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子ども食堂だいちのめぐみ #4

第四話:おにぎりでつながる命

第一部

春が深まるにつれて、「だいちのめぐみ」は少しずつ新しい顔ぶれを迎えるようになっていた。今日も商店街の雁木を通って、常連のお客さんたちが雪解けの道を歩いてやってくる。めぐみと晃四郎は、そんな町の人々のために、おにぎりを握り、温かいご飯を提供し続けていた。

その日、ドアが開いて入ってきたのは、見慣れない若い男性だった。彼の名前はリュウタ。ボサボサの髪とくたびれた服装をしており、目にはどこか疲れが滲んでいた。めぐみは、彼が何か悩みを抱えていることを直感で感じ取った。

「いらっしゃいませ。お腹が空いているのかしら?」と、めぐみは優しく声をかけた。

リュウタは少しためらいながら、「あ、はい…」と答え、カウンターに座った。めぐみはそんな彼に温かいおにぎりと豚汁を差し出した。

「これ、どうぞ。お腹が満たされると、心も少し楽になるかもしれませんよ。」めぐみの言葉に、リュウタは感謝の気持ちを込めて頭を下げた。

彼が一口おにぎりを頬張ると、その美味しさに少し驚いた様子を見せた。「こんな美味しいおにぎり、久しぶりです…ありがとうございます。」

めぐみは微笑みながら、「ゆっくり食べてね。お腹いっぱいになるまで、何個でもどうぞ。」と彼に言った。

第二部

食事を終えたリュウタは、しばらく店の雰囲気に浸っていた。暖かいお店の中で、周りの人たちが和気あいあいと過ごしている様子を見て、彼の心にも少しずつ温かさが広がっていくのを感じていた。

晃四郎がリュウタに話しかけ、「おにぎり、美味しかった?」と聞くと、リュウタは微笑みながら頷いた。

「とても美味しかったよ。ありがとう。ここに来て本当によかった。」

晃四郎はその言葉に満足そうに微笑み、「またいつでも来てね。僕たちは、いつもここにいるから。」と答えた。

リュウタは少し考えた後、ためらいながら話し始めた。「実は…最近、色々と行き詰まってしまって、食べることもままならなくなってしまったんです。仕事も辞めてしまって、これからどうしたらいいか分からなくて…」

めぐみはリュウタの話を静かに聞き、彼に向かって優しく声をかけた。「そうだったのね。でも、あなたは一人じゃないわ。ここに来れば、私たちがいるから、安心してね。」

その言葉に、リュウタは思わず涙ぐんだ。彼は自分の孤独な心が少しずつ癒されていくのを感じた。

第三部

その日以来、リュウタは「だいちのめぐみ」に時々訪れるようになった。めぐみは彼に、店で簡単な手伝いを頼みながら、少しずつ自信を取り戻させていった。彼は店の掃除や料理の準備を手伝い、徐々に町の人たちと交流を深めていった。

リュウタは少しずつ明るさを取り戻し、いつも晃四郎と一緒に笑顔で話すようになった。彼はこの店での時間が、自分にとってどれだけ貴重なものかを感じていた。そして、自分の人生にも少しずつ希望が湧いてくるのを実感していた。

「リュウタさん、僕と一緒におにぎり作りを手伝ってよ!」晃四郎が嬉しそうに誘うと、リュウタもその誘いを喜んで受け入れた。

二人で並んでおにぎりを握りながら、リュウタは自分の手で作ったおにぎりが人々に喜ばれることに大きな満足感を覚えていた。そして、彼は再び前を向いて歩き出す力をもらっていることに気づいたのだ。

第四部

ある日、リュウタが店で手伝いをしていると、偶然にも彼の元同僚が店に入ってきた。彼の名前はマサオ。二人は驚いた顔で見つめ合い、しばらくの沈黙が続いた。

「リュウタ、お前、こんなところにいたのか。」マサオが言った。

リュウタは少し困惑した様子で、「うん、色々あって…今はここで少し手伝わせてもらってるんだ。」と答えた。

マサオはため息をつきながら、「お前が辞めた後、会社も大変だったよ。でも、ここでまた元気に働いてるんだな。」と続けた。

めぐみは二人の様子を見て、何かを察したように口を開いた。「リュウタさんがここで元気になっていくのを見て、私たちも嬉しいです。彼がこの店で頑張ってくれているおかげで、お店も賑やかになりました。」

マサオはその言葉に少し考え込み、やがて微笑みながらリュウタに手を差し出した。「また一緒に仕事ができる日が来るといいな。頑張れよ。」

リュウタは感激の表情を浮かべ、マサオと握手を交わした。その瞬間、彼の中で何かが変わったのを感じた。彼は再び社会の一員として立ち直る勇気を持つことができたのだ。

第五部

リュウタは、その後も「だいちのめぐみ」での手伝いを続け、町の人々とも交流を深めていった。彼は少しずつ自信を取り戻し、再び仕事に挑戦する気持ちを固めることができた。

めぐみはそんなリュウタを温かく見守り、「あなたがここで元気になってくれて、本当に嬉しいわ。またいつでも戻ってきてね。ここは、あなたの居場所でもあるから。」と声をかけた。

リュウタは感謝の気持ちを込めてめぐみに頭を下げた。「ありがとうございます。ここでの時間が、僕にとって本当に大切なものになりました。またいつか、恩返しに来ます。」

彼は「だいちのめぐみ」を後にし、新たな未来に向かって歩み出した。そして、この店で得た人々とのつながりと温かさが、彼の心の支えとなり、これからも彼の人生を支えていくだろう。


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