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<エンタメ批評家★阪 清和>ミュージカル劇評数珠つなぎ

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阪清和が発表したミュージカルに関する劇評をまとめました。ジャニーズ関連のミュージカルはここには収容しません。音楽劇を入れるかどうかは作品ごとに判断します。
いま大きな注目を集める日本のミュージカル。臨場感あふれる数々の劇評をお読みいただき、その魅力を直に…
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2021年5月の記事一覧

謎に満ちた「過去」へと逆再生するミュージカル。人生の糸を絡み合わせるように繊細に描く…★劇評★【ミュージカル=メリリー・ウィー・ロール・アロング~あの頃の僕たち~(2021)】

 過去と未来とどっちがミステリアスか。それは物語にもよるが、こと人生を扱ったドラマに限っては、断然「過去」の方が謎に満ちている。小説では最近散見されるようになったが、舞台ではまだまだ珍しい現在から過去へと進行する「逆再生」ミュージカル「メリリー・ウィー・ロール・アロング~あの頃の僕たち~」が今、上演され、話題を呼んでいる。しかも英国の演劇界の最高の栄誉であるローレンス・オリヴィエ賞などを受賞した傑作で、ウエストエンド公演の演出を手掛けた大女優のマリア・フリードマンが今回の日本

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この作品には過去と現在がタッグを組んだ未来がある。この経験は竹内涼真の表現者としてのキャリアに大きな収穫となる予感を漂わせている…★劇評★【ミュージカル=17 AGAIN(2021)】

 人生を振り返ってみると、必ず分かれ道があったことに気付く。たとえ信念を持ってその道を選んだのだとしても、あの時、もう一つの道に歩き出していれば、どんな人生を経験していたのだろうと思わず考えてしまうものだ。特に今の自分があまりキラキラしていないと感じていると、余計にそんなことを思ってしまう。タイムトラベルやタイムリープの主人公であれば、ここでその分かれ道の少し前に時空を飛び越え、過去の選択の失敗を正しにいくのがお約束の展開だが、竹内涼真が初舞台に挑んでいるミュージカル「17

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