あなたになる雨
「君の雨」
去年のちょうど今ぐらいの時期に書いたラジオドラマに
「君の雨」というものがあります。
以前noteでも紹介したのですが、いつでも聴くことができるので、
雨の季節によろしければ聴いてみてください。
当たり前のことだけれど、あなたに降る雨と、わたしに降る雨は違う。
あなたにとっての雨と、わたしにとっての雨がいつも違うように。
あなたが流す涙と、わたしが流す涙が同じになることがないように。
雨はいつも、あなたとわたしを別けて、離していく。
「君の雨」というタイトルはそんなことを思いながらつけたのですが、
でも、雨があなたとわたしを近づける物語があったのを思い出しました。
「あなたになる雨」
韓国ドラマ「シークレットガーデン」の中で雨が降ると、
二人の魂が入れ替わり、わたしはあなた、あなたはわたしになる。
魔法のお酒を飲んでいる二人は『雨』に込められた祈りをきっかけに
入れ替わったり、戻ったり、もう一度入れ替わったり、
正反対の境遇の二人はそれを繰り返しながら、いつの間にか境がなくなっている。
雨があなたとわたしを混ぜて同じにしていく。
散々流れる主題歌(?)の、
「だからその男/女は あなたを 愛したそうです 同じだったから」
という歌詞がそこに重なると、何回観ても涙が流れます。
もう一つ、忘れられない「あなたになる雨」が、
映画「パラサイト」の中で、家族が豪雨の中、階段を降りていくシーン。
この映画の中で一番美しく、あまりに美しいので
雨を降るたびに思い出してしまう。
上から下に流れていくもの。雨に押し流されて降りていくもの。
必死で階段を降りる家族に、全てを洗い流し、
偽物の自分から、本来のあなたになる雨が容赦なく叩きつける。
物語の中の雨は、そもそも暗喩として使われているからか、
みていると簡単に涙が出ますね。
画像は、見るたびに違う景色に降る雨に見えるジャクソンポロックにしました。