空から来たあなた
「星から来たあなた」
最近またちょっとだけ観ようかと覗いたら止まらなくなってしまった。
このドラマ、多分今すごく観られているのではないかと思う。
「愛の不時着」を書いた脚本家の多分一番それに似た作品で、
「サイコだけど大丈夫」主演のキム・スヒョンが完璧で冷徹に見えるのに小憎たらしい(もちろんそれが魅力)ヒロインに翻弄され、結局ほろほろになってしまうという構造がよく似たドラマだからだ。
二つはNetflixでずっと上位にいるので、それを観終わった人が次に、と選ぶにはぴったりな作品ではないだろうか。
「愛の不時着」ではパラグライダーで不時着したヒロインが、空からやってくるが、「星から来たあなた」はタイトル通り違う星からやってきた宇宙人であるキム・スヒョンが主人公だ。
空からやってくる、という設定はもう、その人に心を奪われることが決定しているのではないだろうか。人は空に理由なく惹かれているし、中学生の頃に宇宙と哲学のことは考えない(取り憑かれてそのことから離れられなくなってしまうから)と決めた私でも、雲、青空、星、月・・・
気づくと空を見上げている。
そんな神秘と誘惑に満ちた場所からやってきた人を、無関心で見過ごす事など到底無理な話だ。
空から来たあなたには、心とらわれずにいられない。
まさにその瞬間が描かれた大好きな作品が、
「天空の城ラピュタ」だ。
物心ついた時にはすでに名作としてあったものなので、初めてビデオで見たのがいつだったかよく覚えてないが、その瞬間の感動はしっかりと記憶している。
空から降ってくる女の子、シータがすとんとパズーの心に落ちた瞬間が、
見ている子供にもはっきりとわかった。
「愛の不時着」はかなりラピュタに似たドラマではないかと思う。
空からきた女の子に惹かれて、やがて現在の場所を捨て命を懸けてでも彼女のために生きようとする。彼女は、安定しているが、閉ざされた今の生活・世界を飛び出した先、自由の象徴である。
それにしても「星から来たあなた」は何度見ても素晴らしい。
最初はさすがにあり得ないわ〜と思った400年以上地球にいる宇宙人、という設定にもいつの間にかすっかり馴染み、後半はだからこその別れに苦しみ、ありきたりの言葉だが本当に笑って泣くのである。
久しぶりで、キムスヒョンが瀕死の状態になるのがわかっていて堪えきれずキスしてしまう、というシーンをすっかり忘れていて、
「そうだった! 最高!」と唸った。
「なんでそんな危険なことになるとわかっててしてしまったんですか〜」と少し嘲笑を含んだ嬉しそうな表情で心配する唯一の友人役は、
「サイコだけど大丈夫」で院長を演っていたキム・チャンワンです。
主演の二人がこの少し前に共演していた映画「10人の泥棒たち」と合わせてみるとまた面白さも増すと思うのでオススメです。