政権変容論
内容
弁護士であり、元大阪府知事でもある橋下徹氏の著書。
法律を熟知した弁護士、
政界を熟知した政治家、
二つの経験を持つ氏の政治論について語られる本。
政権交代
ではなく
政権変容
という独自の言葉を用いて、
この国が目指すべき政治、
主に野党に対する提言として主張をまとめられている。
政治に希望を持てない国民が多いこの国で、
どうすれば国民からの支持が得られるのか。
政権交代を望んでいない国民は、
野党に何を望むのか。
政治への関心が薄い国民は、
どういうアプローチで政治に関心を持たせるのか。
大阪の首長だけでなく、
国政政党維新の会も立ち上げ、
今日まで継続して存在する政党を作り上げた張本人。
現在では歯に衣着せぬ発言で報道番組に引っ張りだこの橋下徹氏。
そんな彼の政治への提言。
感想
橋下氏の著書は何冊も読んだことがある。
発想はとてもシンプルで、
今の政治の問題点を的確に表現してくれていることが多い。
実は難しいことを言っているようでも、
内容は単純明快。
そこが読みやすくて良い所
現職国会議員こそ、
こういう本を読んで学ぶべきだと個人的には思う。
政権交代を嫌がる理由
55年体制の総括
野党間予備選挙という提案
参考になる内容は多い。
政権変容とは、
政権交代のような大きな変化ではなく、
政権が野党に変わらず与党内で小さな変化をするという意味。
この国では、
政権交代のような劇的な変化は望んでない。
今の暮らしにそこそこ満足している人が多い中、
政権交代のような大変化は嫌だ。
民主党の再来はこりごり。
ということらしいが、
変化を嫌う民族であることは納得。
戦後ほとんどの期間に自民党が政権を担っていた現実。
戦後の政権交代は2回だけ。
そして最近あったその内の1回がボロボロだった。
そりゃ国民も嫌がるよね。
だから変容が良い。
政権交代には、
・自民党内部の崩壊
・強い野党の台頭
これらが重要。
自民党の不祥事は多いが、
それだけでは国民は野党に関心を持たない。
強い野党が台頭してこない限り、
自民党を野党に引きずりおろすことは厳しい。
大阪の政治を見習いたいと個人的には思う。
大阪の地方議会は、
既に維新の会が政権を担っている。
自民党は全国の地方でもかなり強いが、
大阪ではこれがひっくり返った。
結果として維新が長期にわたって政権運営。
それを指をくわえて見ているだけの自民党ではないはず。
どうすれば政権奪取ができるのかを考える。
こういう政治の世界が理想的。
文句ばっかりでは何も変わらない
実際にできないことを口にしてもがっかりされるだけ
なぜ有権者はこの政党に政権を託したのか
そこを真剣に考えることができる政治家がどのくらいいるのか
こうして切磋琢磨しながら成長するであろう大阪がうらやましい。
府民や市民はこういう結果を作り上げたのだから、
国民もそれができるはず。
政権変容論というのは、
この国の国民性に合致した画期的な論ではあるが、
有権者が真剣に政治に向き合えば、
こういう政治の世界を作り上げることもできるはず。
まだまだこの国の有権者は
賢い人が多いことを信じたい
本の内容は面白いが、
政権変容という現実的なことで満足しない有権者が増えることを願う。
おススメ度
☆☆☆
全ての有権者はこういう本を手に取るべきだと思う。
強い野党を育てるには国民の力が必要。
口だけではないまともな政策論を言える野党を育てないと、
政権取っても民主党の二の舞。
しかし、
国民の関心が政治に向かないのが現状。
政治を諦めているのか
現状に満足しているからどうでもいいのか
投票に行くのが面倒なだけなのか
それでも政治に文句言う人は多い印象。
この国は投票率50%くらいだから、
半分の人は政権批判する資格も無い。
関心を持たない原因を政治家に押し付けるのではなく、
自らこうした本で学んで政治を考えてほしい。
この国が進む方向は
有権者が握っている
民主主義国家として当たり前のこのことを
一考させるきっかけがこの本にはあった
タイトル:政権変容論
著者:橋下徹
出版:講談社+α新書