見出し画像

人気ブックデザイナーがデザインした「時間の生み出し方」とは。レビュー『時間のデザイン』

本好きライター瀬田かおるが、あなたにオススメしたい本をご紹介。


時間。それは小学1年生にも、億万長者にも1日は24時間で平等です。だからこそ、「どう使うか」は1日どころか、その人の一生にも影響を与えることになりかねません。

今回ご紹介する書籍『時間のデザイン』は、ブックデザイナーとして超多忙を極める井上新八さんが、たくさんの仕事をこなしながらも、プライベートも充実させ、かつ、新しいことに挑戦する時間をも生み出すための「時間の使い方」について書かれた1冊です。

ブックデザイナーとして本のデザインをするうえで、「どんな本なのか」一目で分かるデザインを心がけている井上さん。その井上さんは20年以上も自宅で、ひとりで働いていらっしゃいます。

1年で多いときは200冊近くの本のデザインをするそうです。しかも1人で! この本には、そんな井上さんの20年分の実験結果が詰め込まれています。

時間をわかりやすくする。
時間の使い方をわかりやすくしていくこと、
それが「時間のデザイン」だ。

本書冒頭より。

本と著者について

『時間のデザイン』
著者:井上新八
出版社:サンクチュアリ出版

書籍情報

こんな人に特にオススメ

✅時間がある時ほどダラダラしちゃう人
✅自宅で働くフリーランス
✅今年こそは夢を叶えたい人

人生を変えた「おいでよ どうぶつの森」

今でこそ大量の仕事をこなしながら、毎日1冊の本を読み、ほぼ毎日映画館で映画を観て、筋トレもし、おまけに掃除もダンスもすると言う井上さんですが、そんな時間を生み出すのは簡単ではありませんでした。

「ある日突然、限界を超えた。」

フリーランスで働くようになってからも、嬉しいことに仕事の受注はたくさんあったそうですが、これが想定以上だったそうで、井上さんは限界を超えてしまったのです。

全身にじんましんが出て呼吸困難になり、救急車を呼ぶほどだったそうです。「これは仕事の量を減らさないといけないのか」そう思うものの、仕事は減らさず、やりたいことも全部やりたい! と思う井上さん。

だけどそんなことできるのか? このときに閃いたのが「時間をデザインする」でした。そしてそれに気づかせてくれたのがなんと、ニンテンドーDS「おいでよ どうぶつの森」だったのです。

体に不調をきたすほど超多忙を極めていたにもかかわらず、9年間も毎日やっていたのが、「どうぶつの森」だったのです。

「こんな意味のないことが、なんでこんなに続くんだろう……。」

自分に問いかけ、井上さんは気づいたのです。

「毎日やっていたから」だと。

「どうぶつの森」をすることが「習慣」になっていた井上さんは、この気づきで人生が変わったそうです。

「つまり人間は毎日やれば、続けられる。それが「習慣」なのだ。」

と。歯磨きもそうですよね。必ず歯を磨いて寝る。それは無意識でやっていることで、もはや磨かないと気持ち悪くて仕方がない。これは、歯磨きが習慣になっているからなのです。

ではどうすれば仕事もプライベートの色んなことも、習慣化できるのか。そしてそんな時間を生み出すにはどうしたらよいのでしょうか。

毎日必ずすることとセットにしちゃう。

井上さんは、9年間も毎日「どうぶつの森」をやっていたので、歯磨きと同じようにそれは習慣になっていました。そこに目をつけた井上さんは、「「どうぶつの森」をやったら、日記を書く。」と決めました。

すると、「日記を書かなきゃ」と考えるまでもなく、毎日書けるようになったそうで、これが爆裂的な変化を井上さんにもたらしたのです。その絶大な効果を感じ、行動はセットにすればどこまでも続くことを発見しました。

こうして、毎日必ずすることと紐付けてしまうことで「やる」「やらない」なんてことをいちいち考えることなく、無意識に、”気づいたらやっていた”レベルに落とし込む。井上さんはそうやって時間をデザインしたのです。

習慣化して時間をデザインするコツ

ここまで読んで、「それができてたら今ごろは夢を叶えてるよ」なんて思いませんでしたか? 「習慣化」や「時間術」といった書籍はたくさんあります。けれどなかなかどうして難しい。歯磨きは習慣化できるのに、です。

そこで、ブックデザイナーとして、パッと見てなにが書かれている本なのかわかりやすいデザインをしている井上さんだからこそ、時間の使い方についても超シンプルな方法を伝えてくれました。

コツ1「毎日やる」

習慣化するためにはこれが一番大事だそう。やる日、やらない日を作ると結局続かなくなるからです。

コツ2「小さくやる」

毎日やるために、やることを小さく、小さくする。
例えば、毎日書くことを習慣化するため、どうしても気力がないときはただ保存していたファイルを開いて上書き保存するだけでよいと本書には書いてあります。こうすれば保存日時が更新されるので、行動したことに変わりはないと。この考え方、好きだなぁ。

コツ3「セットにする」

習慣化するために小さいことを毎日する。ついでに別の小さいことも一緒にしちゃえというのが、コツ3です。井上さんが「どうぶつの森」とセットで「日記を書く」を習慣化したように。

コツ4「いつやるかを決める」

いつやるかを決めておかないと、「時間がない」を言い訳にして何ごとも続かなくなります。たとえば時間割をつくるのもいいかもしれません。まるで学校の授業のように時間割を作ってしまえば、考えることなく行動できそうです。そしてその中に「休憩時間」も作るといいかもしれません。

コツ5「記録をつける」

行動したことを目に見える形で記録する。たとえば「ブログを書く」を習慣にしようと思ったら、気力がなくてファイルを開いただけの日も丸印をします。そんな記録を「コレクション」として井上さんは楽しんでいるそう。
そんなコレクションを発信するのも良いかもしれませんね。

コツ6「つなげて連鎖させる」

そして最後のコツは、いくつかの小さな習慣を作ったらそれを連鎖させるです。ご紹介した5つのコツを毎日毎日繰り返し行う。自分の1日のルーティンにしてしまえばそれが「時間のデザイン」の土台になると井上さんは言います。


本書には、井上さんの1日のスケジュールが載っています。
起きてまず、水を飲み、ベランダに出て、空の写真を撮る。ひとつひとつが本当に小さい! ここまで細かくルーティンを決めてしまえば、「やろうかな、どうしようかな」などと考える必要がないはず。

ご紹介した以外にも、時間をデザインする超簡単な方法がこれでもかと書かれています。しかも分かりやすく。

「えっ、でも○○なんじゃないの?」と読んでいて疑問を感じると、そのすぐ後には「だから△△しよう」と解決策が書かれているのでストレスなく読み進めることができました。

たっぷり時間があるときほどダラダラしちゃって、結果、なにもやり遂げてないと落ち込む。そんなことがある私には、1つのタスクを小さく小さくして、とにかく「毎日」やる工夫をするという時間のデザイン方法はすぐさま取り入れやすそうなものばかりでした。

小さなことも、コツコツやれば必ず前に進めるし、知らぬ間に遠くまで行けそうな気がします。

最後に、エピローグに書かれていた言葉がとても素敵だったのでご紹介して終わります。

なお、この記事はサンクチュアリ出版の正直レビュアーとして発信しています。最後までお読みいただいてありがとうございました。

一見単調に思えるこの日常は、じつはまったく単調ではない。
一日として同じ日はない。毎日は変化に富み、喜びに溢れている。

エピローグP334より。


***************************
井上新八さんより、コメントをいただきました!
著者ご本人からいただけるなんて光栄です✨


いいなと思ったら応援しよう!