3分で読める読書感想文#3 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
今回は前回の「ニュータイプの時代」と同じ著者、山口周さんの『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』を紹介いたします。
本書では、タイトルの通り、世界のエリートがなぜ「美意識」を鍛えるのか?という問いを掲げて、掘り下げていく形となっています。
印象的だった点と所感
✔正解のコモディティ化
論理的に情報処理をすることで「人と同じ正解を出す」ことに陥り、「差別化の消失」につながってしまう。
新規立案するときに論理的に考えると、大体他の人もやっていたりしてお面白くない。というような膠着状態に陥ることは往々にしてあると感じました。そのようなケースというのは、「自分が何をやりたいか・面白いと思っているのか」ではなく「何が一番良くて新しいのか」ということばかり考えているときだと思います。
本書を読むことで、正しさよりも「直感的にこれがいい」を優先して物事を進め、後付けで人を納得させるだけの論理を作る、というスタイルもアリではないかと感じました。
✔システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生している
明文化された法律や決まりをかいくぐって何かを生み出しても、後からルールを整備される危険性を持つ、ということが述べられていました。
事業に関してはこのような事例はたくさんあると思いますが、私は一個人でもそのようなケースはあるのではないかと思います。何か新しい案を出さなければいけない時、「誰もやっていないことを探そう」としらみつぶしのように闇雲に走ってしまい、目的意識を見失うことがあると思います。自分の中で「何をやるべきなのか、何が大事なのか」ということを常に心にとめておきながら物事に取り組む姿勢も一種の「美意識」なのではないかと感じました。
最後に、本書で一番響いた点を紹介します。
本書では、哲学者のハンナ・アーレントの「悪とは、システムを無批判に受け入れること」という言葉が紹介されています。組織のシステムにいち早く適応することが誠実性がある、と考えられがちですが、それは間違いで、システムに適応する一方でシステムを相対化して修正する、ということが必要だという主張に非常に共感しました。
「会社のこのシステムはよくない」と頭ごなしに否定してごっそりと変えたいと思ったことはありませんでしょうか。しかし、そのシステムを全否定して新しいシステムを一から作ろうとすると、結局ダメなシステムを作ってしまうというのが大体のオチです。システムに適応しながら修正することの大切さを実感しました。
約250ページで大変読みやすい本でした。また、序章では本全体の内容がうまくまとめられています。さらっと読めるビジネス書を探している方、おすすめです。
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