「お忙しいところ…」は、本当に忙しい人にだけ使おう
「お忙しいところすみません」
「いえいえ、全然お忙しくないですから」
この半年ほどの間に、何度かこのようなやり取りがありました。取材・執筆の案件が激減して、オフィスで睡魔と格闘する時間が増えたためです。動画のチェックを頼まれた(下記記事参照)ので先週から少し忙しくなったのですが、それが峠を越えてまた暇になってきました。
そんな状況で「お忙しいところ…」と言われるのは、気分の良いものではありません。「せたさんは優秀だから引く手あまたで忙しくしているだろう」と思うのは勝手ですが、実際は真逆なのです。会社の方向性と私のスキルがどんどん離れていき、大きい案件ではまったくお呼びがかかりません。
それで年間実績も低迷しているのですが、月例会議で発表される数値をみんな見ていないのでしょうか。だとすると私にもっと興味を持ってほしいと思いますし、悲惨な状況を知ったうえで言っているとしたら嫌味以外の何物でもありません。
ゆえに、私はクライアントへのメールでも「お忙しいところ…」というフレーズはめったに使いません。相手が暇だった場合、機嫌を損ねる恐れがあるからです。このフレーズがなくても相手が不快に思うことはないでしょうし、あったとしてもそれが好印象を与えるとは思いません。まさに蛇足というやつです。
もっとも、今の日本社会ではこのフレーズを使うのは一種のビジネスマナーであると認識している人が多いような気がします。言葉の意味を考えず反射的に使うのは好ましくないと私は思うのですが、そんな人間だから社会と折り合いをつけるのに苦労しているのでしょう。
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