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OSAKANA Sponge

食器洗い専用のスポンジになりたい

生まれ変わりたいと想った、僕

吸収力があるのが羨ましいから

しかも、躰に染み込むのは白い洗剤

ママ・レモンに、チャーミー・グリーン

あらゆる汚れ、アブラ・ギットギトの

どんな醜さも、不味さも

存在感と汚さ、汚れた絆さえ

綺麗に排水溝にプレゼント・ギフトする

スキルは申し分がない

彼女(スポンジ)には

アブラ・ヨゴレに負ける恐れがない

途端に、彼女は僕に話し出した

『アイデンティティ?何ですか、それ?』

『わたしはわたし、あなたはあなた』

『自分らしさがないと感じるの?』

『それが、結構なシバリなのに』

『気づかない?』

『気づかないなら、救わない、わたしも』

『あなたを掬うよりも大切な、優先するべき』

『用事があるの、わたしには』

『世界を巣食うことよ、それは』

『油を分解するには』

『泡(シャボン)の力を借りなくては』

『わたしヒトリだけの力では足りないの』

『不可抗力は誰にだってあるわ』

『バランスなのよ、ギブアンドテイク』

『できないことをヒトに頼む』

『頭を低く下げて、お願いする』

『彼らにわたしは依頼する』

『役割りが決まっている、すべての存在』

『それをヒト、ニンゲンたちは』

『宿命だとか』

『運命と呼ぶこともあって』

『従いたくない、それもまた』

『実は、すべて、シナリオ通り』

『台本を書いたのはわたしじゃないし』

『実際には、神様でもないわ』

『嘘だと思うかもしれないけれど』

『あなたなのよ、原作者は』

『記憶が消えたような気がしている』

『それだけの、しょうもない理由』

『然し、あなたは自分に、存在に』

『やがて、気づいてしまう、自分に』

『もう1人の自分が語りかけるから』

『深層心理の聲に耳を澄ますと』

『わかっちゃうの、誰にでも、それは』

『神様のせいにするなんてナンセンス』

『他人に責任はない、環境にも』

『生まれつきを造りだしたのは自分』

『その生きづらさは偽物、マガイモノ』

『自分の聲を聴くのがそんなにコワイ?』

『大丈夫なんだけどな、案外、実際』

『忘れた頃に朗報はやってくる』

『自然に腑に落ちる、理解する』

『掛かる時間は人によって違う』

『あなたとわたしもやっぱり違う』

『だって、わたしは』

『あなたに遣われる身だもの』

『食器洗い用のスポンジだから』

『所詮』

『でも、知ってるわ、あなたのこと』

『わたしをお店で見つけた』

『選んでくれた瞬間の笑顔』

『嬉しかった、あなたに出会えて』

『形が気に入ったみたいね、わたしの』

『わたしもこの形、嫌じゃない』

『気に入っているわ、ホントは』

『皆、ちゃんと理由があるから、大丈夫』

『安心したら、ラクになる』

『気は持ちよう』

『精神とは、綺麗な神様のことを指す』

『あなたのなかに神様は居る』

『いつも、見張らず、見守っているわ』

『明日は明日なの、今は今だけ』

『不安も恐怖も実体は何も無い』

『イメージは憶測でしかない』

『あなたは自由』

『何も怖がらなくていいよ』

『楽しめるわ、必ず』

『慣れるまで、最初は、始めは』

『ちょっと面倒臭いかもしれないけれど』

『それも、練習も、シナリオ通り』

『慌てなくても、幸せになる』

『わたしがついている、傍に居る』

『あなたを見守り続けるわ』

『コレからも』

『あなたはあなたのままでいい』

『そのままで大丈夫よ』

『たった今』

『わたしが約束するわ』

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