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男肉と女皮

男肉 du Soleilというダンスカンパニーがある。
ダンスカンパニーと称して良いのか。
とにかく、劇中でダンスをたくさんする。ラップもする。上裸にジーパン、足もとは裸足が基本スタイルの集団だ。

私はこの夏、男肉 du Soleil(以下、男肉)とアツくて濃い時間を過ごした。

私は男でもなければ肉でもない。最近かかりつけ医に「痩せすぎ」「なんでも良いからとりあえず食べなさい」と注意された。男とも肉とも縁遠い存在。それが私、小川である。
なので私が男肉を語るときは「女皮(おがわ)」としておこう
男肉でオニクなのだから、女皮でオガワでも問題はないはずだ。

女皮は今年に入って、チケ発イベント(劇団のチケ発イベント?)に参加したり、大長編(≒本公演)を観劇したりした。公演中に舞台上でダンスも踊った。女皮のダンスは下手だが、男肉では「心が踊れば、それがダンス」と表現しているので一応ダンスに分類されるだろう。
ステッカーをデコるなどの奇行をしているので、団員から怯えられている可能性が高い。

一平さんとJのステッカーも早くデコりたい

大長編が終わった今、正直男肉ロスである。
こんなことなら大阪公演だけでも全通しておけば良かった。
何故今このタイミングで、私は男肉に夢中なのだろうか。それは「やっと私が追いついた」からだ。

かなり前に私は一度、男肉の大長編に行ったことがある。
ヨーロッパ企画を好きな人から「キミは絶対に好きだよ!」と唆された。コロナ前のことだった。
男汁飛び散る席、みたいな名前の最前列のチケットを勧められた。その席のほうが安くて楽しいと言われた。

会場を出て、私は泣いた。怖かったのだ。
上裸の男性たちによる劇とダンスとラップ。最前列の客は雑巾を渡され、床に飛び散った団員の汗を拭く。当然のように舞台に上げられ、ダンスを踊らされる。
なんの説明も受けずに最前列に座ってしまった私には、ショッキングな体験だった。

誘った人は「怖い思いをさせて悪かった。チケット代は奢るよ」と謝ったが、私は拒否した。
「身銭を切ってコレを観たことを忘れたくない」と、泣きじゃくりながらお金を渡した。

これが私と男肉のファーストコンタクトであり、そして当然、ワーストコンタクトである。

そんな私がどうして「女皮」になってしまったのか。BIGアクスタを求めて熱心に #男肉ベストショット のタグをつけて写真を投稿するに至ったのか。それを語るためにはTHE ROB CARLTONという劇団の功績が必須である。

2023年にTHE ROB CARLTONの本公演を観劇した。『Meilleure Soirée』はラグジュアリーでホスピタリティが高く、そして最高のコメディだった。
最高のコメディなので、賞も受賞している。「良いも」のが「正当に評価されること」は意外と難しい。観ただけの私まで、誇らしくなった。

素晴らしい劇の客演に、高阪勝之(男肉内ではKと呼ばれることもある)がいた。

男肉メンバーにしては珍しく、プロダクションに所属している。THE ROB CARLTONメンバーと同じ、株式会社舞夢プロ。吹石一恵も所属しているのでシッカリしたプロダクションに違いない。高阪は男肉の公演だけでなく、朝ドラに出るなど俳優として精力的に活動している。

あけすけなく正直に言ってしまうと、私はTHE ROB CARLTONの客演で観た「服を着た高阪勝之」の演技に魅了された
大変失礼ながら、上記のトラウマとも呼べる先入観のために、「え!? この人、服を着たら、こんなに素敵な演技ができるんだ!」と衝撃を受けてしまった。

彼からは、ヨーロッパ企画における永遠の客演・金丸慎太郎のように、客演であるにも関わらず発揮される「主人公力(しゅじんこうぢから)」を感じた。
ちなみに私は、ヨーロッパ企画における金丸慎太郎の主人公力を大変評価している人間である。
そんな私が「高阪勝之の主人公力」にハマってしまうのは、自然の摂理であると言っても過言ではないだろう。金丸慎太郎の主人公力については、またいつか記したい。

「服を着たK」から、男肉 du Soleilにもう一度触れてみたくなった。
大変なレアパターンである。コロナ前の本公演で泣いていたというのに。
もう一度男肉に触れる機会を与えてくれたTHE ROB CARLTONには頭が上がらない。
今年の本公演にも高阪を呼んでくれてありがとう。

ありがたいので宣伝をさせてくれ!
関西に拠点を置くコメディ演劇を観たいならTHE ROB CARLTONはかなりオススメだ。ヨーロッパ企画よりチケット代が安い採算が取れているのか心配になるくらい安いので、入り口としてもモッテコイだ。京都を拠点としているはずが関西公演は大阪の会場だし、東京公演のほうがステージ数が多いし、チグハグしている部分はあるが、かなりオススメだ。
U27割という、粋で破格な取り組みのお陰で、若者はTHE ROB CARLTONを2,000円で観ることができる。お笑いの単独ライブくらいの価格だ。

さて、話題を男肉に戻そう。
男肉の公演は写真撮影も録画も自由である。なんなら公演中に、団長のXへリプライをしても許される。自由度が高すぎる。
そんな自由なスタイルなので、過去の公演の映像もYouTubeにアップされている
高阪目当て(Kのラップはとっても素敵!)でYouTubeを漁っていたら、とある動画に出会った。

ベロアを着た男性が叫んでいる。この人は城之内コゴローJという愛称で親しまれている。

ダイナマイトパンチ・キック!パンチ・キック!アヒージョ!アーリオ・オーリオ!ニンニクとオリーブオイル!ペペロンチーノ!

正確な文字起こしではないが
要約するとこういうセリフを叫んでいる

そもそも何故、上裸にデニムの集団の中でベロアを着用しているのか。そして今も謎のままだ(有識者の皆さん、教えてください)。

謎のベロア男が、主にニンニク料理について叫びながら、何かと戦っている。
爆笑してしまった。今でも疲れたらすぐにこの動画を観て笑いを得ている。何が面白いのか分からないが、とにかく笑ってしまう
この短い動画で心を掴まれた私は、他の動画もシッカリ観始めた。他人のダンスに口出しするほどのスキルはないが、Jはダンスが下手だった。

ロン毛の吉田みるく(たすくくんと呼ぶときもある)は髪がパサパサしている。お団子ヘアーの「たすくくん」はKAWAII。オジサンを捕まえてカワイイと言うのは失礼にあたるが、私は吉田みるくをカワイイと思っているし、男肉のビジュアル担当だと信じている。
社交性もあるのでアルバイト先のバーでも優しく接してくれる。

服もオシャレ!笑顔がキュート!
(画像のピントが合っていないのはご愛嬌ということで)

一平さんは男肉の振り付けを担当しているだけのことはあり、ダンスが上手い。ダンスの知識はないけれど、体幹がしっかりしているように写る。
一平さんがセンターにいると安心する。

チェンも、一平さんとは違った、魅力のあるダンスをする。しなやかさがある。菊池航名義でダンスのお仕事をしているのだから、そりゃ上手い。
一平さんはメリハリのあるシッカリしたダンス、チェンは柔らかなダンスというイメージだ。

すみだ(すみちゃん)は筋肉の人というイメージ。ヨーロッパ企画の角田も筋トレをしているし、角田という苗字と筋肉には深い関係性があるのかもしれない。ないのかもしれない。
お子さんが産まれて育休を取っていた。男肉は育休が取得できるダンスカンパニーなのだ。

小石(こいちゃん)は、ダンスとかラップとか演技とか、「そういうの」じゃない。爆発している。爆発しているこいちゃんを観るのが好きだ。

改めて高阪K。Kに関しては「映画で観た岡田准一が! V6ではダンスを踊っている! そんな! 俳優なのにダンスを踊ってくれて! ラップをしてくれて! ファンサをしてくれて! そんな! そんな……、良いんですか?」みたいな気持ちになってしまう。女皮的には高阪勝之=岡田准一。
意外に思われるが、V6では岡田担だった。だいたいトニセン担だと誤解されていた。もちろん、トニセンも好きだけど、団扇を掲げるとしたら、岡田准一だった。
そんな女皮が高阪勝之は実質岡田准一と思うのだから、もう岡田准一ということにしてくれないだろうか。

そして団長池浦毅(いけうら・さだむ)。団長だというのに、ほとんどのシーンに登場しない。前説とかはする。
そんな団長だけに与えられた力(パワー)がある。私はその力こそが、男肉の魅力だと信じている

劇中で団員たちは、一人だけを残して必ず死んでしまう。YouTubeで観たどの公演でも死んでしまっていた。残された一人が「皆を生き返らせてくれ」と願う。

そして暗転。

からの明点。

褌姿の団長がマイクを持って板に付いている。

団長が「踊れよ!」と叫ぶ。

それを合図に団員たちは全員が生き返る。

そして団長の歌でダンスを踊る。パチスロ番長の曲『Distance』でダンスを踊る。男肉神輿(だんにくみこし)をして、時世に沿った祈りも捧げる。団長は時世に沿った向上を述べ、電話番号を叫ぶ。「俺がそばにいる。何かあったら電話しろ」みたいなことを言ってくれる。実際に電話をしたことは、女皮はまだない。

何が書いてあるか理解できないかもしれないが、「それが現実」なので仕方がない。

死のパート以降は、お決まりのパターン。団長が登場したら「よ! 待ってました!」と叫びたいレベルだ。

現実では、人は生き返らない。

私は死のアンチをしている。アイツはずっとスベっている。死がウケたところを見たことがない。おもんない。ファンもいない。死とかいつヤツのことが嫌いだ。つまらん。ダサい。ユーモアのセンスもない。嫌いだ。

しかし男肉は演劇なので、現実のルールを無視できる。歌とダンスで甦る。

劇中では、仲間たちがどんどんと死んでいく。悲しい。そんな仲間たちがが甦ったら嬉しい。ハッピーな気持ちになれる。心が踊ってしまう。

生き返った団員たちのダンスパフォーマンスは、とにかく熱量を帯びている。皆が一生懸命踊っている。せっかく生き返った命だ、一生懸命にもなるだろう。
振り付けの中にハートポーズもある。助かる。男肉ファンの人で「Distanceのハート」を嫌いな人などいないだろう。オジサンのハートポーズで助かっているウインクもしてくれる。助かっている。

私も生き返った団員たちのハートポーズをカメラに納めたいが、女性アイドルを追いかけていた時期に振りコピ厨であったという「業―カルマ―」に抗うことができない
コールをするのではなく、好きな女の子と同じダンスを踊ることで愛情を表現するオタクだった。
なので『Distance』中は振りコピをしてしまう

男肉のダンスに、一糸乱れぬ美しさなどを求めてはいけない。

まず「ダンスが上手い」と勝手に認定している一平さんとチェンのダンスが揃っていない
ソロで観るとどちらも上手いと感じるのだが、腕の上がる角度とか、ジャンプするタイミングとか、そういうのはバラバラだ。
高阪―K―からは安定感を感じる。そして持ち前の主人公力を遺憾なく発揮している。
実はこいちゃんのダンスが好きだ。ノビノビしていて楽しそうだ。
吉田みるくはとにかくKAWAII。「男性をカッコイイではなくカワイイに分類してしまうと引き返せなくなる」というのは定説だ。なにをしてもKAWAIIと処理してしまうので幻滅がない。私にとって吉田は無敵ゾーンに入っている。
すみちゃんは、筋肉が男肉の振り付けとマッチしていない気がする。しかしそのミスマッチも魅力的なのだ。
Jはたまに腕が上がっていなかったり、一平さんと比べるとダンスが遅れていたりする。それでも一生懸命に踊るJを観ていると元気が出る。

不揃いな、けれども一生懸命なダンス。
ももいろクローバーの『Chai Maxx』のライブ映像を始めて観たときの気持ちを思い出してしまった。ガムシャラに汗をかく姿が格好良い。

男肉は20周年を迎える。
もう身も心もオジサンな集団だ。
そんなオジサンたちが一生懸命劇をし、一生懸命ラップをし、一生懸命ダンスをする。
生で味わうと、一生懸命さから来る「パワーや熱量」に圧倒される客席に座っているだけで、元気を分けてもらえる。
元気になって会場を後にし、家に帰る。
XやYouTubeにダンスシーンが載っている。
画面を通じて、男肉は再び元気をくれる

団長は言う。「心が踊れば、それがダンス」
男肉を観ているとき、女皮は心が踊っている。
心がダンスをしている。
楽しい! ダンスは下手だが、好きだ。男肉を通じてダンスできることが、嬉しくて楽しい。

そりゃ振りコピだってしてしまう!
まだ完コピに至っていないから、振りコピだ。いつか『Distance』はマスターしたい。

ところで、客席で振りコピをする際、「ミラー」で行って大丈夫だろうか?
もし隣の人が振りコピ勢で、ミラー派でなければ、振りコピ中は常に腕が衝突してしまう。
取り敢えず、ミラーのほうが即座に反応しやすいので、今のところはミラーで行かせてもらう。
Noミラー派の人がいたら教えてほしい。

ミラーで良いのかが不安すぎて、団長に電話してしまいそうだ。

というか、公式から振りコピ用の映像を出してもらいたい振り付け解説動画みたいなやつ。
チケ発イベントで振り付け解説があり、あれでかなりダンスのポイントを抑えることができた。
あれを出してほしい。女皮はワガママなのだ。

大阪公演で過去のCDを注文したので、もうすぐ自宅に届くだろう。
2024年はCD大豊作時代だ。
ZAZEN BOYS。group_inou。トリプルファイヤーの新譜もようやっと出る。そこに加えて男肉。豊かだ!

CDを聴いたり、有志によるダンス動画を観たりして、男肉ロスを乗り越えよう。
大阪公演と東京公演のダンスパートをそれぞれ動画にしてくれている人がいて、かなりありがたい!
家にいながら男肉を味わえるし、『Distance』の練習もできる。


今回の公演では、選挙がテーマの一部となっていた。
宇宙で選挙をする。
高阪が出馬をする。
宇宙公職選挙法も学ぶことができた。

選挙活動のさなか、男肉メンバーたちは攻撃を受けてしまう。そしてヒップホップの力、ダンスの力で戦う。
高阪先生の公約は「踊れる政治・踊れる未来」なのだ。高阪先生はマニフェストを守る素敵な政治家だ!

そして、なんやかんやあって、平和が訪れる。
団長は問いかける。
「ここ宇宙は平和になったけれど、自分たちの周りはどうだろう」と。

実はこれは、私が教育実習で平和についての授業をした際と、落とし所が同じなのである。
「日本は敗戦して、そこから復興して、今は戦争をしていないね。めでたしめでたし」ではない。
生徒一人ひとりが、果たして本当に「平和なのか」を考えることが大切なのだ。
取り敢えず、女皮は教育実習でそう教わった。それが平和教育の正解かはさておき、「そう教わった事実」はここにある。

団長は呼びかける。選挙に行こうと。

男肉 du Soleilは近畿大学で旗揚げされた。
近畿大学出身のアーティストといえば、つんく♂である。
つんく♂の代表作の一つとして、間違いなく『ザ☆ピ〜ス!』が挙げられる。
平和という意味のタイトルで、「選挙の日は投票をして外食をする」と歌う。

男肉 du Soleilは大先輩であるつんく♂のマインドを受け継いでいる! 偶然かもしれない! しかし結果として受け継いだ!

ダンスでハッピーになって、選挙に行こう。
高阪先生の掲げる「踊れる政治・踊れる未来」が、全世界で存在し続けてほしい!

心が踊れば、それがダンス!


ここまで読んでくれた奇妙な人、そして男肉メンバーへ

私のnoteをコツコツ読んでくださっている人は知っていると思うが、「これが私なりの愛」である。
今回は「男肉への女皮なりの愛」と呼ぶべきか。

#男肉ベストショット は瞬間を刹那を切り取り写真に残す企画だ。趣旨ズレかもしれない。というか趣旨ズレだ。しかし、私は写真が苦手である。

文章という形で大長編を切り取る行為も、男肉ベストショットと見做してくれないだろうか?

7,000文字以上のnoteを一日で書き上げ、大千穐楽の翌日に載せるパッションを、評価してくれないだろうか?

まわりくどい表現はやめよう。
BIGアクリルスタンドが欲しい!
高阪先生の団扇も欲しい!
企画上どっちもは無理だ。
どっちか! どっちか、くれないだろうか?

私は全通なんてしていないし(大阪と東京を全通する猛者を2人は知っている)、YouTubeに動画も載せていないし、Xの拡散力もない。

しかしトラウマを克服し、東大阪で大長編を観るに至り、心を踊らせている。
クリ豆に泣かされたあの日からのストーリー、これを「#男肉ベストショット」として扱ってくれないだろうか?

厚かましいのは承知している。
小川は厚かましい生き物なのだ。女皮の私も厚かましいに決まっている!

男肉メンバーはダンスやラップで闘い続けている。祈りを込めている。
私は文章でそれをやっている。今後もやっていく。ダンスより文章のほうが、ちょっぴり自信がある。

このnoteは私にとって、男肉ベストショットであり、ダンスなのである。文章を綴ることは、文字を編むことは、心を踊らせながら行う事柄だからだ。そういうマインドで文章を書く人間なのだ。

厚かましい奇人に見つかってしまって、男肉メンバーには同情せざるを得ない。
奇人は奇人のやり方で愛していく。
なのでどうか、グッズをください!!!!

まあ私が選考メンバーだったら、こんな厚かましい人間はムカつくから、グッズなんてあげないけどね!




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