![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146384767/rectangle_large_type_2_528d85253ef6c8ec315703d1d79d9373.png?width=1200)
今が旬
「このお魚、今が旬だよ〜!」
と言う魚屋店主の明るい声。
仕入れてきたお魚を、
ここの店主らしく陳列し、
手書きの値札も商人らしい。
1番活きがいいのは、おそらくこの店主だ。
もうどれくらいの年月、
この店頭に立っているのだろう。
なのにどうしてか、フレッシュなんだよな。
なるほどこの店主は、"今が旬"。
この店主はきっと、毎日が旬なんだ。
「私は今が旬なの。」
と言う女がいる。
人には旬があるらしい。
若さを尊び、老いを疎う。
どうしてだろう、この女の近くにいると息苦しい。
旬の人間を物色し、それ以外は生ゴミにしている。
なるほどこの女は、"今が旬"。
今だけは、旬に見えるのかもしれない。
私にはそう見えないが。
あの溜まっていく生ゴミの
腐敗臭がずっと漂っているから。