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あんたとシャニムニ踊りたい 第6話ー③「クレープ食べに行こう」


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 夢を見た。裸の女性2人が、絡み合う夢を見た。
 その淫靡な夢が、何度もループする。何度も、何度も、何度も、何度も。 抜け出すことも、逃げることすら、許されず、私は夢に囚われていく。 
 一人は、私にそっくりの見た目だった・・・。私であるはずなのに、私ではない誰か。 そして、もう一人は・・・。

 「妃夜、妃夜?」

 「ね、ねえさん?」

 「おはよう、目が覚めたのね?ずっと、うなされてたのよ、平気?」

 「へいき・・・じゃない」 
 頭が重い、激しい鈍痛と真の底から、体が熱い。思考がまとまらない。 
 昨日の無理が祟ったのか?どうやら、熱のようだ。

 「お母さんが、お昼から病院行くらしいから」

 「うん」

 「体、拭いてあげるから、準備してね」

 「うん」

 姉は海外留学の為の勉強があると言うのに、私の介抱をしてくれた。 
 朔夜姉さんとは大違いだ。

 私は何のためらいも無く、起き上がり、パジャマのホックを外した。 
 気づいたら、この態勢だったので、誰かが、着替えさせてくれたのだろう。 
 しかし、昨日の記憶を思い出そうとする度に、酷い鈍痛が襲い掛かって来る。
 それはまるで、あの時のような。

 「ひよちゃん、体拭いてあげるね」

  白夜姉さんは、水で絞ったタオルを持って、彼女の言う通り、背中を拭いてくれた。

 「勉強はいいの?」

 「いいの。だって、貴方を愛しているから」 
 白夜姉さんの言葉はいつも、私を勇気づけてくれた。 
 姉さんは私の希望の光そのものだった。

 「さぁ、出来た。服を準備するね」

 「うん」 
 白夜姉さんの言葉には逆らうことが出来なかった私はスマホを観た。 
 暁や加納さん、宮本さんや矢車さんの通知で行き交っていたが、それを返信する気力が残されておらず、そのまま、私は姉の思うがままの人形となっていた。

 「暁さんには感謝しないとね」

 「なんで?」

 「昨日、あなたを運んでくれたんだって、暁さんのお母さんが車で乗せてくれたみたいだし。お礼しないとね」

 「へぇ」

 「さぁ、ご飯食べましょうね」

 「うん」 
 それから、病院に行き、疲労が溜まってのものだろうと診断された。 
 その後も、受験勉強そっちのけで、白夜姉さんが、私を介抱してくれた。 
 私が皆に返信できるようになったのは、それから、3日後のことだった。

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