
1/19(日)文学フリマ京都に「働く」をテーマにした小説・哲学本を販売!【なぜ働くことが辛いのか】
文学フリマ京都の出店のお手伝いをします。
お手伝いするのは「まとも書房」です!
販売する本に関しては最後の方でリンクを載せときます!
(リンク先はまた更新していく予定です)
販売するブースも最後に載せときます!
どんな本を販売するのかというと、ざっくり言えば
「今の資本主義社会っておかしくね!?」
このように疑いを向ける本です。
詳しい文学フリマの告知は「まとも書房」の方でまた記事を書いてくださりますが、今回この記事では販売する本を購入する前に知ってほしい背景知識を教えていこうと思います!
さて、みなさんは仕事をどのように捉えているでしょうか?
「自己を成長するためのもの」、「お金を稼ぐためのもの」、「生きる目的を探すためのもの」。
そのように捉えている人がいると思います。
「お金を稼ぐため」というのはまだ良いですが、「自己を成長するためのもの」、「生きる目的を探すためのもの」だと捉えるのは非常に危険だと「なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか」の著者ジョナサン・マレシック氏は言います。
マレシック氏によると
「仕事は私たちに尊厳を与え、私たちの人格を形づくり、生きる目的を与るものである」という考え方は高貴な嘘でありまやかしである。
このように述べています。
そもそも「尊厳」とは何かといいますと、社会の中で発言する権利、またはその社会のメンバーの一員に数えられる権利を意味しています。
たしかに、仕事に所属していたとしても、そこで何かしらの結果を残さなければ、「私は社会の一員になっている!」とは感じにくいでしょう。
「人格」を形作ってくれるのも、まやかしだと言っていますが、これは本来の「人格」を作ってくれるわけではない。と言いたかったのだと思います。
そもそもとして仕事は他者の評価が入るため、自分本来の人格を100%出すことが出来ません。
実際、顧客の前ではどんな感情だろうと笑顔を貫き通さなければならないでしょう。

ときには昇進するために上司に好かれやすいキャラになろうとする場合もあるでしょう。

なので本当の自分の姿、人格を形成するのは難しいのではないのでしょうか。
「生きる目的」を与えてくれない。
これは割と理解できる人もいるのではないのでしょうか。
仕事自体が「あなたの生きる目的はこうだ!」と教えてくれはしないでしょう。たとえ、仕事を通して人に感謝されたとしても自分の「生きる目的」は明確には分からない。という人もいるでしょう。
ということで、仕事が「尊厳」「本来の人格」「生きる目的」を与えてくれるかは怪しいという話をこれまでしてきました。
なのにも関わらず人々は人生を仕事を通して見ている傾向にあるのです。
どういうことか。
例えば、結婚や子育てに対して「人生の大仕事」と表現する人がいます。休息ですら「労働の疲れを癒すための時間」と捉えることも多いと思います。
どちらとも、仕事と関連させていますよね。
さらに、いくつか質問したいのですが、みなさんは
「あなたは何をしている人ですか?」という質問に対して何と答えますか。
「○○(会社名)で働いています」、「コンサルをしています」
このように仕事に関することを答えるのではないでしょうか。
でも別に「どういう仕事をしているのか」について聞いているわけではないので、別に「普段は家で料理をしています」、「普段はゲームをしています」「健康な身体づくりのために朝、ランニングしています」と答えても良いはずです。
他にも「将来の夢は何ですか?」という質問は会社の面接でもよく聞かれることですが、みなさんは何と答えるでしょうか。
おそらく、職業を答えますよね。
別に「優しい大人になりたい」と答えても良いはずなのに…
ここから言えることは、人々は人生を仕事を通して見ているということです。
このような考え方は英語圏にも存在しています。
例えば「What do you do?」という質問は日本語でどう訳すと思いますか?
直訳すると「あなたは(普段)何をしていますか?」になりますが、これ。本来的なニュアンスは
「あなたの職業は何ですか?」
こうなるのです。
もはや人々は「何かをする」=「仕事」と解釈し、仕事を軸として人生を見てしまっているのです。
改めて振り返りましょう。
「仕事は私たちに尊厳を与え、私たちの人格を形づくり、生きる目的を与るものである」という考え方は高貴な嘘でありまやかしである。ということを話していきました。
しかし、仕事が「尊厳」、「本来の人格」、「生きる目的」を必ず与えてくれると信じ続け、働き続けます。
なぜなら、仕事を中心として人生があると思い込んでいるからです。でもどれだけ働いても答えは教えてくれない。でも、ない答えを求めて働き続ける。
結果どうなるか。
燃え尽きてしまうのです。
ここである指摘があると思います。
とりあえず、仕事が「人生の意味」、「生きる目的」を与えてくれないのはわかった。
でも、仕事をしたらお金が貰えるじゃん。
だから、少なくともお金が人生の価値を示してくれるのでは?
そんなことを思う人がいるでしょう。
つまりは、貰うお金の量が多ければ多いほど、その人の人生の価値が高いという考えです。
しかし
お金が多くもらえる仕事の方がより社会貢献している。良い人生を歩んでいるとは必ずしも言い切れません。
そこで、人類学者のデヴィッド・グレーバーが提唱した「ブルシット・ジョブ」という概念を取り上げます。
「ブルシット・ジョブ」とは何かというと。
雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で不必要で有害でもある有償の雇用の形態のことです。
簡単に言うと意味のない仕事と言うことです。
そして「シット・ジョブ」という概念もあり
一般的に誰かがなすべき仕事であるとか、はっきりと社会を益する仕事と関わっている。ただ、その仕事をする労働者への報酬や処遇がぞんざいに扱われている。
要は社会的意義があるけど、割に合わない仕事のことです。
例えば、配達員、清掃員、コンビニの店員のことを指します。
グレーバーは「ブルシット・ジョブ」と「シット・ジョブ」の二つの概念を取り上げて、シット・ジョブよりブルシット・ジョブの方が多く報酬を貰えると述べます。
つまりは社会貢献していない意味のない仕事の方がより多くの賃金が貰えるということです。
そもそもブルシット・ジョブはどんな仕事が該当するのかと言うと広報専門家、テレマーケター、コンサル、管理職をグレーバーは取り上げています。
これらは一見、社会的意義のある仕事のように思えます。しかしそんなことはないとグレーバーは言います。
そこで大手の映像制作会社で働く人にグレーバーはインタビューをしています。
すると映像制作会社で働いている人は、有名なブランド製品を視覚効果のトリックを使うことで、実際に効き目があるようにみせかけたり、番組本編で視聴者たちに欠陥があるように思わせ、CM時間にはその欠陥への解決策を誇張して見せたりしている。
とインタビューで述べています。
本人によるとそんな労働をしていることに意義を感じないと思っているが、貰える賃金は高いのだそうです。
やっていることに対して本人は意味を見出せない。
これがまさにブルシット・ジョブというものです。
そして、日本で人気のある広告業界でもこれは起こりうる現象だというのはこれで、なんとなく分かって頂けると思います。
さらに、無意味な事業のサポートとして行われているうちに、意味のないものと化してしまった仕事もあります。
例えば、ブルシット・ジョブの会社の認知度を上げるため、採用を強化するため、売り上げを上げるためにサポートをする会社では結局、意味のない仕事に対して支援をしていることになるので、そういった会社を支援する企業もブルシット・ジョブになります。
ということはブルシット・ジョブである会社のために建築するのもブルシット・ジョブになり、清掃をするのもブルシットジョブになりうるのです。
このような状態を2次的ブルシット・ジョブとグレーバーは述べています。
そう考えると、現在の仕事のかなりの数が意味のない労働になってしまうのではないでしょうか。
実際、グレーバーはブルシット・ジョブが近年急速に増加していると述べています。
さて、ブルシット・ジョブは意味のない労働なのにも関わらず賃金が高いという話をしてきました。
ということはお金が多く貰える仕事の方が社会貢献している、価値のある人生を過ごしているという考えも、まやかしなのではないでしょうか。
人々はこのように仕事が「尊厳」、「本来の人格」、「生きる目的」、「生きる価値」を与えてくれるといったまやかしを信じ続け、場合によっては燃え尽きてしまうのです。
皆さんはどう思うでしょうか?
有限で貴重な人生を無意味なことのために大量消費させられ、最悪の場合、燃え尽きる道に進みたいと思うでしょうか?
でも、そうするしかないじゃない…
どうしようもないじゃないか!
そう思う人もいると思います。
しかし!
その問題に対して真っ向から向き合い、どうすれば良いか。
そんなことを考えているのがまとも書房なのです。
そして!
どうすればこういった問題を解決できるのかを考えた書籍を文学フリマ京都で販売いたします。
もちろん、どうすれば解決していくのか。についても述べているのですが。
「そもそも、なぜ働くことが辛いのか?」
このようなことにも書籍で触れていますので、気になる方はぜひ覗いてみてください!お待ちしております!
最後に
書籍では解決策は述べているものの、これはすぐには解決できない問題です。解決するには皆さんの力が必要なのです。なのでまとも書房の今後の支援という意味でも、書籍、SNSを拡散して頂けるとありがたいです。
↓まとも書房の書籍のリンク
■まとも書房のブース
「け-11〜12」です!

参考書籍
なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか
この書籍について、より知りたい方は積読チャンネルさんがYouTubeで分かりやすく書籍紹介しているのでそれを見るのがおすすめ。
↓動画はこちら
ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論
ブルシット・ジョブは最初の方は読みやすいが、後半は結構、回りくどく解説しているのでそこがちょっと残念。
それにしても、本の要約チャンネルはたくさんあるのにブルシット・ジョブを解説している人がほとんどいないのは不思議。