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クレームに反論しよう!

先日、あるtwitterに目が留まりました。

2016年に女将さん取材した旅館 八景さんが、
宿泊客からのクレームに対して

「こんな大変失礼なお客さまは、私共も初めてでございます」
「旅館業に働く者を小馬鹿にするような姿勢は(略)
 我慢できるものではありません」
「お客さまがどれほど自己中心的であるかご理解いただけますでしょうか」

ズバっと返信した文面が紹介され、
23.9万いいね! 5.8万リツイートの勢い。

こうしたクレームの話は、単体の旅館に留まらない、
宿泊業界全体や、サービス業界、
またほかの業界にも関係のあるものだと思いました。

そこで急遽、八景の女将さんに電話インタビューさせてもらい
youtubeで動画をアップしました。こちら。
クレームに悩む人の一灯になればと思ったのです。

23 クレームに反論

「どんな意図であの反論を書かれましたか?」
「批判は怖くありませんでしたか?」
「反響はどうでしたか?」
「未来の理想像はどのようなものですか?」

などなど伺いました。
ぜひご覧いただきたいです。

下記は、youtubeでは長くなるのでカットした話です。

八景の女将・浩子さんが女将になったのは
35年前(80年代後半)のことです。
事業家の父が倒産した旅館を買い、
この経営を懇願されたのがきっかけでした。

浩子さんは当初、旅館業が嫌でした。
しかし、10年経ったころ、転機が訪れます。

若いスタッフにこう言われたのです。
「浩子さんの旅館なのになんで私が営業せなあかんの。
 自分が頑張ればええやん」。

これはショックでした。
と同時に、「図星だ」と観念したそうです。

素直な浩子さんは早速、自ら営業に出向きます。
「どうしたら評価が高くなりますか」。
どこに行っても質問し、宿に帰って実践しました。

どんな仕事もそうだと思いますが、
全力でやれば楽しくなってくることが多いですよね。
浩子さんは一生懸命、八景を育てていきました。

浩子さんが描く宿の理想像は
「元気で上質な民宿」です。

父親が事業家だったこともあり、
幼少期から日本と外国の一流ホテルに滞在する機会がありました。

そうした経験から、
「真の一流どころはフレンドリーで気位が高くない」
と、肌感覚で会得していたのです。


今回、スタッフに差別発言を何度もし、
理不尽なクレームを寄越した宿泊客に対し、
毅然と反論したルーツはここにあるのです。


という背景を知ってあの返信を読むと、
お客さまに宛てているというよりも、
上下のない前からの知り合いに対して、
「あなたそれおかしいよ」とシンプルに言っている、
そんな感じがしてきます。

いや~これ↑ 動画で話すべきだったかなあ。
でも、入れると20分を超えてしまうのです。

いつも「長くならない」ことを重視するか
「内容を盛りだくさんにするか」で悩みます。

~ ~ ~

すべてのクレームが理不尽なわけはなく、
改善や気づきを与えてくれる
有り難いクレームも当然、存在します。

八景さんも、もし本当に間違っていたり、
ミスをしたのなら、誠意を持って謝られます。

でも今回のケースはそうではありません。
理不尽なクレームは全国に横行しています。

八景さんの、理不尽なクレームへの反論は、
働く自分たちの姿勢をどう示していくか、
それ以前に、どういう哲学を持って生きるのか、
そうした大切なことを考えるきっかけになりました。


あと、私は常々思うのですが、
お客さまは神さまじゃありません。
紛れもない同じ人間です。

あと、百歩譲って神さまだとしても、
神さまはサービスやおもてなしをする側を
苦しめたりしないはずです。
なので、お客さまは神さまだと考えて滅私奉公するのは
神さまに失礼なんです。

とにかく、悪いことをしていないのに
サービス側が頭を下げるのが当然という風潮は
もういい加減やめましょうと思うのです。

「クレームに反論しよう」。ぜひご覧ください。


経営ジャーナリスト・中小企業診断士の
瀬戸川礼子でした。


旅館の女将さんを1冊につき55人紹介しています。
『女将さんのこころ』①②
その③は2021年夏に発刊予定!
八景の女将さんも登場します!


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