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あんたとシャニムニ踊りたい 第6話ー⑦「クレープ食べに行こう」
7
春の匂いが香る中一の3月。私は間宮さんと校舎で遭遇した。
「羽月さん、お久しぶり」
「間宮さん」
「最近どうですか?お元気でしたか?」
「まぁまぁです」
そう答えるしか、無いだろうとは思ったが。
「私は元気モリモリで困っちゃう位」
「へぇ~」
言葉に詰まった。体調不良で、休みが多いこの人に「そうですね。元気そうで何よりですね」と言うのは、流石に言葉が見つからない。
「ごめんなさい。言葉に詰まらせちゃって」
「いえ、そんな」
その通りではあるが、こんな無駄な時間を終わらせたかった。
「羽月さん、辛くなったら、いつでも声を掛けて下さいね。私はあなたの味方ですから」
「は、はい」
当時の私は心が氷のように、溶けることのないのだろうとこのままであることを良しとしていた。
「それでは」
「はい」
「最後に一つだけ」
「はい」
「好きです」
「はい」
間宮さんは過ぎ去っていった。
彼女の告白を私は無視してしまった。
彼女も、それ以上の追求をすることは無かったし、聴き間違いだろうと私自身、切り捨てていた。
その記憶はいつの間にか、私からも消えていた。
ザー
目が覚めるとそれが夢だったことを思い知る。
熱帯夜だった所為か、体が汗まみれで湿っぽい。布団を確認したが、特に問題は無さそうだ。
どうして、こんな夢を見たのかなんて、その時の私には理解出来なかった。 意識が混濁したままの私は体を起こし、どうして、こんなことを思い出したのかを理解は出来なかった。
そのまま、身なりを整え、朝食を取り、歯を磨き終わった後、私が学校へと自転車を漕ぎ始める為、家を後にした。
自転車を漕いでいると不良3人組が学校まで、ランニングのペースで走っている所を目撃した。
私は2度と口を聞かないと言ってたので、そのまま無視を貫き、私は学校へと急いだ。
8時過ぎには学校に到着。自転車を置いて、下駄箱に靴を置いた時、嫌な悪寒に襲われた。
教室に到着した時、声が聞こえた。その声は懐かしくも何処か温かく、私を思っている声が聞こえて来た。
多くの同級生に囲まれ、歓談している間宮凪、その人だった。