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生後6ヶ月の彼との1日

世の中が緩やかに動きはじめ、それを嬉しく思ったり怖く思ったり、なんだか些細なことでもエネルギーを持っていかれる。実際のところは家で穏やかにしているだけなのに。

夫の体調不良が続いていて、ここのところ二人で分担していた家事と育児を連日一人でやっていた。「疲れたな」と感じなくはないが、そんな中でも夜にお風呂の掃除に手が伸びるので、仕事していた時よりトータル元気なのかもしれない。ちゃんと元気でいれるように自分と暮らしをもっとコントロールしなきゃなあ、と思う。世の中のワーキングマザーに何度も思いを馳せる。本当にみんなえらい。

そんなことを思っていた翌日、大変なことがあった。

散歩中にふらりと入ってしまったオープンハウスの階段で転倒。尾てい骨を骨折してしまったのだ。ああ。
家の外に出ると左手はどこにも触らない習慣ができていた。(息子にすぐしゃぶられたりするからである)消毒されたと聞いていても下りの階段を手すりを持たず降りてしまっていたのである。いかにも新品の大きなスリッパをパカパカいわせながら。運動神経やバランス感覚を一切身につけずに生きてきたというのに。
見事に転んで数段落ちながら尻餅。めちゃくちゃ痛かった。しかし幸い息子は無傷だった。よかった。

翌日になっても増していく痛み。体調が戻らない夫に、無理に病院に連れてってもらい、尾てい骨の骨折が判明した。
体調不良が続く夫。骨折した私。ついでに息子は便秘3日目だった。ピンチしかない。

06:00-12:00

大きなベッドで息子とふたり、イテテテと寝起きの体を起こしながら朝のお世話をする。一人でも布の絵本や小さなぬいぐるみ、枕のタグなんかをいじり続けてくれる息子。そのすきに顔を洗ったり洗濯物を干したりする。

朝のニュースをみながらご飯。昼頃にあげていた息子の離乳食も、一日2回になったのに合わせて1回目を朝の時間にした。相変わらずよく食べる。器に興味があるようで渡すとゆっくりくわえる。さつまいもをあげると食べる量が増す。前に進みたい気持ちがみえるがまだハイハイはできない。足首を持ってあげるとグッと足を伸ばしてズズッと前に進む。腹ばいのまま手足を伸ばして飛行機のマネのようなことを度々している。目を合わせると笑う。
ほどなくお昼寝にはいる。この隙に最近はもっぱら保育園についての調べ物を進める。

12:00-18:00

本当は散歩に連れて行ってあげたいけど、抱っこ紐をつける勇気はなくて家の中でひたすら遊ぶ。持ち上げることも難しいので寝転がしたらそのままカーペットでゴロゴロしたりズリズリしたりすることになる。両親が心配してくれているのでテレビ電話をかける。息子がいつも楽しそうにしてくれることが救いだ。画面の中の人と話すことを当たり前に育つとは、どういう感覚なのだろうか。
絵本を読んでいると最近は絵柄の部分を掴もうとする。戸をあけたり、取っ手部分を掴もうとしたりする。夕方にも離乳食を食べる。相変わらずよく食べる。

18:00-24:00

骨折中の最難関はお風呂。夫の体調がいまいち優れないので元気な私がいれるのだけど、なにぶん息子を抱きながら立ち上がったりしゃがんだりすると激痛が走る。試行錯誤が数日あってなんとか自分の体を洗ったら息子を連れてきてもらう→椅子に座ったまま受け取って息子を洗う→夫を呼んで息子を抱っこしてもらう→ゆっくり立つ→湯船にゆっくりはいってゆっくりしゃがむ→息子を受け取るという流れが生まれた。

20時前にはだいたい眠りにつく息子。簡単な夜ご飯を用意して食事をとる。骨折前よりもマメに洗い物をこなすようになった。溜まってしまっていると手をつけようかと思っても後回しにしてしまうことが多々あるので「溜まっている」と思われるボリュームになる前になくしてしまうのだ。未来の自分よ感謝なさい、という気持ちである。

🐿 🐿 🐿

私の親も夫の親も、骨折の知らせをしたら手伝いに来てくれようとしたのだけど、夫の体調不良があったので今の時期念のため控えてもらうことにした。結構しんどい日々にはなったけれど、アドレナリンが出るのか問題なく暮らしがおくれた。この時期ほどルンバに感謝したことはない。

子供が産まれる前は、後回しに後回しになっていた家事というものの大きさを実感した機会でもあった。結局自分が過ごす空間を大切にしたいし、それを磨く行為を特別なものと感じているのだと思う。面倒なことばかり山ほどあるけれど、自分なりの美学や規律をあてはめられると心地よさが増してくる。思った通りに収まって、取り出しやすい大皿たち(しかもどれもお気に入り)にうっとりするし、すぐに用意できる離乳食の下ごしらえたちとその並びに可愛さすら覚える。

私の骨折の痛みが収まっていくに従うように、息子がずり這いを覚えて行動範囲を広げていくことになる。


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