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短歌

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自選
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2024年9月 自選短歌

2024年9月 自選短歌

なんのため
なぜにどうして
生きてるの
巣から動かぬ
蜘蛛に問う朝

うつくしい
月とあまたの
星あらば
万目てらす
夜になりたい

たとえばさ
澄んだ水なら
色は無く
水と思えば
水じゃないかな

中秋の
名月などと
人は言う
名月たるか
わたしが決める

なぁ月よ
人はどうして
死ぬのかな
綺麗なキミには
分からないよね

星々に
にじむ泪の
訳を訊く
星は黙って
わたしをみてた

飯うまい

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2024年8月 自選短歌

2024年8月 自選短歌

指先の
クリーム舐めるキミ
僕の心まで
絡めとる舌先

しいたけが
たべれるように
なりました
たぶんもうすぐ
そらもとびます

願わくば
紆余曲折な
戯れ言の
溢る世界に
満天の星

君の手に
トロイメライの
くちづけを
ひぐらしは鳴く
秋の気配に

亡き人の
面影しのぶ
盆入りの
鏡にうつる
どこか似た顔

真夜中の
海はブラック
コーヒーで
添える夜光の
月はクリーム

秋の香に
夏の色味は

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2024年7月 自選短歌

2024年7月 自選短歌

鳩ぽっぽ
飛び立つ腹に
力込め
狙い定めて
Bling-Bang-Bang

燃え上がり
幾星霜と
身を焦がす
塵と果てても
好きよあなたが

似てるんだ
ぼくと野菜は
嫌われて
うまく他人と
話せないだけ

おとなって
泣きたいときに
なけなくて
笑いたくても
わらえないんだ

没個性
行き着く先の
贋作師
ベルトラッキに
人生を問う

旅終えて
やっと地表に
ふる雨は
暖をもとめて
ぼくを濡ら

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2024年6月 自選短歌

2024年6月 自選短歌

ため息を
ひとつつくたび
老猿は
木登りさえも
忘れてしまう

想い出を
凍らせたなら
水割りの
グラスに浮かぶ
水滴の痕

ミュージカル
みたいに今宵
わたくしと
踊りませんか
観客は月

たおやかに
ただなめらかに
しなやかに
きみの心に
そっと染み込め

あぁたとえ
あした世界が
終わるとも
オレは今たこ焼きが食いたい

…ウ…ア…
…アンヨガ……
…アンヨ…
アンヨガミタイ…
アンヨカ

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2024年5月 自選短歌

2024年5月 自選短歌

サヨナラを
もらうかわりに 一滴(ひとしずく)
惜別などを いただけたなら

辞典すら
出会えた事の 歓喜より
別れに泣いた 単語の多さ

いつぞやの
こどものような むじゃきさで
ケツに爆竹 詰めてやりたい

トーペンハウ
言いたいだけさ トーペンハウ
伝わらないよ 僕も知らない

さめざめと
泣いてるような 細い月
そうかおまえも 苦しいんだな

あの人の頭射抜いた一発は
私が買った弾丸でしょ

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2024年4月自選短歌

2024年4月自選短歌

見てなって
いつかなれるさ 福山に
50年後は ほぼ同じ顔

なぁ鏡
甘くみるなよ この私
幾千の夜 越えてきたんだ

フェルメール
レンブラントも 勝てないさ
ひかりあふれる 白いキャンバス

彼の人の
詠む歌に即 魅了され
その知恵の実を 売ってください

日を壊し
月も壊して 雲にのり
己が心の 叫び照らせよ

・・と
・・・を 集めたら
いつしか金に なれるのですか

「五分後に」
それな

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2024年3月 自選短歌

2024年3月 自選短歌

英雄が
僕を助けに
来てくれる
そのまま空へ
連れ去ってくれ

Amazonで
天使の羽根を
ポチッとし
アトランティスを
探しに行こう

いつかまた
心通わす
日もくるさ
だってあなたも
僕も生きてる

写りこむ
ヘドロのやうな
心根を
キレイな服よ
どうか隠して

痛みさえ
感じなくなる
あの人が
去ってしまった
夜をおもえば

文言を
担架に乗せて
駆け回り
施術完了
これ「短歌」なり

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2024年2月 自選短歌

2024年2月 自選短歌

羨んで
笑い哀しみ
蔑めば
喜び腐る
我、万華鏡

モノクロの
世界に揺れる
円環で
いつかあなたと
虹をみたいな

熱っぽく
欠けたピースを
求めども
嵌めれば飽きる
パズルの様な

このジュース
無果汁なのに
みかん味
僕は一体
なにを飲んでる

降る雨に
冷えた大地の
芽は伏すが
いつか明媚な
花は咲くなり

あなたから
聴かせてほしい
音がある
たった七文字
「愛しています」

はいそれは

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2023年自選短歌

2023年自選短歌

シンバルと
タムとバスドラ投げつけて
16ビートで帰途につきたい

あぁ師走
何故におまえはこの僕を
走らせるのだ師でもないのに

キミがいて
月が出るまで待てなくて
何度も夜空見上げる二人

なるほどね
正しい月があるのなら
間違う月もあるんだもんね

大切な
牢屋の鍵を無くすまで
私は私を閉じ込めている