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愛国イロハカルタ登場ー戦争は子どもたちも見逃しません。表向き公募で実は戦時の指導を押し付け
愛国イロハカルタは1942(昭和17)年末に、戦意高揚を狙って「愛国百人一首」が文学報国会などによって作られたことをきっかけに、今度は国民学校の児童を対象として同様の効果を狙う「愛国イロハカルタ」が企画されました。愛国百人一首と同様、内閣情報局認定で、日本少国民文化協会が制定し、日本玩具統制協会が発行しています。
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話題作りも狙って、1943(昭和18)年3月3日-5月5日に公募、26万句が寄せられ、半数は子どもの作品でした(「昭和2万日の全記録6」より)。子どもの反応をみれば、その公募段階である程度目的は達しているようにも思えます。しかし、その熱意を生かしてここから選定していったならばまだしも、子どもたちにやらせたいこと、教えたいことは、最初から決まっていたようです。そう考えるのは「選定された47句のうち、公募から選ばれたのは13句だけで、しかもそのうち一つは『伊勢の神風 敵国降伏』という陸軍報道部長の作品」(同書)というありさまだったことからです。
実物を見ても、「『ハイ』デハジマル ゴホウコウ」といった子ども向けスローガンや、「トウア ヲ ムスブ アイウエオ」といった戦争遂行の理解などの内容になっています。
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ところが、それだけ早くから準備していたにも関わらず、さらに物資がひっ迫していたこと、子ども向けなので最初から多色刷りを想定していたことなどからか、戦争末期の国力では正月に間に合わず、1944(昭和19)年2月10日、紀元節の前日に発売となりました。
商品は、内容は同じですが絵柄と漢字かなづかいの違いで、国民学校高学年向きと低学年向きの2種類がつくられました。そして、それぞれ普通のかるたと、かるたを大きな1枚の紙に印刷しで自分で切り取らせる手作りのものがありました。中の人が所有し、ここにお示ししているものは、紙を切って作ったかるたです。
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体を鍛える、隣組意識、軍隊への親しみを増やす、増産の大切さを伝える…子どもに背負わせることはたくさんありますが、桃太郎をここでも引き合いに出して、くじけないようにさせたのでしょうか。
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そして、防空や献金、奉仕活動を訴え、ここでも独尊感情を文字にしています。「優れた国柄 世界が仰ぐ」と来ました。世界で唯一の神の国と教えられていますから、他国と平等に、横並びに、といった意識が育つはずがありません。
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「陸鷲 海鷲 僕らも続く」と陸海軍飛行兵への志願を意識させるものもあり、もう、子どもにもこれだけ背負わせるのかと。それとも、無垢な子どもを仕込むことが早道と思ったのか。
子どもたちには、自分たちで存分に学んでほしいし、その延長で政治や社会への関心を高め、発言し、自分たちの、隣人の、皆の住みやすい世界をつくっていってほしい。中の人も、まだまだ頑張っていきます。戦争を回避し続ければ、きっとそんな時代を招来し続けていけると思うから。未来に向けた大人の責任は重い。その一端を担っていきたいと、日々精進を続けます。
子どもたちには、どうか、広い視野を大事にしてもらいたい、それだけをしっかり伝えて、そして国境なんか関係ない世界をつくってほしいと思って居ます。
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