェーホフの「かもめ」「三人姉妹」「桜の園」「ワーニャ伯父さん」などの戯曲から設定やテーマ、イメージを少しずつ借り、現代的な問題を抱えた現代の物語の中に散りばめた傑作戯曲「ワーニャ、ソーニャ、マーシャ、と、スパイク」が今、劇団民藝によって上演されている。普遍的な家族の物語の中に、現代的な問題意識を取り込みながら、100年を隔てた2つの時代が互いに呼応し、共鳴する圧巻の物語。あきらめの気持ちとたぎるものが同居したワーニャを演じた千葉茂則や、自己否定と夢がない交ぜになったソーニャを演じた白石珠江、無邪気な明るさとしなやかさが持ち味のマーシャを演じた樫山文枝らの精緻に組み立てられた演技に惹きつけられながら、チェーホフの世界観にひたるという稀有な経験ができる作品に仕上がっている。(写真は舞台「ワーニャ、ソーニャ、マーシャ、と、スパイク」とは関係ありません。イメージです)
舞台「ワーニャ、ソーニャ、マーシャ、と、スパイク」は9月24日から10月4日まで東京・新宿の紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで上演される。
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★「SEVEN HEARTS」の舞台「ワーニャ、ソーニャ、マーシャ、と、スパイク」劇評ページ
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★舞台「ワーニャ、ソーニャ、マーシャ、と、スパイク」公演情報
http://www.gekidanmingei.co.jp/performance/2020_vanya-and-sonia-and-masha-and-spike/
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