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◯日後に正体を明かす有名活動者にはミシェル・フーコの思想が必要だと感じた件

最近、Xで話題になっている「X日後に正体を明かす有名活動者」という人物を知っている人は多いだろう。

この人物は最初は「〇日後に正体を明かす有名活動者」という、日が経つにつれて〇の部分の数字が減っていくといったカウントダウン形式にして名前を表示しており、数字が0になった時に正体を明かすというシステムだった。(自分が初めてこのアカウントを知った時はカウントダウンの数字は確かだった気がする。)
5. 4. 3. 2. 1. とカウントダウンの数字が徐々に減っていき、そしてついに数字が0になり、正体を明かす日がやってきた。

正体はYouTubeのプレミア公開で明かすと言っていた。
しかし、動画の内容は

・Youtubeの登録者数は10万人以上いるよ!
・ツイキャス(ライブ配信サービス)の登録者数は18万人だよ!
・超有名歌い手だよ!
・素顔のことだけど、クリスマスイブの日に生放送で教えるよ!

という感じで結局、正体は教えてくれず、自慢話と告知をして終わってしまった。

そのあと、「僕の正体です。」と書かれたポストが投稿された。

しかし、これは正体とは言わない。
正体の意味を調べると、このように書かれている。

そのものの実際の姿。変化(へんげ)する前の姿。また、ものごとの本質、精髄。本体。実態。

コトバンク

彼は「僕の正体です」と言っておきながら、写真を加工して鼻から口元まで隠している。加工している時点で、実際の姿を現していない。彼は正体という言葉を間違って使っている。

彼は正体を明かす日にこんなポストを投稿していた。

どうやら、彼にとってはYouTubeで自慢話と告知をして、正体という言葉を間違って使った日を革命の日と呼んでいるらしい。

正体を明かす有名活動者の手紙

ここから本題に入るが、正体をまだ明かしていない彼は現在、悩みを抱えている人に向けて手紙を書き、その手紙をXで投稿している。だが、その手紙の内容を見ると、結構ツッコミどころがあった。
なので、今回はその手紙の内容について、色々とツッコんでいき、「その悩み、哲学者がすでに答えを出しています」という本を使って手紙の内容を修正していこうと思う。

この書籍について説明すると。
まず、昔の人と現代の人の抱える悩みはだいたい似ており、悩みを抱えているといえば、仕事・健康・家庭・お金関連の話が多い。昔から同じような悩みを抱えていたという事は、賢い人達がこれらの悩みをどうすれば解決出来るのか考えていたはずだ。そういった賢人達が導きだした考えを参考にして、日常の悩みを解決する糸口を見つけていこうじゃないか。という本である。

では、手紙の内容に入っていこう。

今回、ツッコんでいく手紙はこれだ。

この手紙は最初に書いている通り、生きるのがつらい人に向けて書かれている。

そして、内容は

まわりの目とか世の中のふつうに左右されないで自由に生きればいいんだよ。
所詮他人だしあなたの人生なのだから。

と書かれている。

まず、この手紙を読んだ時に最初に気になったのは、文体だった。なんかすごい上から目線のような感じがする。
彼は、まだ正体も明かしていないし、年齢もよく分かっていない。そんな彼が、「生きるのがつらい君へ」という幅広い層の年代に向けて書いている。
もし、彼の年齢が高校生だったとしたら。
生きるのがつらいと感じている自分よりも年上の人に向けて

まわりの目とか世の中のふつうに左右されないで自由に生きればいいんだよ。

と言っている事になる。それはなんかちょっと嫌ではないだろうか。たとえ、彼が20代以上だとしても「いいんだよ」はちょっとイキってるなと思ってしまう。
まぁ、本人がこの語り口調で納得してるなら別にいいと思うよ。所詮他人だし、あなたの人生なのだから。

一番気になったのはこの語り口調ではなく、手紙の内容だ。
最初に見た時、生きるのがつらいと感じている人に向けて、「自由に生きればいいんだよ」は何の解決策にもなってなくないか?と思った。
例えば、上司に酷いことを言われて「生きるのがつらいな」と感じていたとしよう。その人が会社で上司に言い返したり、自分がやりたいことをやって自由に動こうとすると、自分の社内評価が下がってしまうかもしれない。場合によってはクビになる可能性だってある。そしたら、また「生きるのがつらいな」と感じてくるだろう。
生きるのがつらい人に対して「自由に生きよう!」と投げかけるのはあまりにも無責任ではないだろうか。
他にも「世の中のふつうに左右されないで」の部分も気になる。世の中のふつうとは何を指しているんだろうか。
世の中にふつうにあるもの…
もしかして、法律の事だろうか。「法律なんて気にせずに自由にいきようぜ!」と言いたいんだろうか。
だとしたら、もう言っていることがめちゃくちゃだ。
(たぶん彼の言いたいことはそんなことではないだろうが…)

手紙の内容を修正しよう。~ミシェル・フーコーを添えて~

生きるのがつらい君へ
まわりの目とか世の中のふつうに左右されないで自由に生きればいいんだよ。所詮他人だしあなたの人生なのだから。

さて、気になる部分を指摘したところで、この手紙の内容の修正に入ろう。
まずは、最初の部分だ。
「生きるのがつらい君へ」はあまりにもターゲット層が広すぎる。生きるのがつらいと感じる理由は様々で、人によっては解決策は違ってくるはずだ。だから、生きるのがつらいと思っているひと全員に「自由に生きればいい」はちょっと無理がある。もっとターゲット層を絞るべきだ
手紙の内容を見ると「周囲の目を気にしてしまって縮こまってしまう人」に向けて書いていると思われる。なので、最初の部分は「人の目を気にしてしまう君へ」にしておこう。
あとはその人達に対するメッセージだが、そこで「その悩み、哲学者がすでに答えを出しています」の出番だ。この本によると人の目を気にしてしまうという悩みに対して、ミシェル・フーコーという哲学者を取り上げている。フーコーの哲学からいえることは世の中の支配している常識や空気、周囲の目線が、どのような根拠に基づいているものなのかを歴史的な視点から疑うこと。そして自分の能力や魅力を可能な限り自由に発揮できるように、勇気をもって身近なところから自分のもつありようを自由に発揮させていく努力が必要なのだそうだ。
確かに、歴史的な視点で見て「他人の言っている常識や価値観って本当にあってるの?」と疑問に思えば、他人の常識や価値観に左右されるのが、なんだかバカらしく感じてくる。

これらのフーコーの哲学の要素をメッセージに入れれば、手紙の修正は終了だ。
完成形はこんな感じになる。

人の目を気にしてしまう君へ
他人の価値観や世間の常識に左右されないように、それらの根拠を歴史的視点から疑えばいいんだよ。そして、勇気をもって、まずは身近なところから自分のもつありようを自由に発揮させていけるように努力しよう。

ちゃんと上から目線の要素も入れておいた。正直、人の目を気にしている人に届けるなら、もっと色々書く事があると思うが今回はこれぐらいにしておこう。

クリスマスイブまで彼の正体は明かされないが、これからどういう立ち位置になるのだろうか。

彼は別のアカウントで革命を起こしたいと言っている。

彼は歌い手らしいが、自分の歌でみんなを元気にさせるとか、そんな事は他の有名歌手の方々がやっているので、その程度ではないはずだ。彼がどんな革命を起こそうとするのか。楽しみに待っていよう。

参考文献

この本を読んだ時に、ものすごい労力をかけて作ったんだろうなと感じた。参考文献の量も膨大だ。
悩みに対して深い回答を出せるようにするには色々と下調べした上で思考する必要がある事を教えてくれる本だった。

この記事では、あまりミシェル・フーコーの魅力を伝えきれていないと思うので、気になった方は、読んで見てほしい。
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