
15/1,000冊目 夢中になれるシェイクスピア → ウィリアム・シェイクスピア(著)『オセロー』
読んだ1,000冊を紹介しています
3年と数百万円かけて1,000冊読んでみました。
シェイクスピアの戯曲はぜんぶで37つある
シェイクスピアの戯曲は全部で37つあります。こちらの記事で一覧を設けています。
『オセロー』 ウィリアム・シェイクスピア (著)
いやー、シェイクスピアすげーなーって毎回脱帽してしまう。なにがすごいって、アートだと表現だというより、観客がどう感じるか、夢中になるかに注力し、ちゃんとそれが機能しているところ。すごい。浮気のくだりなんて、女でも男でも、演劇をみながら、我が事を振り返って「ぎくり」とするセリフを浴びせかけられる。
日本生まれのボードゲーム「オセロ」は、この戯曲からつけられた名前。黒はムーア人の将軍オセロー、白はその妻デズデモーナ。戯曲のなかで二人は戦うわけではないのですが、白人と黒人が絡み合う古典からの命名だそうです。
何がおもしろいのか
人種の問題というよりも嫉妬というものがこれほどまで燃え上がるのかということ。我が事を振り返って、たしかに何もないところを疑ったことあったなぁとか、逆に疑うべき相手を疑わないオセローと憎きイアーゴーのやりとりを観ながら「志村!うしろうしろ!」といいたくなるような没入感もたまりません。シェイクスピアを読んでいるとたびたびドリフターズの劇場でのコントを想起します。いつもはちゃんとしているオセローにキャシオー、清廉潔白なデズデモーナが、ひとりの嫉妬に身を落としたイアーゴーに翻弄されて滅んでいく過程。なんかいろいろ考えちゃうなーと、示唆的な内容にどっしりとした読了感があります。
あらすじ
ヴェニスの軍人でムーア人であるオセローは、デズデモーナと愛し合い、デズデモーナの父ブラバンショーの反対を押し切って駆け落ちします。オセローを嫌っている旗手イアーゴーは、自分をさしおいて昇進した同輩キャシオーがデズデモーナと密通していると、オセロに讒言します。嘘の真実味を増すために、イアーゴーは、オセロがデズデモーナに贈ったハンカチを盗み、キャシオーの部屋に置く。イアーゴーの作り話を信じてしまったオセロは嫉妬に苦しみ怒り、イアーゴーにキャシオーを殺すように命じ、自らはデズデモーナを殺してしまう。だが、イアーゴーの妻のエミリアは、ハンカチを盗んだのは夫であることを告白し、イアーゴーはエミリアを刺し殺して逃げてしまう。イアーゴーは捕らえられるが、オセロはデズデモーナに口づけをしながら自殺をする。
元ネタ
『オセロー』のもとは、ツィンツィオの『百物語』第3篇第7話にあります。デズデモーナはギリシャ語で「不運な」という意味で、この話の中では、デズデモーナは事故死に見せかけてオセロが殺す。後に錯乱し、イアーゴーを解職したが、オセロはこの罪を問われ追放され、デズデモーナの親戚に殺される。イアーゴーはこのことが知られ、拷問の末に死亡する、という筋で、このほかは非常によく似ている。この話の中で名前で呼ばれているのはデズデモーナのみで、ほかはムーア人、旗手、などと呼ばれている。
登場人物
オセロ ヴェネチア軍の将軍で、高貴なムーア人。
デズデモーナ オセロの妻、ブラバンティオの娘
イアーゴ オセロの信頼は厚いが、嫉妬深く裏切り者の少尉。
カシオ オセロの忠実なキャプテンで、最も愛されている。
エミリア イアーゴの妻で、デズデモーナの召使。
ビアンカ カシオの恋人
ブラバンティオ ヴェネチアの元老院議員でデズデモーナの父親(ブラバンツィオとも呼ばれる)。
ロドリーゴ 紳士的なベネチアン、デズデモーナに恋している。
ヴェネチア公爵
グラツィアーノ ブラバンティオの弟
ロドヴィコ ブラバンティオの近親者であり、デズデモーナのいとこ。
モンターノ キプロス政府におけるオセロのベネチア人の前任者
道化師 使用人
元老院議員
船員
将校、紳士、メッセンジャー、ヘラルド、アテンダント、音楽家、その他
この本で得たもの
教養としてのシェイクスピアの知識1/37
観客を巻き込む手腕の体験
嫉妬のおもしろさ