忘却の空

なにか
忘れものはない？

忘れ去られたような
生温い記憶
旧い傷跡のような
トラウマか、童かは
よく知らない

自分さえ
よく知らなかった、誰も
別に、傷ついたわけじゃ
そのくらい、ヘッチャラ

毎日は
退屈だったから
ノルマ
クルマばっかで

やりたい事は
ココ20年くらい
特別、無いし
何のためかは
会えても考えないように

体が疼いて
ブルっと震えてるから
血の痛みは
僕の傷みにならなかった

そして、
目の前で
君
愛する人は
酷く傷ついていた

傷つけたのは
自分で
そのリアルさ
血の滲む感覚

感覚の鈍さ
己の鈍感さ

憎んだ
唯一
恨んだのは
ほんの一瞬

また、朝になると
全部、ワスレテタ

忘れものは
人生の
宿題となって
脳裏に
いつも山積み

ランドセルは
似合わなくなった

コドモには
少年時代には
絶対に
戻りたくないのに

この
繊細な世界から
なくなったとして
消えちゃったとしても

その事だけは
永遠に残る
いつも
いつまでも
憶えてるから

君が
居たことを
ついさっきの
ニュース速報
殺人事件のように
思い出す自分に

傷口を
愛猫のように
優しく舐めることを
会えてしなかった僕に
幻滅した今が
現実的にココに在る

生きるのが
辛くなった
ホントの理由  

僕は
僕を知っている

全部
なにもかも
憶えてる

言わない、云えない
誰にも話せないけれど

罪は消えない
罪悪感
後ろめたさは
消さない方がいい

ただ
それだけを
頭で
理性的に理解した

インプットされた
君の生存情報
その生き様
体温を
今
僕自身を確認する

Deleteは
不要だから

シナイ

僕は

もう、しない

君を

僕を

蘇らせたくなかった
この記憶を
醜さ、現実感を

もう二度と
僕を
失いたくはない

大丈夫

僕
今日は
忘れもの、シナイから