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うずらの卵ぐらいの

寝苦しい。体がかゆい。どうやらかなり大きい吹き出物ができたようだ。鏡を見て気づいた。でもかきむしるのはよくない。余計に大きくなって赤くなる。
でも、かいてかいて搔きむしってしまった。ストレスだ。朝8時出勤で22時帰社のブラック企業で何の成果も残せず、働いている。
事務職を二度ほどやってきたアタシは営業に不慣れなの知っているくせに、何の指導もフォローしてくれない。口を開けば、パワハラとセクハラとモラハラの雨あられだ。
でも辞めるにやめられない。借金がある。元カレに騙されたんだ――。

ついに吹き出物はうずらの卵ぐらいのサイズになった。
人の本性が見えるようになった。
心療内科の茨木先生が真顔の裏で、こちらをうすら笑っている。
ドスケベ上司の万波さんが、昨日のキャバ嬢のことを思い出してニヤニヤしている。
他人って心の底じゃ、意外と笑っているもんなんだ。

うずらはアタシを変えていく、価値観も、なにもかも。

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