カーテン、オープン!
「休憩90分で」
「……はい」
アタシはラブホで受付をしている。カーテン越しから出す渋い声にも慣れた。
そういえば、父親が高速の料金所で働いていたことがあるらしいから、なんとなく血は譲れないのだなと思う。
そんな父も、4年前に他界した。野太い渋い声だけはダンディで好きだった。
カーテンの向こうでいちゃつくカップルに鍵とアメニティやらが入ったケースを渡す。
「わっ!」
と驚かせたらどうなるかなと考えたこともあるが、そんなことはしない。
こっちが恥ずかしいし、こっちが驚くからだ。
いちゃつくカップルはオバケより苦手だから。
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