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暗渠となった和泉川をたずねて
和泉川という川の名前を聞いて、ぱっと思い浮かぶ方は都内に住まれていてもそういないのではと思います。それでは暗渠「あんきょ」という言葉はいかがでしょうか?近年ブラタモリやカルチャーセンター、SNSを通じて耳にしたことがある方も多いでしょうか。今回は都内にひっそりと息づく和泉川と呼ばれた小さな暗渠をめぐる散歩のお話です。
和泉川についてちょっと解説
杉並区の代田橋駅近くの住宅街を源にする和泉川は、本流である神田川に合流するまでわずか3kmあまりの短い川でした。昭和30年代頃、その流れに蓋をされ、現在では下水道として活用されているそうです。経歴について詳しくお知りになりたい方は、暗渠研究で著名な本田創さんの著作やwikipediaなど参照されてみてください(わりと複雑なので…)
さあ歩いてみよう
ここまで入っていいのかなと思うような細い住宅街のすき間から歩き始めます。アスファルトの細い道の真ん中にマンホールの蓋が続き、脇からは排水パイプが道に向かって注ぐ姿。この独特な光景こそ、この道が水の流れであることを示す特徴です。
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沖縄の香りがする商店街を抜け、環七通りを渡ると徐々に川の姿がはっきりとしてきました。細いながらも右に左にくねくねと折れる路地の姿はまさしく小川の姿、そしてついに橋の跡が現れました。欄干だけ地面に顔を出していますが「境橋」とプレートがついており、自らの出自を今もなお教えてくれておりました
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流れをさらに辿っていくと橋の跡が次々と姿を現します。下を埋められ、欄干は真ん中を削り取られた姿はどこか無情さを感じるものがあります
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魚になったかのような気分に…
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神田川へ注ぎ込みます
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歩きはじめてからおよそ1時間あまりで神田川の流れに合流し小さな散歩は終わりを告げました。水の姿は見えないものの、住宅街の合間を歩いている間になんだか最後は魚になって泳いでいたような心地…これが暗渠を歩く魅力なのでしょうか?
様々な川の痕跡に出会いながら色々と想像が膨らみました。水の流れがあった時はどんな表情だったのか。穏やかなせせらぎ、それとも大きな音を立てて流れていたのか…もっとも今それらを知る由はないのですが。戦争から立ち直り、人々の暮らしが豊かになる頃、蓋をされ、流れを断ち切られ、人目には触れなくなってしまいました。しかし、大地に刻まれたその足跡は道として姿を今に伝え、その流れの上を今は魚の代わりに人や自転車が行き交っていると考えるとちょっと楽しくなってきますね。普段何気なく歩いている道をもう一度観察してみよう、そう思えたひと時でした。