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阪清和が発表したミュージカルに関する劇評をまとめました。ジャニーズ関連のミュージカルはここには収容しません。音楽劇を入れるかどうかは作品ごとに判断します。
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2021年2月の記事一覧
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「生きねば」、そして「いつか心の底から笑わねば」と思わせてくれる仕上がり。コロナ禍の観客の心に染みる…★劇評★【ミュージカル=屋根の上のヴァイオリン弾き(2021)】
かつて行く先々で迫害され、流浪の旅を続けてきたユダヤ民族の姿を通して人類の負の側面を描くとともに、その何倍もの輝きを持って、「どんなに辛いことがあっても生き抜いていく」ことの大切さを伝えてきた不朽の名作ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」。森繁久彌、上條恒彦、西田敏行と引き継がれてきた主人公のテヴィエは現在は21世紀版の中心となる市村正親が盤石の扇の要を務めている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)で不自由な生活や観劇を強いられている観客には、テヴィエ一家
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役に多彩な味付けを施しながら自分を投影していく自由な発想が見て取れ、この作品の世界観を大いに広げている…★劇評★【ミュージカル=マリー・アントワネット(笹本玲奈・昆夏美・田代万里生・上原理生・川口竜也出演回)(2021)】
「パンがないなら、ケーキを食べればいいじゃない」。フランス革命の当時に立憲君主制に対峙し抵抗していた立場の人たちが、マリー・アントワネットの放った言葉だという噂を広めたために、長らく彼女の傲慢さを表す言葉だと受け取られてきたこの言葉は、ルソーの小説の中にその起源があるものの、オーストリアでまだ幼かったマリーが知り得た言葉ではなく、実際にフランスで起きたパン不足の際にはマリーは飢餓に苦しむ人々にもっと寄り添った言葉をかけている。このためこの言葉は現代では、マリーではなく、その
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マリーや彼女を取り巻く人物たちの様々な感情の交響曲となって観客のもとに降り注ぐ一大ミュージカルに成長。見どころが多く秀逸な出来上がり…★劇評★【ミュージカル=マリー・アントワネット(花總まり・ソニン・甲斐翔真・小野田龍之介・上山竜治出演回)(2021)】
波乱万丈な人生だからといって、ミュージカルにすれば必ず面白いという保証はない。しかもこのマリー・アントワネットという女性の人生の場合、なにしろギロチンによる処刑でその人生を終えるのだ。つまりはハッピーエンドの180度逆の幕切れ。それでも観客の心に血なまぐさい思い出ではなく、愛も悲しみも含めた人生の残り香を感じさせなくてはミュージカルとしては成立しない。そこに果敢にも挑んだのが、12年前の東宝と、既に「エリザベート」などで強力タッグを組んでいたミヒャエル・クンツェとシルヴェス
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