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初めはささやかな第一歩-続けていれば何かが変わる
信州戦争資料センターの中の人は、小学生くらいから軍事には関心があったと思います。当時は、けっこう戦争映画の大作がつくられ、おやじが家族連れて見に行っていたのが最初かな。テレビの映画番組でも、けっこう戦争映画を放送していた。映画館でバトルオブブリテンを描いた「空軍大戦略」とか、「ミッドウェー」、「八甲田山」とか。「日本の一番長い日」もテレビでみたのが最初。
その後は、タカラのGIジョーで遊んだり、プラのドイツ軍ヘルメットとか棒付き手りゅう弾レプリカを買う、田宮の模型にはまる、などなど。そしておやじが潮書房時代の月刊誌「丸」を買ってきて、拾い読みした。病院にも通っていたので、待ち時間に「栗田艦隊」とか「連合艦隊の最期」とか、家にあった戦争関連本を片っ端から読んでいた。
まあ、プラモは当時のはやりだったし、おやじは兄弟2人を亡くしたあの戦争をしろうとしていたし、そんなのがごちゃっと詰まった少年時代だったのだ。ちなみに、当時の中学生くらいだと、戦車のプラモとか作っていると「お前なんか、戦争になったら真っ先に飛んでいくんだろう」とからかわれていた。軍のことに興味を持つイコール軍国主義、という意識がまだ残っていたんだな。思うに。
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そんなのだから、日中戦争のことは当時、よく理解できていなかった。多くの人と同様、ヨーロッパの戦争と太平洋戦争の海戦の分野が主。そのあたりがあたりさわりがなかったんだろうな。さて、意識して歴史としての戦争を考えるようになったのは、就職して長野県に住むようになり、松代大本営などの遺跡に触れたり、お年寄りから満蒙開拓の話や日中戦争の話を聞いたり、新聞で戦時関連の記事を読んだり、という形で傾いていって、だんだん、もっとあの時代をきちんと知りたいって思って、まあ、ムック本とか買っていろいろ読んだね。まだネットの前の時代だから、何かをしらべたり知ったりするには本を読むか人に話を聞くしかなかったから。逆に、それが歴史の流れの基礎を学ぶことになったのが幸いしたよ。
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戦時下の実物資料も、それまで古本市で画報とか英米撃滅戦とか、ちょっと買ったりしていた。でも、本格的に火がついたのは2007年9月、長野県木曽町の古物市で買った「小学校の木銃」だね。小学生だった自分の子供にもたせたらぴったりで、二度とこんなことさせる時代にしちゃいけないって思った、ということは以前にもお話しましたね。
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そしてもう一つ、妻の長野県内の実家でそんな古いものを集めている話をしたら、お義母さんが額に入れた債券や当時の通帳とか、箱詰めされたさまざまな戦前の農事記録や出産時の記帳とか、いろいろ出してきてくれて。本当にありがたくて、この二つが背中を押したと思う。そして妻の友人の夫さんが、やはり古物趣味で、自分でいろいろ並べた小屋に案内してくれて、長野県須坂地方から出たという灯火管制用の電灯の笠をご寄贈してくださった。そんなこんなが重なり、ヤフオクというものも知って、集め始めた。そんな初期のささやかな収集品(それでも100点近くなった)を本棚に並べたのが、初の展示施設となったのですね。
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そして、こうした品を生かす方法を、ちゃんとした人に学んだらどうかと妻に言われ、個人宅のギャラリーでユニークな作家を発掘しては個展や企画展を開いている長野市の王華書林のご主人と話しをしたのが、次のステップ。「1000点集めたら100点ずつ10年展示会ができるよ」って、当たり前のようではあっても、数を揃えることの力をある意味教わった。そして、展示会をすることでコレクションが充実していくということも。これが、2015年の戦後70年の節目に、最初の展示会につながった。展示会の内容を練るたびに、手持の品に狙いに沿った新たな収集品が加わって、展示会をやることは戦時コレクションの厚みを増し、不足分を少なくしていくことにつながりました。そして、今も続いている。
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今度の展示会に向けても、既に紹介したものも含めて、新たな戦時下実物資料を収集しています。新しいものと出合い、欠けているところがつながる、当時の生活や社会がより厚みを増して見えてくることが面白くて、はまってしまっています。
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そんな厚みを増した展示会も、間もなく1カ月に迫りました。仕事をしながら出品物を整理し、説明文を書き、パネルに貼り、展示して応対して…。誰に言われたからやるわけじゃない。古くて新しいものに出会い、人と出合い、自分の中でぼやっとしか分からなかったことが整理できる。そんなもろもろが、さまざまな人の支援によって実現できている。展示会を続けるのは、自分がもっと知りたいから。そして人につたえることで、少しでも戦争を回避できる未来に貢献したいから。
まあ、そんなたいそうなことでなく、変わったものみたさで足を運んでいただき、何かを感じてもらえたらうれしいです。それだけです。ついでに出版物を買っていただくともっとうれしいかな。
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そして、6000点に近づきつつある資料群を、どうやって次世代に引き継ぐか。今度はこれをもっと本格的に考えないといけませんね。まあ、続けているうちに何とかひねりだしましょう。
いろいろ思うことを書きましたが、こんな中の人が主体になって行う展示です。興味を持たれたら、ぜひおこしください。
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![信州戦争資料センター(まだ施設は無い…)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117072980/profile_8583b70d6b5e719da1c658eebcfe486f.jpg?width=600&crop=1:1,smart)