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<エンタメ批評家★阪 清和>ミュージカル劇評数珠つなぎ

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阪清和が発表したミュージカルに関する劇評をまとめました。ジャニーズ関連のミュージカルはここには収容しません。音楽劇を入れるかどうかは作品ごとに判断します。
いま大きな注目を集める日本のミュージカル。臨場感あふれる数々の劇評をお読みいただき、その魅力を直に…
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冷徹さが求められる中で信念とせめぎ合う銀行家の張り裂けそうな苦悩を丁寧に表現する松下洸平、向上心と焦燥感を体現し続ける松下優也、世界初演は没入感のある斬新なミュージカルに…★劇評★【ミュージカル=ケイン&アベル(2025)】

 運命や宿命というものに人はそうやすやすとは気付かない。なぜなら、人はその時々を懸命に生きて、前へ前へ、上へ上へと進む歩みを続けているからだ。しかし、未曽有の好景気と世界に影響が広がった大恐慌を短い期間のうちに連続して経験した当時の米国の経済人にとっては、自らがどんな宿命を背負い、どんな運命に立たされているのかを、嫌というほど考えさせられたに違いない。特に米国では、その前にも後にも「アメリカンドリーム」という、つかみどころのない、しかし確実に心を揺さぶる無限の大地が広がってい

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