日本憲兵外史③           新京・首都攻防戦の準備

ボイラー室で書類の焼却を行った。
 翌十二日午後一時、関東防衛軍司令部は各部隊命令受領者を集めて、次の命令を下達した。

 一、(満州国の)東部正面は、牡丹江周辺において目下激烈なる戦闘を展開中 
   なり。敵(ソ連)はすでに北鮮に侵入し、南下の態勢を示しつつある。
 二、北部正面における国境附近の戦況は、その後大なる変化なし。
 三、西部正面においては、内蒙国境より侵入せる有力な重戦車を有する機
   甲部隊に掩護せられたる敵は、白阿線南北側を急進中にして、その先  
   遣隊は白城子近郊に到達せり。
   われ(日本軍)は逐次後退しつつ反撃態勢を整えつつあるも、阿山友軍は
   すでに敵の重囲に陥りて連絡は途絶し、索倫はわれなお確保しあるも 
   白狼、五叉溝の友軍はすでに壮烈なる最後の突撃を敢行し、全員玉砕 
   せり。
 四、敵の重戦車部隊は、明後日十四日ないし遅くとも十五日には、新京郊
   外に進出し来るは必至なり。われ(関東軍)はこれを市の外周において迎
   撃殲滅せんとす。
 五、国都(新京)防衛部隊は、大同広場を中心に陣地を構築し、全市を四分
   し、各地区に一個師団を配備して防衛にあたるべし。

*大同広場は、新京の中心部にある巨大ロータリー

➡  ④に続く


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