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2024年9月 自選短歌

なんのため
なぜにどうして
生きてるの
巣から動かぬ
蜘蛛に問う朝

うつくしい
月とあまたの
星あらば
万目てらす
夜になりたい

たとえばさ
澄んだ水なら
色は無く
水と思えば
水じゃないかな

中秋の
名月などと
人は言う
名月たるか
わたしが決める

なぁ月よ
人はどうして
死ぬのかな
綺麗なキミには
分からないよね

星々に
にじむ泪の
訳を訊く
星は黙って
わたしをみてた

飯うまい
眠る布団も
暖かい
お次はなにを
ご希望ですか

あかさたな
はまやらわをん
それだけで
人を愛せる
ものなのですか

時ゆかば
雲のまにまに
またたいた
星の名前を
誰もしらない

りんりんと
鈴時雨ふる
夜長には
酒よ愛して
かたわらの月

鉄臭い
ワインのごとき
退廃が
わたしの中に
あるのでしょうね

鈴虫の
音色沁みこむ
秋月に
巣へ運ばるる
ちりぢりのセミ

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