真面目風不真面目な同志へ
私は、自分に甘い。
周りからは「真面目だね」と言われることも多いが、それは往々にして私の真面目そうな雰囲気に騙されている。
私がどれくらい自分に甘いかというと、普段ならある程度取れているテストや模試の点数が、夏休みなどの長期休暇を挟むとガクッと落ちる。自分でもびっくりするくらい落ちるが、学習しない。やる気が一ミリも出ないのだ。
毎回毎回休み明けにことごとく成績が悪くなるので、担任から「休みの間になにがあった?」と渋い顔をされることも少なくなかった。
そしてタチが悪いのは、その悪い結果にもしっかりと落ち込むのだ。
(大してやらなかったから当然なのに)
高校三年生になり、周りも自分も受験シーズンが始まった。ただでさえ周りと自分を比べて自信がなくなってしまう時期なのに、休み明けに成績がズドンと下がるなんてメンタルに悪すぎる。さすがにこれはヤバいと、この原因を考えてみた。
そして辿り着いたのが、「私は人に見られていないと勉強しない」ということだった。悲しいが、部活終わりに1人で黙々と自主練に励めるようなかっこいいタイプではなかったのだ。
自分が怠惰な人間であるということは自覚したが、これに甘んじて受験もズドン、なんてことになっては笑えない。
そこで、私は二つのことをやってみた。
一つ目は、「大人が視界に入る場所で勉強する」ということだ。私の高校は、たまたま職員室の前にいくつかテーブルとイスが並べてあり、自由に使うことができた。サボるとわかっているなら、1番サボりにくい場所に自らを追い込む作戦だ。長期休暇の日も、足繁く学校に通った。職員室の前だから、当然先生もたくさん通る。顔見知りの先生からは、「頑張ってるね」などと声をかけられ、良い気になる。
褒められて伸びる単純な性格だったことに、これほど感謝したことはない。
二つ目は、「わからないことはさっさと先生に聞く」ことである。問題が解けずに悩み、解説を見ても分からず、結局時間だけをかけて得たのはその教科への苦手意識だけ…みたいな経験はないだろうか。私も例に漏れず、物理が大嫌いだった。
先生に聞きに行く、というのはなんだか媚を売っているようで苦手だったが、そんなプライドを気にしていては悲しい運命が待ち受けている。私は腹を括り、先生に解き方を聞いた。
すると、まず解き方がわかるようになる。
そして、解き方がわかるから二回目は自分で解けるようになるのだ。ウンウンと何時間も1人で考え込んでいたのが嘘のようだった。
かくして、私は何とか大学に入学し、社会人になっている。自分の性格を変えることはできなかったが、環境を変えることで解決する問題もあることを学んだ。
この文章の序盤を読んで自分にも心当たりがあるとドキッとした方は、騙されたと思ってぜひ試してみてほしい。