【偶然日記#17】一回立ち止まって、今僕が「読みたいこと」を考える
朝9時過ぎ。気温が30度を超える中、ランニングを始めた。
週一のランニングを1年ぶりに再開して、まだ3週間。まだまだ体が重い。手にiPhoneを持ち、NIKE RUNの距離がちゃんと進んでいるのを確かめて、ポケットにしまう。無理をせず、ゆっくり走る。
今日は13時に新宿三丁目のNIKKO KANAYA HOTEL CRAFT GRILLで一年ぶりくらいの友達3人とランチの約束があった。起きたのは8時過ぎ。noteや残った仕事とかやりたいことがあったので、走るのをためらったが、走ると次の一週間、体が軽くなるし、頭もリフレッシュできるので、書くために走るかとランニングウエアに着替えた。
不思議と服を着替えるところまでいくと、それまで「走ろうかな、どうしようかな」とウジウジした気持ちが消えて、外に出るまでスッと進む。
走り始めて数分。もう頭から汗が滴り落ちる。普段はコンタクトだが、走る時は汗で目がしみてしまうので、眼鏡にしている。でも、ここまで暑いと眼鏡が汗でヌルヌルになり、あまり心地がよくない。いつもならそのままだが、今日の暑さと汗は尋常じゃない。ふと思いついた。
眼鏡かけなくてもいいんじゃね。
僕の視力は0.1ないくらいだ。走る上では信号の色が見えれば問題ない。眼鏡を外し、ポケットにしまう。
全然問題ない。なおかつ周りが見えないから美人に気を取られずに走りに集中もできる。一石二鳥だ。ゆっくりと歩を進める。赤信号でいちいち止まるのを避けるために裏道に入る。人通りも少なく、静かな通りだ。
走り始めてから10分。朝、友人から届いていたLINEのメッセージが頭の中をよぎる。
読みたいことを、書けばいい。
by 田中泰延
彼は大学の頃のバイト友達である。そのバイトでは深夜に皆で落書き帳に漫画とかを描いて遊んでいた。彼は常にイラストや文章がエキセントリックで面白かった。短い言葉でも笑える。一瞬でみんな虜にさせられる。今でもfacebookで時たま拝むことができる。周りからいつも、もっと漫画も文もかいた方が良いよと言われているが、20年経った今も本人のスタンスは変わらず、周りに流されることはなく、自分のペースで言葉が発されている。
僕は性懲りもなく彼に「自分の日記にイラストを描いてよ」と前日連絡したのだった。返信がしばらくなかった間に、「あー、またいつもの無理なお願いをしてしまった」と思い、自分で描き、彼には「自分で描いたから大丈夫よ」とイラストと自分のnoteのURLをLINEで送った。
朝起きてiPhoneを見ると、さっきのメッセージが返ってきていた。
noteを始めて1ヶ月と少し。ほぼ毎日書いている。最初のうちは書いているだけで楽しかったし、皆さんにスキを頂いたり、ビュー数が増えるのを見て、現実世界と違う自分のアバター(むしろこっちがシガラミが少ない本物?)が育っていっている感じで、不思議なリア充感があった。
しかし、この1週間くらい、何か違うと感じてきた。「雄手舟瑞物語」の方は記憶を思い出すのが大変なだけで問題はあまりないが、こっちの「偶然日記」の方だ。そんな悩みの中、北海道から届いた
読みたいことを、書けばいい。
by 田中泰延
自分の読みたいこと、書けているのかな、、と引っかかった。僕は塩谷舞さんの文章が好きだ。景色と人と思想と歴史と現実が見える。
他に好きな読み物は、デイヴィッド・コパフィールドとか、罪と罰とか、、小説は少ない。しかも翻訳ばかり。ほとんどが歴史や思想とかばかりだ。。情景を表す言葉がインストールされていない。
俺の「読みたいこと」ってなんだろう。
走りながらそんなことを考えていた。「雄手舟瑞物語」は昔の自分が読みたいこと。最近の「偶然日記」ー「ブレることは良いことだ」とか、「えせデザインワークショップには気をつけろ」とかーは「読みたいこと」というよりは「言いたいこと」だから、ちょっと違うのかな、と思った。ただその「言いたいこと」も、ちょっと昔の自分が読みたいことか。
「読みたかったこと」ではあるが、今の僕の「読みたいこと」ってなんだろう。
昨日、頼まれ仕事でフリーペーパーに載せる商業施設の広告のデザインをしていた。確かにデザインをしていると、作業している内に段々と答えにフォーカスが合ってくる感じがある。どうも既に答えー自分の見たいものーを知っているらしい。。
今の僕が「読みたいこと」もそれに似ているのかもしれない。文章を書き、校正を試行錯誤をしている内に、どうも既に知っているらしい答えに焦点が合ってくるのかもしれない。昔の話は膨大な記憶の中から切り取られた自分にとっての意味、つまり焦点が合ったものだけが残っているから書けばいい。でも、それだけでは物足りないのだ。
今の僕の「読みたいこと」ってなんだろう。「見たいもの」はけっこう知っている気がする。良いものをたくさん見ていくなかで、心が動くものに出会えたからかもしれない。もちろん表現するには技がいるけど。
ちょっとペースを落として、自分の心が動く言葉を探しながら、ひとつの記事をもう少し丁寧に書く。ちょっとそれをやってみようかな。
5kmを走り、家に戻った。暑すぎて気分が少し悪い。ポカリスウェットを自販機で買い、すぐに蓋を開けて口をつける。ちょっと酸っぱくて、ポカリのザラザラした粉の感じ。中学の頃、部活のときに飲んだポカリスウェットの味だった。
逆に言えば、当時は熱中症ギリギリで部活してたんだなぁ、とちょっと寒気を覚えた。
※「雄手舟瑞物語:青い鳥を探し続けた男が見つけたもの」は継続して隔日で掲載していきます。明日は「雄手舟瑞物語」です。
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